SCP-4734-EX
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収容以前のSCP-4734-EX

アイテム番号: SCP-4734-EX

オブジェクトクラス: Explained

特別収容プロトコル: SCP-4734-EXはかつて標準的なAnomalousアイテムロッカーに保管されていましたが、現在は職員用備品としてサイト-117の休憩室にあります。

説明: SCP-4734-EXは機械式ジューサーであり、内部に挿入された任意の果実や野菜から様々なジュースやブレンドスムージーを作ることができます。SCP-4734-EXは、SCP-████、SCP-████、その他幾つかの破壊的な異常芸術品に関与した異常芸術家アナーティストのPoI-8675、グレゴリー・“またの名をグレッグ”・フランシスによって作成されました。

SCP-4734-EXは平凡な材質からPoI-8675の手作業で作られており、皮や果肉が極めて固い果実/野菜の汁を絞り出すのに十分な耐久度の内部機構を有することが注目されています。しかしながら、SCP-4734-EXの検査によって、全ての機構は完全に非異常なもので、使用された材質の耐久性は複雑な合金素材を用いれば再現可能であると断定されました。

PoI-8675は過去数回、SCP-4734-EXは彼が最近手掛けた作品の大半(財団が現在収容しているオブジェクト数点を含む)の裏にあるインスピレーションの供給源だと主張しています。

補遺: SCP-4734-EX収容のためにPoI-8675の住居で行われた回収任務の際、機動部隊エージェントは当時住居内にいたPoI-8675自身の収容にも成功しました。以下は、SCP-4734-EXの実験が数回実施された後の、PoI-8675に対するインタビューです。

<記録開始>

バロディス博士: ではフランシス君、差支えなければ、あー…

バロディス博士は沈黙する。PoI-8675は天井を見上げ、テーブルを指で叩きながら鼻歌を歌っている。

バロディス博士: フランシス君、インタビューが始まっている。

PoI-8675は反応しない。バロディス博士は注意を引こうとして咳払いする。

バロディス博士: わざと無視しているのか? それとも君は芸名にしか応じないタイプのアーティストかね?

PoI-8675は指の動きと鼻歌を止めるが、天井を見つめ続けている。

PoI-8675: さぁね、アンタたちが俺ん家に押しかけて、この世界に対する俺なりの貢献をまた一つ取り上げていったから、ちょっとムカついてるだけだと思うよ。

バロディス博士: 私たちが以前、君が“最高傑作”だと称した作品を回収した時にはそれほど腹を立てていなかっただろう。どうしてまた今になってふてくされているんだ?

PoI-8675は呆れた表情でバロディス博士に視線を戻す。

PoI-8675: アンタたちって全然アーティストの作品に注目しないよな。あの作品は単に“俺の最高傑作”って題名だったの。

バロディス博士は静かに溜息を吐く。

PoI-8675: でももし本当に一番大事な作品、俺の真の最高傑作があるとすれば、アンタたちが持ってった例のジューサーだ。あれ一つだけで、俺は世界がこれまで目にしたことの無い異常芸術アナートを作り上げる知識と創造力を得られてた!

バロディス博士: それは… どういう意味か説明してもらえるかな?

PoI-8675は含み笑いをする。

PoI-8675: まだあれの機能に気付いてなかったとは驚いた。ともかく、あれを没収したからには、可哀想な俺をいじめたいからって以上のまともな理由があるんだろ。

バロディス博士: 実はね、無いんだ。あのジューサーには概念改変能力があるという異常なタレコミがあったんだが、しかし—

PoI-8675はバロディス博士の話を遮る。

PoI-8675: クソッ、それきっとサラの奴だ。この前ウチに来た時、あれを使わせなかったせいでかなりキレてたっけ。タレコミは女からだったか? ちょっと舌足らずな太い声?

バロディス博士: まさか私が正直に話すと思ってるわけじゃあるまい?

PoI-8675はバロディス博士を指差す。

PoI-8675: 絶対サラだ! 露骨に話を逸らしやがって。

バロディス博士: これは関係ない話だからだ。ケチ臭いライバル関係をとやかく心配するのを止めて、あのジューサーが実際どう機能するのか教えてもらえると非常にありがたい

PoI-8675は腕を組む。

PoI-8675: いいとも。大した事ない、見張りがいなくなったらすぐさまあれと一緒に脱獄してやる。あれは普通のジューサーじゃなくて、アイデアを絞り出すんだ。

バロディス博士: もう少し詳しく説明してくれないか? どういう経緯でそうなるのか我々にはよく分かっていないんだ。

PoI-8675は気取った笑みを浮かべ、椅子にもたれ掛かる。

PoI-8675: ああ、かなりシンプルだよ。何か集中したい物について考えながら、あのジューサーでジュースを作る。すると考え事が即座に冴えてきて、もっと思考に集中できる。前は考え付きもしなかった事さえ頭に浮かんでくるんだぜ!

バロディス博士は口を開けて話そうとするが、その後沈黙し、目を細めてPoI-8675を見る。

バロディス博士: フランシス君、それはつまり、君はただ何かを考えながらジュースを作って、そして…

PoI-8675: そして俺の第三の目が開かれて、世界が未だかつて目にしたことの無いアートを創造するって? その通りさ。

バロディス博士は口を手で覆い、笑いをかみ殺そうとしている。

PoI-8675: 好きなだけ笑いな。誰もが俺みたいな天才になれるわけじゃない。

バロディス博士は手を下げる。面白がっている様子の微笑みを浮かべている。

バロディス博士: そうじゃないんだよ、いやはや… 道理でどの実験でもあれの異常性を全く検出できなかったわけだ!

PoI-8675: 何だって?

バロディス博士: つまりだね、とても出来の良いジューサーではある。ドリアンを丸ごと1つ入れたらサラサラの液体に変えてしまったぐらいだ。しかし… フランシス君、君が作ったのはただのジューサーだよ。

PoI-8675は鼻を鳴らす。

PoI-8675: いや、アンタたちは使用法を間違ってるだけさ。物事の正しい考え方をしてない。

バロディス博士: フランシス君、プラセボ効果というのを知っているかね?

PoI-8675はテーブルに身を乗り出す。

PoI-8675: あれは偽物じゃない。本物だ、俺には分かるんだ。アンタは…

PoI-8675は一瞬顔を下に向ける。

PoI-8675: アンタたちが間違ってるだけだ! そうでなきゃおかしい!

バロディス博士: 或いは、君がおそらく毎日飲んでいたであろうフルーツや野菜ジュースのおかげで、明快に思考しながら作業に取り組める健康なライフスタイルが出来ていたのかもしれない。

PoI-8675: 何? 違う! そんなのは… 違う!

バロディス博士: 我々の使い方が誤っていると確信しているなら、その主張を証明するために、君にジュースを飲ませて幾つかスキャンを実施することもできる。

PoI-8675が怒りの表情を浮かべ始める。

PoI-8675: やってやるよ! 全部が俺の妄想なんかじゃなくて、あれがマジもんだって見せつけてやる!

バロディス博士: 了解。個人的には、君はジュースが好きなだけじゃないかと思うね。

<記録終了>

インタビュー後間もなく、PoI-8675は逃走の試みを防ぐために拘束され、安全確保済のチャンバーへ護送されました。PoI-8675を被験者とするSCP-4734-EXの実験が数回行われたものの、いずれにおいても何らかの異常性が発現することはありませんでした。実験が終了して独房に一人で残された2分後、PoI-8675は「ただのジュースじゃねぇか!」と叫んでいると報告されました。

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