SCP-479-JP
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SCP-479-JP

アイテム番号: SCP-479-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-479-JPは100リットルの大きさのケースに収納し、施錠してください。財団の感知していないSCP-479-JP個体は速やかに回収してください。

説明: SCP-479-JPはスウェーデンの山中に存在した小屋の中で、黒色のケースと共に発見された合計24匹のレテノールモルフォ(Morpho rhetenor)です。暴露したと見られる民間人の行方不明が報告され、捜索を行った地元警察が小屋を発見し、小屋の内部で舞う多数の藍色の蝶を報告した直後、当該の警察官も行方不明となったことから、財団の注意を惹き確保に至りました。

SCP-479-JPは同一空間に於いて人間とともにいる場合、常に一定方向に飛翔し続けます。また、摂食や排泄、休息等を全く必要としないようです。この特異性により狭い空間で実験を行うとSCP-479-JPが壁面に胴体を擦りつけて死亡する事があり注意が必要です。しかしながら、老衰や病気による自然死が起きないことから基本的にSCP-479-JPは外的要因無しに死亡しないものと思われます。広い空間でSCP-479-JPを飛翔させるとおおよそ人間の頭上十数cm付近を飛翔し続け、障害物を避けて進みます。

SCP-479-JPの主な特異性はその針路と、SCP-479-JPを追跡する事によって発現します。SCP-479-JPは通常昼夜を問わず北半球では北へ、南半球では南へ進み続けます。初期のストックホルム実験-479の際、無人探査機でこれを追跡した結果、SCP-479-JPは探査機の操縦者か、実験の責任者であるポアンカレ主任の付近で滞空し続けました。SCP-479-JPがどのようにして人間の追跡する意志を読み取っているのかは現在諸説あるものの、結論は出されていません。

数回の実験にて、SCP-479-JPは追跡者が伴い、その追跡が開始されると北半球に於いては北へ、南半球に於いては南へ針路を取り、そのままそれぞれの方向へ出港する予定の船舶または航空機の中に入り込みます。追跡者がそれに同乗した場合、SCP-479-JPはそれら船内ないし機内に滞空し続けます。おおよそ船舶の場合、その進路上の最北点/最南点に達した時点でSCP-479-JPは海上に飛び出し、その地点を滞空し続けます。追跡者がそれに準じて船を降りるとSCP-479-JPは更なる北上、南下を行います。SCP-479-JPが入り込んだ物が航空機である場合、最北点/最南点にて機内の壁面に身体を擦り付けながら北/南へ飛翔を試み続けます。

そして、SCP-479-JPを追跡した人物は通常では説明することが出来ない不特定の異常現象に遭遇するようです。

補遺: 実験探査記録479-SE 20██年4月2日

更に北から追跡を開始した場合のデータを収集するためのDクラスを使用した飛翔追跡実験。開始地点は北極氷上ポイント-00。SCP-479-JPを追跡するDクラス合計14名には一週間分の食料と記録用紙とペンを装備させ異常現象が起きた場合それを筆記させ、その地点に置いて進むよう指示しました。食料が尽きた場合や追跡に支障が出た場合は無線にて支援を要請出来るようバックアップ体勢も敷かれていました。

実験開始から4ヶ月後にDクラスの一団は北極点付近にて消失。監視衛星では北極点到達まで███kmほどのポイント-Z3付近で突如として消えたように観測されました。三次元座標計測記録装置の最後の信号に不審な点はありませんでした。

追記: 消失したと考えられていたDクラスの内3名とSCP-479-JPが財団南極支部サイト-672にて保護されました。健康面で致命的な被害を受けていた1名を除いた2人には長旅による精神的ダメージ以外に特筆すべき異常な症状はありませんでした。3名が回復した後に行われたインタビューについて、全員が「歩いてきただけだ」と主張。その周囲の景観や様子について詳細に語らせましたが南極大陸に見られる正常な情景と差異は認められませんでした。彼らに「君たちは北極から南極まで歩いてきたのか?」と質問しましたが事実を理解できないようでした。

補遺: 実験探査記録479-AQ 20██年10月1日

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SCPAC-イボイノシシ

南半球ではSCP-479-JPの飛翔方向が南へと変わることから行われた飛翔追跡実験。先の実験の結果を鑑み、大型輸送機C-130を改造したSCPAC-イボイノシシにSCP-479-JPを格納し、財団南極支部から南極点へと飛行させます。対象は南極点付近から消失し、北極点付近に再出現するとの仮説から北極点に再出現すると予想された██月██日には財団ロシア支部による回収保護体勢が敷かれました。

結果的に、SCPAC-イボイノシシは仮説通り北極点に再出現し財団ロシア支部に回収されました。乗組員の記録も映像記録も正常な南極を映すのみであり、南極から北極に切り替わる境目は確認できず、それが極徐々にしか変化していないものとされています。

これらの実証から、16世紀初めから観測されている世界的現実改変の痕跡とその残留に関する研究の躍進が期待されています。財団は速やかに現実改変の影響を受けない人工観測衛星の研究を行うことが求められています。

SCP-479-JPの全貌は未だ未解明に終わっています。SCP-479-JPに関する実験の際に発生するヒューム値の増減はほぼ観測されておらず、これは地球の形状に関わる新見解を齎す可能性を秘めています。ですが、砕氷船を用いた北極側SCP-479-JP追跡実験は、脱出不能のリスクを鑑みて現在議論が進められています。

SCP-479-JPが発見された小屋の持ち主であるグレゴリー・ペレルマン氏の消息は依然不明のままです。近隣住民によると彼はキノコ狩りが趣味であるとの情報が得られていますが、付近の山中を捜索しても発見されませんでした。グレゴリー・ペレルマン氏はロシアの数学研究者であり、ミレニアム懸賞問題であるポアンカレ予想の解決のため、フィールズ賞を授与される予定でしたが、授賞式にペレルマン氏は現れず、失踪しています。氏の小屋にはSCP-479-JPの他に三次元上のポアンカレ予想に関する多数の研究痕跡とSCP-479-JPに関する記述がありました。しかしながら、SCP-479-JPを作成したのかどうか、その目的は今のところ分かっていません。

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