SCP-487-JP
評価: +56+x

アイテム番号: SCP-487-JP

オブジェクトクラス: Neutralized

特別収容プロトコル: SCP-487-JPの死亡、および遺体への検査の結果より、1993年01月06日を以ってSCP-487-JPの特異性は失われたことが認定されました。遺体の標本がサイト-77の低危険性生物標本保管ユニットに保管されています。

SCP-487-JPに関する文書は参照を目的として保存されます。

説明: SCP-487-JPは肥満体の白人男性であり、1.8メートルの身長と94キログラムの体重を有しています。回収時に携行していた公的証明書類および身元調査により、SCP-487-JPはドイツ連邦共和国国籍を持つ████████・ワーネッケという人物であることが判明しています。

SCP-487-JPの特異な性質は、その衣服の着脱の動作に際して現れます。SCP-487-JPが衣服の着脱の動作の開始を行うに従い、その周囲半径約150メートルにいる人間はSCP-487-JPと同様の動作による衣服の着脱を実行します。この性質による動作は被験者の随意を伴うものではありません。全ての被験者は『何らかの外部の力で体が無理やり動かされている』等、自身の意志に反する動作である旨を主張します。影響による衣服の着脱は上半身を含む衣類に限定されると見られ、帽子類や下半身のみを含む衣類を脱ぐことによる影響は確認されていません。

この影響は、影響を受けた被験者から更に他の人物へ影響の伝播が発生することが確認されています。影響範囲外1の被験者にも、時間差2の後に同様の影響が波及します。影響を受けた被験者から150メートル以遠の位置に居る人物への伝播は確認されていません。また、150メートル以遠からの視認等の知覚手段による伝播も確認されていません。

前述の伝播による効果の変化や減衰は見られません。北海における35名のDクラス職員を用いた大規模実験では始点から5キロメートル超の距離での波及が確認されました。終点への伝播までに平均242.3秒の時間が費やされたことが記録されています。

SCP-487-JPは1992年11月30日に発生した██████航空███便航空事故の後、生存者である乗員・乗客が事故直前の状況について『着陸寸前に何故か体の自由が効かなくなり、服を脱いでしまった』という旨の供述を一貫して行ったために財団がその存在を発見しました。財団傘下の██████病院において行われたいくつかの検査によりSCP-487-JPが発見され、確保されました。

transition.jpg
図1: SCP-487-JPの行う運動(24秒周期)。クリックで拡大可能。

補遺1: 観察記録: 1992年12月11日、SCP-487-JPが一定のパターン・周期(図1参照)での作業用ズボンの着脱を繰り返す運動を行うことが確認されました。その動機に関する質問に対し、SCP-487-JPは恥じらう態度を見せ、『これは"ヤスナガサン"の鼻歌を模倣したものである』という回答のみを示しました。その他の"ヤスナガサン"に関する質問に対しては一貫して紅潮の後に黙秘するという態度を示しました。潜在的リスクに対する懸念より、衣服の支給の中止が検討されました。

補遺2: インタビューログ-06DE12121992: その特異な性質、及び調査された来歴に不審点が見られない点を鑑み、SCP-487-JPに対して特異な性質を獲得した経緯に関する質問が試みられました。

対象: SCP-487-JP

質問者: ハンス=ユルゲン・クリーガー博士

<記録開始>

クリーガー博士: こんにちは. 今日は質問したいことがあって伺いました. 聞こえますか?

SCP-487-JP: 聞こえています. ヤスナガサンはどこですか. ヤスナガサンに会わせてください.

クリーガー博士: その話は後にしましょう. あなたが不思議な力を手に入れた経緯を教えていただきたいのです.

SCP-487-JP: [即座に] これは神が特別に私へ授けた力です.

クリーガー博士: 手に入れた経緯を話してください.

SCP-487-JP: [5秒の沈黙] 申し訳ございません. 興奮しすぎてしまいました. 先日の飛行機事故, あの時に私は天からの啓発を受けたのです.

クリーガー博士: どのような啓発を受けたのですか. 続けてください.

[SCP-487-JPが顔を紅潮させる]

SCP-487-JP: あの時, 私は自分の恋を諦めていました. ヤスナガサンへの気持ちは膨らんでいくのに, 私は気持ちを伝えることができない. ヤスナガサンはドイツ語が話せないようなのです. いいえ [吃音] よしんば, 話せたとしても話せたとしてもきっと私は, 私はこの思いを伝えることができないでしょう. 私はとても恥ずかしい.

[SCP-487-JPが机に顔を伏せ頭を抱える]

SCP-487-JP: ヤスナガサンを想うだけでももう私は頭がいっぱいになってしまう. 顔を向けてお話なんて, できない.

クリーガー博士: あなたの受けた啓発に関することを教えていただきたいのです. よろしくお願いします.

SCP-487-JP: [ため息] ヤスナガサンのことを考えるとついこうなってしまうのです. 申し訳ありません. 飛行機で遭ったことをお話しします. あの時, 私はヤスナガサンに気持ちを伝える方法がないことにずっと悩んでいたのです. 取引先からの帰りのあの飛行機の中, ずっとずっとヤスナガサンに気持ちを伝える方法を考えていました. そんな時, 機内オーディオに繋げていたイヤホンから声が漏れてきたのです. ヤスナガサンに勝るとも劣らない, 澄んだソプラノの美しい声が私に伝えたのです. "汝に力を授ける. 汝の想い人と通じ合う力を. さあ上着を脱ぎなさい"と.

クリーガー博士: そして服を脱いだのですね. その後はどうなったのですか.

SCP-487-JP: 目の前がまばゆい光に包まれました. 一瞬の沈黙の後の轟音, 悲鳴, 衝撃. のどかな空の旅からの突然の転調です. ヤスナガサンと私の関係性のこれからを暗示したものに違いありませんでした. 私の臆病な懊悩が終わりを告げるに違いないと, その時確信したのです.

クリーガー博士: ありがとうございます. 先ほどお話になった声について, 可能であればもう少し詳しくお聞かせください. 例えば自身をどのように称していたかなど, お話しいただけると我々はとても助かります.

SCP-487-JP: 何ですって? ヤスナガサンを世界で一番好きなのはこの私だ. あなたではない.

クリーガー博士: 何ですって? もしもし.

SCP-487-JP: ヤスナガサンに私のメッセージが伝わらないのはあなたのせいだな. 私には分かる.

クリーガー博士: メッセージとは, あなたが一定の周期で服を着脱しているあの行動ですか. どのような意図であのような行動を取るのかお話しください.

SCP-487-JP: そのような侮辱は許されない. あなたの汚さを告発し, ヤスナガサンを守る! 覚悟せよ!

<記録終了>

SCP-487-JPが脱衣を試みたため、保安要員による鎮静が行われました。インタビューは中止されました。

墜落した飛行機の残骸の調査において機内オーディオ機器からの異常は発見されていません。

これ以降、SCP-487-JPは全ての職員に対して拒絶する態度を示し始めました。衣服の支給はこの時点をもって中止されました。

補遺3: 事件-0ADE01061993: 1993年01月06日、SCP-487-JPが自力で抜いた歯と爪を用いて自身の上半身の皮膚を剥ぎ取る行動を行いました。記録によると行動に移ってから9秒以内に上半身の約66%の皮膚の剥脱に成功しています。この直後、緩衝地帯外(SCP-487-JPから約200メートル遠の位置)に配置された職員がSCP-487-JPの影響によって見られるものと同様の脱衣動作を起こし、この位置から影響がエリア-██内全体に拡散しました。アノラックスーツを着用して作業に従事していた2名の研究員が軽度の化学火傷を負った点を除いて、人的・物的な被害はありませんでした。

事件後、SCP-487-JPの死亡が確認されました。検屍による死因の断定は失敗に終わっています。出血の量は極めて少なく、致死量をはるかに下回る点が注目されています。


関連する超常現象報告: 1994年6月24日、補遺1:の図に示されるものと同様のパターンで尿の排出・中断を行う犬の出現がドイツ南部にて多数報告されました3。SCP-487-JPとの関連性についての調査が進行中です。

特に指定がない限り、このサイトのすべてのコンテンツはクリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス の元で利用可能です。