SCP-4919
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SCP-4919。

アイテム番号: SCP-4919

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-4919に入場する全ての人物は、意図せぬ異常効果の発生を防ぐために2人以上の組で作業し、眠気を感じた際には速やかに敷地内から退出するか、刺激剤を摂取できるように準備してください。SCP-4919に長期配属されるスタッフは基礎的な夢想起技術の訓練を受け、記録保持のために常に文房具を携帯するべきです。制御された実験状況下を除いて、SCP-4919内での睡眠は禁止されています。

説明: SCP-4919はパリ6区のカルチエ・ラタン、ヴォージラール通り22番地に位置する8階建ての建造物です。1898年にアール・ヌーヴォー様式で建造され、1966年に財団が買収するまでは“オテル・ド・リール”の名称で運営されていました。

SCP-4919の屋内でREM睡眠状態に入ったあらゆる人物は、類似の内容と共通の特徴を有する明晰夢を経験します。これらの夢において対象者は、19世紀後期または20世紀初頭の、1階にカフェ(“カフェ・アンペリアル”)があるホテルとして経営されていた時期のSCP-4919へと転送されます。夢の中に現れる都市は、審美的にはパリに似通っていますが、パリ市内のレイアウトに精通した被験者からは多数の不一致が報告されています。しかしながら、夢の再構築の不完全性を考慮すると、これは特に奇妙な事ではありません。

対象者は夢を見ている間、一貫して社交行事、食事、恋愛、性交渉などの楽しい出来事を経験し、必要に応じて金銭やその他の物品(イベントのチケットなど)を生成できたという記憶を持ちます。夢の中で遭遇する実体群は親しみやすく、友好的で、忍耐強い傾向がありますが、SCP-4919の性質に関する質問には抵抗を示します。これらの実体群が夢の世界において自意識を有する独立した存在なのか、対象者の非異常な内面心理が夢に投影されただけなのかは不明確です。

現実世界のSCP-4919は異常な時間的影響を全く及ぼしませんが、SCP-4919内で見る夢の主観的な長さは数分間から数年間の範囲で様々です。対象者はSCP-4919の外部で起きた出来事についての記憶を持たず、SCP-4919の外に出た時点で夢は終結すると想定されます。それ以外の対象者のうち約75%は夢の終結に関わる出来事を思い出すことができません。残り25%はSCP-4919内での夢が(概して暴力的または不穏な性質の)不愉快な経験で終わったと報告します。

補遺4919-1: 実験ログ

対象者 夢の内容
D-2811871
対象者は午後6時30分のカフェ・アンペリアルに出現し、レバーパテ、ロブスターテルミドール、ダッチェスポテトを添えた鴨肉のコンフィ、クレームブリュレから成る4コースの食事を提供される。様々なワイン及びシャンパンのグラス14杯も同様に消費されるが、酩酊効果はごく穏やかである。食事の終了後、給仕長は請求書の提示を拒否し、いつでも戻ってきて構わないとD-2811871に告げる。D-2811871が建造物から退出しようとした時点で夢は終了する。D-2811871は今後の実験にも自らを参加させるように多数要請したが、これらは拒否され、実験はより高位のクリアランスを有する職員が行うことになった。

ルボン研究員
対象者は午後の早い時間のホテルロビーに出現する。ピアニストが様々な独奏曲を演奏しており、ルボンはこれらをモーリス・ラヴェルの作品と認識して約20分間聴いた。この間、若い男性がルボンの隣に座り、紅茶とプチフールを共に楽しみながら会話する。ルボンはこの会話の詳細を思い出せなかったが、友好的かつ魅力的な性質のものだったと強調する。ルボンはまた、この男性が現実世界の知人に似ていたとも言及するが、それ以上詳しく説明することが不可能であるか、またはその意思が無かった。男性が去った後、ルボンが建造物を退出しようと試みた時点で夢は終了する。

ルボン研究員
対象者はホテルの舞踏室にある、ポスト印象派画家の団体“ナビ派”の作品が展示されているサロンに出席している。ルボンは後ほど、ピエール・ボナールとジャン・エドゥアール・ヴュイヤールの絵画があったと述べる。サロンの展示会は20~30時間続くが、出席者の間に目立った疲労は観察されず、祭典の小休止なども差し挟まれない。この時点で、ルボンはウェイターを追ってキッチンに向かう — ルボンはこれ以降の出来事を思い出せなかったが、食品の調理に対する恐怖反応を示すようになり、SCP-4919実験に再び参加することが不本意である旨を表明した。

アルノー博士
夢はアルノーがカフェ・アンペリアルで朝食を摂っている途中の場面から始まる。アルノーはバターを塗ったクロワッサンとブラックコーヒーを消費し、続く1時間は市民がヴォージラール通りを通り過ぎるのを観察する。詩人のポール・ヴェルレーヌに似た背格好の男がアルノーに近付き、2人は詩作について活気ある会話を交わす。しかしながら、夢の中のヴェルレーヌには、現実世界のヴェルレーヌの奇行が欠如している。

アルノーは、人々の集団が通りで1人の人物を殴打しているのを見た後に夢が終わったと報告する。彼は殴られていた人物の詳細な容姿を認識できなかった。

アルノー博士
アルノーはホテルの舞踏室で、身元不明の若い女性と共にピアノ二重奏曲を演奏しており、ホテル客の一団がそれを見ながら熱狂的に拍手している。演奏が終了すると、2人の警官が現れ、アルノーを(彼自身には分からない理由で)反逆罪により逮捕すると告げる。これによって群衆の間で騒動が起こり、彼らはお互いに口論し始める。

夢は、アルノーを護送した警官たちがホテルの正面ドアを開き、通りの中心に設置されたギロチンが見えた時点で終了する。

アルノー博士
SCP-4919による夢の主観的期間を可能な限り引き延ばすための試み。アルノー博士は力の及ぶ限り、建造物内や難局を詮索しないように指示された。アルノーはホテルの1階に留まり、レストランで継続的に食事と飲み物を注文し、その場で眠る(彼は必要に応じて金銭を生成できた)。夢の中の人物たちはこの行動についてコメントしない。

夢の中で1ヶ月が経過した後、カフェ・アンペリアルで窓に背を向けて座っていたアルノーは、ガラス越しに2回狙撃され、身動きできなくなって床に倒れる。これを切欠に、カフェの利用客たちの間で暴力行為が突発し、彼らは自己保存を考慮せずに徒手格闘または即興武器で無差別にお互いを攻撃し始める。建造物外の人々が継続的にこの乱闘に参加し、夢が終結するまで約120時間にわたって途切れずに続く。

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