SCP-502-JP
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██████市役所に擬態しているSCP-502-JP

アイテム番号: SCP-502-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル:SCP-502-JPが現在収容されているサイト-81██から移動した場合、近隣のエージェントは直ちに移動先を封鎖し、SCP-502-JPへの民間人及び当局の干渉を防止してください。SCP-502-JP建物内へ侵入を試みる対象がいた場合、非致死的な手段で無力化し、記憶処理を行います。ただし、対象が建物内に侵入してしまった場合はSCP-502-JP-1との接触の妨害のために致死的手段を用いることが許可されます。しかしその際にはSCP-502-JPおよびSCP-502-JP-1実体にいかなる形の損傷・危害をも加えないようにしてください。SCP-502-JP-1実体への接触は実験目的にのみ限定され、セキュリティクリアランスレベル3以上の職員三名以上の許可とサイト管理者による実験内容の承認が必要です。

説明:SCP-502-JPは日本の市役所ないし役場に擬態する異常な建物と、そこに配置される人型実体で構成されます。建物部分はSCP-502-JPとして、人型実体はSCP-502-JP-1、SCP-502-JP-2にそれぞれ分類されています。SCP-502-JPは下記条件を満たすと日本国内の空き地へランダムに移動します。

  1. SCP-502-JP、SCP-502-JP-1に対して故意に損傷・危害を加えること。
  2. 一地域内で40 人のSCP-502-JP-2を発生させること。

上記の条件を片方でも満たせばSCP-502-JPは即時に移動します。SCP-502-JPの門扉を小突く、SCP-502-JP-1の胸ぐらをつかむという極めて軽微な内容も「損傷・危害」に含まれることには注意しなければなりません。また、いままでに移動時に内部にいたSCP-502-JP-1、SCP-502-JP-2以外の対象は例外なく消滅し、回収された事はありません。

SCP-502-JPは移動直後から、自身をその地域の役所であると誤信させるために外見・内装を日本の一般的な役場へ偽装し、自治体職員に扮したSCP-502-JP-1を建物内へ配置する他に、様々な工作を行います。「新庁舎が完成し、住所が移転した」などという内容の含まれた「███だより」のような広報誌を郵便物に紛れ込ませるのが最も一般的な手段です。場合によっては自治体のホームページを改竄したり、過疎の進行した村落に対しては、自治体職員を名乗るSCP-502-JP-1実体が直接に案内を行なったケースも存在します。

SCP-502-JP-1はばらつきはありますが、日本人の民族的特徴と一致する外見をしており、着衣もその地域の役所の服装規定に従ったものを身につけています。しかし、SCP-502-JP-1は食事や排泄を必要としないばかりか、あるべき生理現象が一切確認できません。加えてSCP-502-JP-1に身体的損傷を負わせたり、情報災害効果によって行動をコントロールする試みは全て失敗しています。SCP-502-JP-1実体は人間の接触時に概して「気だるげ」もしくは「機械的」とみなされる態度をとり続け、これを崩すことはありません。SCP-502-JP-1同士が談笑している事がありますが、人間が注意を向けるとこれを中断します。SCP-502-JP-1実体に危害を加えることはSCP-502-JPの即時移動を引き起こすため、固く禁止されています。

SCP-502-JPは内部にその地域に住所を持つ、あるいは持っていた人間が進入し、SCP-502-JP-1に何らかの要求を行った場合に、その人間に対して特徴的な異常性を示します。どのような形式であれSCP-502-JP-1に役場としての対応を求めると、「自分にはその権限がない」「ここは担当部署ではない」などの理由で他の受付へ行くように指示し、その場所を指定します。この時点で対象はSCP-502-JP-1同様の特性を獲得し、加えて老化もしなくなる事から事実上不死となります。この状態に至った対象はSCP-502-JP-2に指定されています。SCP-502-JP-2はSCP-502-JP-1の指示に盲目的に従う存在であり、外部からの説得に応じることはありません。ただ指示に関わりの無い通常の会話は可能で、以前の記憶及びアイデンティを完全に保持しています。

その後は、SCP-502-JP-2が指定された場所にたどり着くと次の受付の場所が指定されるという一連の動作が、永久に繰り返されるものと推測されています。これに対応して、SCP-502-JPは際限なく内部を拡大させ、出来たスペースに受付役のSCP-502-JP-1を配置し続けます。SCP-502-JPが擬態している建物の外見が、この内部の拡大に影響されることはありません。SCP-502-JPの所在地に住所を持った事の無い人物に対してこの異常性が現れることは無く、単純にSCP-502-JP-1は対応を拒否します。

また、SCP-502-JPでは電力や水道が電線や水道管からの供給無しに、不明な経路から確保されています。SCP-502-JP内に存在するコンセントや冷水機は問題なく使用することができ、室内の備品に工作を加えてもSCP-502-JPの移動を招くことはありません。この性質を利用して、コンセントから自動で充電ができるように設計された複数の探査用ドローンが長期探査任務に割り当てられています。このドローンからの各種の情報送信を受け取るためにSCP-502-JPの内部には複数の観測拠点が設置されました。

SCP-502-JPは行方不明者が急増した██████市での、「家族が市役所に行ったまま戻らない」という複数の通報を財団が傍受し、発見に至りました。財団の収容下では五度の偶発的移動が発生し、██人の人的損失を被った後に現在の収容プロトコルが確立され、以降██年間SCP-502-JPは移動していません。現在、SCP-502-JP-2は確認されただけでも█████個体がおり、そのうち██個体がDクラス職員や██████博士を含む元財団職員です。幼少期にごく短期間しか住んでいなかったこともあってか、██████博士はかつて██████市に住所があったことを失念しており、SCP-502-JP-1に「君たちの目的は何なのか、ここに来た住人に何を求めているのか」という質問をした結果、SCP-502-JP-2に指定されました。█████博士だったSCP-502-JP-2(以下、SCP-502-JP-2-d)に対してはドローンによる監視が行われており、このSCP-502-JP-2-dの総移動距離は現在██████ kmです。この距離はドローンから走行距離情報が送信されてくる度に更新されます。

補遺:SCP-502-JP-2-dは、かつて財団内でクリアランスレベル3を保有していた██████博士の記憶とアイデンティティを完全に保っており、一部職員は機密情報の漏洩を懸念しています。██████博士の財団への忠誠心は強く、漏洩の危険性はあまり大きくはありませんが、念の為にSCP-502-JP-2-dの発言をかき消すための音響装置を備えたドローンにより監視が続けられます。

以下はドローンから送信されてきた、SCP-502-JP-2-dの[20██/██/15]の監視映像記録です。

補遺2:SCP-502-JPの特性を逆手に取り、SCP-502-JP-1に干渉する実験が行われました。具体的には本オブジェクトが日本の市役所などのシステムを模倣しているのを利用し、SCP-502-JPが所在する県の終業時間以後に、SCP-502-JP-1群に対して「終業時間が過ぎている」ことを認識させることでSCP-502-JPの部分的な無力化を狙ったものでした。これに用いられた無力化プロトコル試案『螢の光』はサイト-81██管理官と日本支部理事会の承認を得て、20██/3/31 に実行されました。以下に、SCP-502-JP内で実施された実験の映像ログを付します。

この実験の失敗に伴い、SCP-502-JP-1への干渉を試みるすべての実験は一時的に中止されています。

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