SCP-5058
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アイテム番号: SCP-5058

オブジェクトクラス: Keter

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2005/05/09、“仲間人間たちとの集い”というメッセージを添えて、SCP-5058-1197から送信された画像。

特別収容プロトコル: 一般社会におけるSCP-5058の個体数は著しく多いため、標準的な拘留戦略は非効率的だと判断されています。

SCP-5058個体には財団の追跡装置が移植され、定期的に監視されます。機動部隊クシー-3 (“死体泥棒”) は、身体検査と実験のため、新たに発見された個体を最寄りの財団サイトに連行することを任務とします。SCP-5058個体との交流は、高い認知抵抗係数を有する職員が担当します。拘留された個体には追跡装置を移植した後、記憶処理を施して一般社会に解放します。必要に応じて、標準的な偽情報活動を実施します。

財団衛星“トレミー EF-65”が地球軌道上に送信されたSCP-5058の電波を傍受・転写します。

説明: SCP-5058は、外見的にHomo sapiens (ヒト) に類似するものの、未知の要因による多数の身体的・行動的異変を有する実体です。

SCP-5058個体は軽い筋肉痙攣を身体各所で絶えず示し、明白なパターン無しに表情を変化させ、興奮した素早い動作で活動します。ほとんどの場合、SCP-5058のボディランゲージは、話し方や想定される精神状態と一致しません。また、如何なる状況でも、SCP-5058個体は感情的な苦痛の兆候を言葉やその他の手段で表現できません。特筆すべきことに、認知訓練を受けていない、もしくは自然なミーム抵抗力を備えていない人間は、SCP-5058個体の行動を常に正常なものと認識します。

SCP-5058の体内生理学は、ベースラインのHomo sapiensと矛盾します。検査された個体の大多数には、生命維持に不可欠ではない臓器が少なくとも1つ欠落しており、身体と脳の構造に様々な異常が認められました。観察例の80%以上で、個体の海馬と脳葉の大きさ・形状は正常な人間と異なっていました。このような変化は、SCP-5058の記憶力や感覚知覚といった認知機能を強化していると推定されますが、その具体的なメカニズムは不明です。

また、各SCP-5058個体の小脳と後頭葉の間には、腫瘍に類似する見た目の小さな (直径~2cm) 有機的成長物があります。実験の結果、この成長物があることによって、SCP-5058個体は低周波の電波に似た信号を送出できると判明しました。SCP-5058の通信は、彼らの日常生活、彼らが重要視する最近の出来事、“仲間人間”1との会話、周辺環境を観察した情報などを詳述する暗号化された画像とメッセージで構成されます。この通信の宛先は不明です — 傍受されなかった信号は速やかに地球の大気圏を離脱し、その直後に追跡不能となりました。

SCP-5058個体の生物学的な異常性も、ミーム抵抗力を有さない人間には認識されず、通常は身体検査で発見されません。

補遺.5058.1: 発見ログ


最初のSCP-5058個体は1990年の夏、アメリカ合衆国で発見されました。その後20年間に、世界各地の主要な人口密集地や都市部で、更に2,550体が発見されました。発見以前のSCP-5058個体は活発な社会生活を営み、対人関係を数多く維持し、頻繁に公共の場を訪れ、様々な集会に出席していました。また、約10%の個体には家族が存在しました。観察された全ての事例において、SCP-5058と接していた人々は、その異常な挙動を全く認識していませんでした。

SCP-5058の起源に関する調査で、彼らの身元や親とされている人物らの記憶と矛盾するデータは得られませんでした。しかしながら、発見された警察の報告書は、少なくとも20%のSCP-5058個体が、人生のある時点で通常1~3日ほど行方不明になっていたことを示しています。帰宅後、これらの個体は“道に迷った”、“短い個人休暇を取っていた”などの平凡な理由で不在を説明しました。財団の潜入職員が詳細に調査した結果、提供された情報は虚偽であると判明しました。

補遺.5058.2: 事案ログ


2010/03/12の03:00、“トレミー EF-65”はSCP-5058個体が送信する電波を傍受しなくなりました。故障が疑われたため、衛星システムの点検のために技術者チームが招集されました。しかしながら、07:00、衛星は再び起動し、地球外起源と推定される電波信号を送出し始めました。この通信にはSCP-5058から傍受されるメッセージと同一の暗号化処理が施されていました。地上のサイト-221に駐在していた職員らは、速やかに信号の内容を転写し始めました。夜空、星、太陽系の惑星とその衛星を表す一連の画像が検出されました。また、幾つかの未知の記号や、事案以前の信号で送信されたSCP-5058の日常生活の画像も確認されました。

立ち会った職員のうち、認知抵抗係数が高い者は全員、画像を知覚すると動揺を示しました。この状態は徐々に激化して、1時間以内に極度のヒステリーとなりました — 報告によると、その原因はSCP-5058及び関連現象に対して財団職員が過去に取った行動への圧倒的な悲しみ、苦悩、罪悪感でした。合計10名の職員が鎮静剤を投与され、事案終了まで隔離されました。

12:00、信号は認知抵抗力の高い職員が勤務する他41ヶ所の財団サイトにも送信されたことが判明しました。これがヒューマンエラーか、サーバの誤動作か、異常現象かは現在不明です。この通信漏洩によって110名が影響を受け、被害に遭ったサイト全体で31件の自殺未遂が発生しました。信号の隔離と収容は16:00に達成されました。

この信号は、人間の認知抵抗力の回避を狙った何らかの情報災害、またはミーム構造を含んでいたと仮定されます。事案後、職員の精神状態は数時間以内に回復しました。しかしながら、影響者はSCP-5058個体と通常のHomo sapiensを区別できなくなったことが確認されました。また、影響者はSCP-5058関連のプロジェクトに携わることや、当該事案について話すことに消極的な態度を示し、インタビューを受けた影響者の80%以上は精神状態が回復した直後に異動を申し出ました。

後ほど、信号を介して送られた画像の1つに、数種類の人間の言語を混ぜて書かれた文章が含まれていると判明しました。このメッセージは過去にSCP-5058個体が送信した単語から構成されたものと思われます。問題の画像は安全性を考慮して複写され、英語に翻訳されました。

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