SCP-506-JP
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SCP-506-JP

アイテム番号: SCP-506-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-506-JPは周囲を2.5m以上の高さの塀で囲い、外部からチューインガムがSCP-506-JP内に入り込むことを防止します。何者かのSCP-506-JPの内部への侵入およびSCP-506-JP-Aの脱走を防ぐため、監視カメラと感圧センサーによる監視が常時行われます。SCP-506-JPの内部へのチューインガムの持ち込みは制限されます。

SCP-506-JP-Aはアクリル製低脅威度生物収容容器に収容されます。ただし、収容容器の餌を入れるための扉の隙間や空気の交換のための穴は、幅が2.1mm以下になるようにしてください。SCP-506-JP-Aには餌として湿らせた家畜用標準飼料を与えてください。

人間に融合したSCP-506-JP-Aの個体はその人間ごと低脅威度人型生物収容ロッカーに収容されます。このような個体の収容の際には人間に対する標準的な収容手順に従えば十分です。

説明: SCP-506-JPは東京都の██████区に存在する、面積にして約█████m2の領域です。SCP-506-JPは収容以前は公道として使用されていました。SCP-506-JP内の路面にチューインガムが存在しない限り、SCP-506-JPは異常性を示しません。人間が咀嚼したチューインガムをSCP-506-JP内の路面に置いてから30秒程度経過すると、チューインガムは瞬間的にSCP-506-JP-Aと指定される実体に変化します。ただし、SCP-506-JP-Aに変化する前にチューインガムをSCP-506-JPの路面から離すことで、チューインガムがSCP-506-JP-Aに変化することを防止することが可能です。また、チューインガムがSCP-506-JP-Aになるには、チューインガムの体積が少なくとも1.2cm3以上ある必要があるようです。なお、SCP-506-JPのこの異常性は路面の材料を取り替えても消失しません。SCP-506-JPを構成していたコンクリート材や土壌などが路面から除去されると、除去された構成物は異常性を示さなくなります。

SCP-506-JP-Aは知性をもつ実体です。SCP-506-JP-Aの外見は咀嚼されたチューインガムそのものですが、表皮には光や温度、圧力などを感知できる微小な感覚器官が遍在し、体内には内臓のような構造が確認されています。SCP-506-JP-Aは木の葉や動物の死骸などの生体由来の有機化合物を餌とします。SCP-506-JP-Aはレベル1焼却処理により安全に無力化することが可能です。なお、全身に大きな圧力をかけられたり、身体が欠損したりした場合でも無力化されることがあります1。SCP-506-JP-Aの身体を構成する物質のほとんどは元となったチューインガムと一切変わりませんが、SCP-506-JP-Aは次のような特性を持ちます。

  • 最大で秒速5cm程度の速さで這って移動することができる。10cm程度の高さまで跳躍することも可能。
  • SCP-506-JP-Aは身体を柔軟に変化させ、扉と床の隙間などを通ることが可能。ただし、2.1mm以下の幅の隙間を通ることはできないことが確認されている。
  • 身体の粘着性を活かし、壁に張り付きながら移動することも可能。
  • 高度に発達した視覚や聴覚を持つ。視覚については380~760nmの範囲の光を認識でき、聴覚については20~2万Hzの範囲の音波を認識できると確認されており、人間の視覚と聴覚とほぼ同程度の機能を有するようだ。また、日本語の文字や音声を認識する能力をもつことが確認されている。
  • 人間の行動や日本の都市機能についての豊富な知識を有していることも確認されている。また、SCP-506-JP-Aの個体は自分自身や同一の存在に対する認識が大概一致している。これらの認識は先天的なものと推測されている (補遺を参照)。
  • 元となったチューインガムを咀嚼した人間 (以下、対象者) の位置を探知することができる。未知の手段により、対象者との距離と対象者のいる方向を認識することが可能。

SCP-506-JP-Aは飢餓状態でない限り、対象者の元へ移動しようとします。多くの場合、SCP-506-JP-Aは対象者の移動の傾向を分析し、対象者の行動パターンから対象者の住居の位置を割り出します。対象者の住居に到着すると2、玄関や窓、排気口などから住居に侵入します。対象者が住居に入るときに対象者の衣服に飛び移り、衣服に貼り付くことで侵入することもあります。その後、対象者に存在が悟られないように家具の陰などに潜伏します。そして、対象者が睡眠を始めると、SCP-506-JP-Aは活発な活動を再開します。SCP-506-JP-Aの多くの個体は最初に台所や洗面所、浴場などを探して、自身の肉体を石鹸や水気の多い面に擦り付けようとします。確認されている限りでは約7割のSCP-506-JP-Aの個体がこの行動を試みました。ただ、便器の中でこの行動を行った個体は確認されていません。この行動をとった個体も、とらなかった個体も、最後には対象者の口の中に入り込もうとします。

SCP-506-JP-Aは対象者の口の中に入るのに成功すると、即座に対象者の口腔や咽喉内部の組織と融合します。それ以降、SCP-506-JP-Aは移動能力を失いますが、知性は保持し続けます。また、対象者の視覚や聴覚などの感覚を認識していることが確認されており、未知の手段によって対象者に対して積極的に意思の伝達を行います。融合したSCP-506-JP-Aは対象者の血管から栄養分を吸収するほか、口内の食物を直接捕食することもあります。一度融合したSCP-506-JP-Aは外科手術を施さない限り取り除くことはできません。対象から切除された場合や、対象が死亡した場合、SCP-506-JP-Aは数分以内に無力化されます。なお、SCP-506-JP-Aの対象者の口内での融合の際に、SCP-506-JP-Aが対象者の咽喉を塞いで窒息させた事例が確認されています。SCP-506-JPの異常性が発見されるまでに██名の人間がSCP-506-JP-Aの被害に逢い、そのうちの約1割に当たる██名が窒息死しました。

補遺: 20██年██月██日、SCP-506-JP-Aの一個体 (SCP-506-JP-A-███) に対してインタビューが行われました。SCP-506-JP-A-███はSCP-506-JPの路面で生成された後にすぐに回収された個体であり、他のSCP-506-JP-Aの個体からは隔離されて管理されていました。後日に同様のインタビューや様々な実験を複数のSCP-506-JP-Aの個体に対して行ったところ、このインタビューの内容とほぼ同等の結果になりました。

対象: D-██████、SCP-506-JP-A-███

インタビュアー: ████博士

付記: D-██████はSCP-506-JP-A-███の元となったチューインガムを咀嚼した人物である。SCP-506-JP-A-███に消毒のための洗浄を施し、その後にD-██████の口内と融合させた。D-██████には事前に自身を通してSCP-506-JP-A-███とのインタビューを行うという旨が伝達されていた。また、このインタビュー中ではSCP-506-JP-A-███は"A-███"という略称で呼ばれている。

<録音開始>

████博士: それではインタビューを開始します。A-███、どうしてあなたは自分の体の元になったガムをかんだ人間を探していたのですか。

D-██████: えっと、(2秒間の沈黙) そいつは自分の母親に会いたいからって言っている。

████博士: 母親ですか。

D-██████: 自分たちの体をかんでくれた奴は自分たちにとっては母親みたいなものだ。生き物ならば母親に会いたがるのは当然だ。車に轢かれようが踏み潰されようが母親には会いたいに決まっていると言っている。

████博士: でも、あなたの体を作ったのはチューインガムの製造者であって、その「母親」ではないでしょう。

D-██████: (2秒間の沈黙) その言い方だと、お前の母親は農家ということになる。肉体の材料の提供者は母親ではない。誕生のきっかけを与えるのが母親だ。そう言っている。自分で言っていて意味が分からない。

████博士: D-██████、あなたの感想は必要ありません。A-███、どうしてあなたは母親の口の中に入りたがったのですか。

D-██████: (3秒間の沈黙) 地球の生き物は海で生まれ、そして人間たちは海の中で泳ぐのを好むと聞く。自分たちにとっての海は母親の口の中だ。母親の口の中という名の海の中で、母親と一緒に一生を過ごすことが自分たちの理想だ。そう言っている。

████博士: そうですか。そういえば、あなたたちの仲間の中には、母親の口の中に入る前に、台所などで自分の体を石鹸や濡れた場所に擦り付ける行動をとる者が多いみたいですね。どうしてそのような行動をとる者が多いのか知っていますか。

D-██████: (4秒間の沈黙) それは体を洗うためだ。ガムとして生まれた自分たちでも、さすがに外界の穢れをつけたままで母親の口の中に入るのはためらわれる。自分もできればそうしようとしただろう。先生が自分の体を洗ってくれたのには感謝していると言っている。

████博士: なるほど。ところで、あなたたちの仲間が母親の口の中に入り込んだせいで、その大切な母親を窒息させてしまうことがあるということを知っていますか。

D-██████: 嘘だろ、ガムのせいで死ぬところだったのか。

████博士: D-██████。

D-██████: ああもう。分かっている。 えっと……。(6秒間の沈黙)

████博士: D-██████。

D-██████: 分かっているっての。えっとな、そいつはこう言っている。自分たちの仲間の中には、自分は母親に会いたいのに、母親は自分を寂しい道端に捨てたという風に自分の境遇を解釈する奴もいる。そういう奴は母親に会っても、憎しみのあまりに喉を塞いで殺してしまうそうだ。自分たちのほとんどはそんな危険な奴じゃなくて、母親と喋りながら穏やかに暮らしたいと思っているだけと言っている。

████博士: そうですか。分かりました。ところで、あなたはあなたの仲間に一度も会ったことがないはずです。それにしては、まるで仲間全体の意見を代表するような返答をしていましたね。どうしてそのように返答したのですか。

D-██████: (8秒間の沈黙)

████博士: D-██████。

D-██████: ちょっと待て。俺のせいじゃない。何と言うか、お前に何が分かるとか、そんな感じのことを怒鳴り散らしていてまともに喋らないんだ。この質問には答えられないんじゃないか。

████博士: 分かりました。それでは、後日改めてインタビューをすることにしましょう3。今回はこれで終了です。お疲れ様でした。

D-██████: なあ、先生。ちょっと聞いていいか。

████博士: 少しならいいですよ。

D-██████: このガム、インタビューを始めるまでずっと話しかけてきたんだ。ずっと俺のことを母さん、母さんって呼んでくるんだよ。頭の中がうるさくてうるさくて仕方なかったんだ。今は今で騒ぎまくっているしさ。このガムって取れるんだよな。取ってくれるんだよな。

████博士: 大丈夫ですよ。

<録音終了>

付記: インタビューの後にいくつか実験を行い、その後、SCP-506-JP-A-███はD-██████とともに収容された。

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