SCP-5160
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慈善団体「Grandmother Sheep」のロゴデザイナーと撮影会を行っている最中のSCP-5160、帽子は脱いでいる。

アイテム番号: SCP-5160

オブジェクトクラス: Keter

特別収容プロトコル: SCP-5160は、財団が物理的に保護できている間はカメラで監視された中型の家畜用囲い地に収容されています。標準食料と保護設備を備え付けてください。SCP-5160には軽めのグルーミングを月1回行ってください。

財団がSCP-5160の出現場所を特定できるように、SCP-5160には特注の追跡用飾り襟を取りつけています。SCP-5160がパブリックスクールの付近に出現したことが確認された場合、財団のエージェントはチャリティー募金のマスコットキャラクターの回収を装って敷地内へ立ち入り、SCP-5160がキャンパスから遠ざかるように誘導してください。誘導の過程で子供がSCP-5160と触れ合う行為は、後に少量の記憶処理剤が投与される場合は許可されます。SCP-5160が消失し、一般的にみられる囲い地の中に再出現した場合、行動を取る必要はありません。

SCP-5160が生成したSCP-5160-1のうち、明らかに異常性を持つものは全て差し押さえ、最寄りの財団サイトの保護に置かれます。SCP-5160-1が異常性を持たない場合は、元の受取人へ提供されます。現在、SCP-5160-1は27個収蔵されています。各アイテムは、クリアランスレベル3以上の研究員を伴った実験において使用することが許可されます。顕著な異常性が示されなかったSCP-5160-1は、SCP-5160からアイテムを受け取った元の人物へ返還することが許可されます。追跡調査は必要に応じて継続することができます。

民間人によってSCP-5160の調査が行われることを防ぐため、「Grandmother Sheep」と名付けた財団の架空会社(SCP-5160をマスコットキャラクターとして使用)が、偽情報作戦の一環で設立されています。当企業は、低所得家庭の学生へ衣服、とりわけ手作りのウール製品の提供を目的とした非営利の慈善団体の役割を果たしてください。

5人の財団エージェントで構成された常駐チームが、架空会社「Grandmother Sheep」の書類関係の維持や寄付、配布を執り行ってください。加えて当チームは、SCP-5160と類似した異常性のないマスコットと共に「meet-and-greet」イベントを行い、定期的な公的行事への参加を推し進めてください。行動記録が良好なDクラス職員を、上記任務を援助するために採用することが許可されています。Dクラスのために編み物講座を開催することに協力的なベテランの財団の研究員は、有給休暇を取ることが許可されています。

説明: SCP-5160は、紫色のリボンと蝶ネクタイで飾られた「尖ったウィッチハット」を身に着けた1メスのウェサンシープ(Ovis aries)です。SCP-5160の外見は異常性のない老齢の羊ですが、加齢の兆候を見せていません。SCP-5160は人間の側に近づくと、その人物にとって心地よく快適だと感じさせる芳香を発します。

SCP-5160を継続的に観測すると、観測者は自身の祖母と似た実体が徐々に見えてくると述べます。これには髪型、アクセサリー(眼鏡、宝石、ヘアカラー等)、服装(エプロン、ニット)も含まれます。この視覚異常は観測者にのみ現れます。

およそ週に1回、SCP-5160は色の付いた煙幕の中に消え、貧困街2に再出現する様子が観測されています。SCP-5160は消失後、人の集まっている場所を見つけ出し、人が近づいてくるのを待ちます。SCP-5160に話しかけた子供(18歳未満の人物)は、SCP-5160の帽子から生成されたウール製の衣類を提供されます3。これらのアイテム(SCP-5160-1と呼称)は軽微な異常性質を持ち合わせていることが判明しています。これまでのところ、この異常性質が表れるのは受取人のみであることが判明しています。受取人が保持することが認められているSCP-5160-1の部分的なリストは以下の通りです。

衣類 異常性質 受取人/受取人のバックグラウンドの要約
黒のミトン かすかな「暖め」効果。おそらくは手の温度を維持しており「誰かが手を握っているように感じる」とされる。 ██████・サミュエル。両親がフルタイムで働いているため、しばしば無料の放課後プログラムに預けられていた。遅い時間まで家に帰れないことが頻繁にあった。
薄いグレーのビーニー帽 (自己申告)「帽子がささやきかけてきて、色々なことを思い出す手助けをしてくれる。」 ███・ゲイブ。忘れ物をし、クラスメートの名前をすぐに忘れてしまうことから、以前はいじめを受けていた。
サーモンピンクのセーター 自信がつき、全身の筋力が若干向上した。対象は「誰かが応援してくれているように感じる」と述べた。 ██████・レイナ。怪我をすることや「チームのお荷物になる」ことを恐れて、スポーツや外での活動に参加しないことが頻繁にあった。
黒のスカーフ (自己申告)「スカーフを身に着けていると、すぐに面白いことが思いつき、楽にみんなを笑わせることができる。」 █████████・エスメラルダ。憶病な性格だと言われ、小学校低学年の時は友人を作れずにいた。
白の靴下 (自己申告)「勉強中に靴下を履いていると、心がより落ち着くように感じる。足を覆うウールの感触に気を向けていると、気が散ることが少なくなる。」 ███・ヒロシ。大学1年生。全額奨学金を取得して高校を飛び級で卒業していた。
白のミトン (自己申告)「ミトンを見ると、その模様が雲やアイスクリーム、幼少のことからお気に入りだった毛布といった、楽しいことを連想させるもののように見えてくる。」 ██████・ガリル・幼少期は目立たない子供だったとみられるも、母親が重度の産後うつ病を患っていることが分かっている。

補遺 SCP-5160-1: SCP-5160は、フランスの同地域内にある多くの小学校で「かわいらしい帽子をかぶった迷い羊」1頭が構内をうろつき、捕獲できず逃げられていると通報を受けた際に初めて財団の目を引きました。結果的に調査から数か月後、財団のエージェントはイギリス・ノースヨークシャー州の████████小学校にて、SCP-5160を捕獲することに成功しました。

派遣された収容スペシャリストが報告のあった場所に到着した際、チームメンバーの半分4に対して、SCP-5160は体長5mの母方の祖母の姿となって出現しました。追加の援助が要請され、SCP-5160は最寄りの財団サイトに問題なく移送されました。

初期収容時、SCP-5160が長期間姿を消し、サイト内の他の部屋へ再出現するという結果が繰り返されるため、SCP-5160の収容は困難を極めました。研究員は新鮮な果物とその他のおやつを用いて、一般的にみられる囲い地にSCP-5160が戻るよう誘導することに成功しました。しかし、SCP-5160がサイト内の休憩室に出現した結果、SCP-5160は編み物雑誌を好んで読むことが分かりました。定期購読の雑誌を月に数冊(及び既刊のものを保存しておくカゴ)用意しておくことで、SCP-5160を長期間囲い地に留まらせることに成功しました。

その後の数か月のうちに、財団職員はSCP-5160とコミュニケーションを取ろうとしました。SCP-5160は一貫して2択("はい/いいえ")の質問にのみ反応5を示し、 「おばあちゃん」あるいはそれに類する呼び方で話しかけられた場合は、1日につき3回だけ質問に応答します。SCP-5160とは以下の内容について暫定的な合意を得ています:SCP-5160が財団に対し従順であるならば、その見返りとしてSCP-5160のイメージを用いた慈善団体を設立し、サイトの年間予算の一部を当慈善団体に充てます。また、慈善団体のロゴデザインなど、広報活動の方法についてSCP-5160に最終的な決定権を委ねることになっています。

補遺 SCP-5160-2: 慈善団体「Grandmother Sheep」の設立からおよそ3か月後、財団の潜入エージェントは、団体を通じてアイテムを受け取った子供たちから、手紙や絵を受け取るようになりました。████ █████博士(SCP-5160プロジェクトにおける主席の収容スペシャリスト)は、文書アーカイブ内に作品を保存する代わりに、SCP-5160の囲い地の中に作品を保存することを推奨しました。大きな掲示板が収容エリアに加えられ、SCP-5160の気に入った手紙や絵画6を展示することができるようにしました。

この変更を行った直後、SCP-5160は██████博士の幼い娘の為にウールの靴下1足を、████ █████博士にプレゼントしました。これまでに観測されている唯一の異常性質は、この靴下を夕方や夜に履くと、穏やかなピアノ音楽が小音量で流れるというものです7。アイテムを詳しく調べると、靴下の裏地に小さい文字で「おばあちゃんはあなたのことを信じてる」と刺繍されていました。

現在、当アイテムの暫定的な監督権が██████博士に与えられています。

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