SCP-5191
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アイテム番号: SCP-5191

オブジェクトクラス: Neutralized

特別収容プロトコル: エージェントは、かつて公表されていたSCP-5191の郵便宛先を、手紙が届かない期間が2年間続くまで監視します。注文書が届いた場合、エージェントはその送付者、並びに送付者の行動を知っている可能性がある全ての人物を追跡、尋問、記憶処理します。

説明: SCP-5191はかつて“ユア・リトル・マンチキン”1、後年には“リトル・マンチキン株式会社”2の名称で知られていた、アメリカ合衆国を拠点とする団体でした。この団体の目的は、出産や養子縁組が不可能な夫婦・家族に新生児を提供することでした。

リトル・マンチキン社の名は数十年間、それなりに広く知られていましたが、内部資料が一般社会に漏洩した2001年まで、財団はその異常な活動を認知していませんでした。この資料から、1968年以降、顧客の大多数が自らの子供に求める容姿、情緒の安定性、将来的に示してほしい行動パターンなどを非常に詳細に書き送っていることが発覚しました (文書-5191コレクションを参照のこと) 。これらの注文と提供された子供を比較したところ、顧客が希望した性質と97.8% 100%3正確に合致しました。

これに応じて、財団はSCP-5191を強制的に倒産へと追い込み、資産を買収しました。SCP-5191の精子・卵子バンクから、遺伝子関連の異常や工学技術の形跡は発見されませんでした。このため、リトル・マンチキン社は胎児の将来の発育を決定付けるための異常な方法を発見していたと判断されました。同社がこのプロセスをいつ開発したかは、関連記録が全て破棄されているため不明です。

文書-5191コレクション: 以下は回収されたSCP-5191宛ての手紙です。

文書-5191-1 (1953年4月23日に送付):

コウノトリさんへ4

ぼくは10才です。生まれてからずっと一人っ子です。学校に友達はいるけど、家につれて帰ることはできません。みんな自転車で自分たちのお母さんお父さんの家に帰ります。家でいっしょに過ごせる友達がいればいいのになと思います。お母さんとお父さんは、もう一人子どもがほしいけど、責任を取れるか分からないと言います。でもぼくは新しい兄弟の責任を取ります。ぼくの家ではもうナビーという名前のネコを飼っています。ぼくがいつも兄弟の面どうを見ます。それにぼくは学校で先生のお手伝いをしているので、新しい兄弟の勉強を助けることもできます。

ぼくに新しい兄弟をすぐに送ってください。

ガブリエルより

文書-5191-2 (1965年2月5日に送付):

拝啓、ユア・リトル・マンチキン様

夫と私から1つお願いがございます。実は、私たちはどこにでもいるような普通の子供ではなく、美しい青い目の子供を探しております。近所の養護施設では見つけることができず、もちろん産むことはできません。

これが皆様の負担にならないよう願っておりますが、私たちは、この手紙に目を通す社員の方が、希望通りの子供を選び出す時間を割いてくださるものと信じております。お分かりいただけるでしょうか。昨今、印象的な青い瞳はそれだけ希少な資質となりつつあるように感じられます。皆様のお手数に見合うだけの金額を喜んで寄付させていただきます。

お読みいただきありがとうございました。

文書-5191-3 (1968年6月10日に送付)

拝啓、████████ ██████様5

このたび、貴社が企業として本格的に歩み出したことをお祝い申し上げます。貴社が確立されたビジネスモデルはまさしく永遠の安定性が確保されており、ビジネス業界の他の人々が羨むものであることは間違いありません。

また、この機会に、現在募集中の職種があればお伺いしたいと思います。私はフルタイムの投資家、並びに██████株式会社の取締役としての経験を積んでおります。私が貴社に勤めることによって、貴社の利益は既に見込まれるものに加えて、更に3倍に膨らむでしょう。

ご検討のほど宜しくお願い致します。

█████ █████████

文書-5191-46 (1969年11月19日)

ハロー、YLM

友達の友達からお宅の新しい特色を幾つか聞いたおかげで、やっと一歩踏み出して親になる決心がついたよ! まず3人ほど子供が欲しい。多いと思うかもしれないが、経済状況を心配する必要は無い。全員養うのには十分すぎるぐらい稼いでる。

俺が望む資質はただ1つ、子供たちに泣かないでほしいということだ。いや、別にすねたり怒ったりするのは構わないんだが、泣かれると気が狂いそうになるんでね! 子供をなだめるのに一晩中費やすのもなんだし、せめてテレビ番組ぐらいは平穏に楽しみたいじゃないか。

届くのが待ちきれないよ! 本当にありがとう、可愛い子にしてくれよな!

文書-5191-57 (1975年1月14日に送付):

親愛なるYLM株式会社様

体重7ポンド3オンスの男児を希望いたします。名前はアダムとする予定です。横に撫で付けやすい髪の毛を持つ、高身長で細身の男の子に成長します。疑問に思ったことは、私や父親に質問せずとも自力で答えを見つけられます。パーティーに出席する時は、話しかけられるまで静かに立っています。返答する時は、パーティーの主催者を魅了するような答えを返します。どんな食べ物でも喜んで食べ、どんな服を着せられても文句を言いません。耳に快い歌声の持ち主です。最高峰の実務専門学校を卒業し、堅実な投資家になり、できる限り早く経済的に自立することができます。

リクエストを受けていただければ幸いです。

文書-5191-6 (1998年12月26日に送付)

拝啓、カスタマーエクスペリエンス代表者へ

私は苦情を申し立てるためにこの手紙を書いている。君たちが送ってくれた娘のおかげでとんだ恥をかいた。

つい昨日、私たちは隣人のクリスマスパーティーに出席した。プレゼントを交換し合ったのだが、ここ数年間、私から送るプレゼントは、娘が出席者全員に向けて歌う“きよしこの夜”だった。皆はいつもそれを受け入れてくれていた。ところが昨夜、歌っている最中に、娘の視線が聴衆から離れ始めた。頭を下げ、足元を見つめた。歌い終わると、娘は洗面所に駆け込んだ。後を追った私は、問題に気付いた。娘は涙目になっていたのだ。娘は昨夜ずっと洗面所に籠ったままで、他のパーティー出席者は不愉快な痛ましい目つきで私を見続けていた。

娘は体調を崩していたか、或いは感情的になっていた。君たちの宣伝文句通りならば、本来あり得ないことだ。私は健康で機能性のある子供を注文したし、娘は昨夜までは実際にそうだった。娘を損傷するようなことは何もしていない。食べ物も水も世話係も与えてきた。家1軒分の生活空間も確保した。私は娘を一人きりで放置してきた。私の側には何の過失も無いと証明できる。危害は全く加えていない。

何人か従業員を派遣して、ヴァレリーを元通りに直してもらいたい。君たちの希望通りの金額を払うし、すぐ来てくれるならボーナスを出してもいい。この件について長々と考えたくはない。

敬具、

アダム・ジェイコブソン

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