SCP-5200
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アイテム番号: SCP-5200

オブジェクトクラス: Keter

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SCP-5200の映像出力。

特別収容プロトコル: 収容施設の他区画から独立した電源を備えているヒト型生物収容チャンバーが収容目的で構築されています。予期せぬ故障を防止するため、SCP-5200の表示画面として使用されるNTSC対応テレビは6ヶ月ごとに交換しなければいけません。

SCP-5200の監視は6時間交代制で昼夜問わず維持されます。自己満足による不注意を防止するため、職員はSCP-5200への配属と現地における他の職務の間を定期的に配置換えされます。SCP-5200に起因する時間的遅延は全て担当研究員によって報告、記録されるべきです。

SCP-5200-Aは、継続的な生存と安楽な状態を確保するため、各種の生命維持装置に接続されています。以前はアルカディアから取得された技術が、電子テニスゲームのスキルをSCP-5200-Aの小脳にエンコードする目的で運用されていました。この技術はまだ存在しますが、積極的には使われていません。

SCP-5200-1、SCP-5200-2、SCP-5200-3の空間的位置に関する情報へのアクセスは厳格に規制されます。情報セキュリティを保護するため、SCP-5200を観測する手段を有する全ての航空機関、宇宙機関、その他の類似組織には財団エージェントが潜入しています。SCP-5200に関連する北アメリカ大陸の遺跡からは全ての関連遺物が除去されています。

かつてSCP-5200に関与していた電子機器製造業者1は監視下に置かれます。これらの企業が破産した場合、その資産は清算、分析、処分されます。

現時点では、財団の宇宙航行エージェントがSCP-5200に干渉する、または無力化を試みる計画はありません。戦略の変更を余儀なくされる状況になるまでは、現在の収容プロトコルが維持されます。

説明: SCP-5200はサンダース・アソシエイツ所属のエンジニアであるラルフ・ベアが設計・構築した、NTSC対応のテレビに接続する仕組みの電子機器です。SCP-5200が生成するグラフィックはごく簡素であり、2枚の白いパドルとその間を跳ね回る正方形で構成されています。

SCP-5200から生成される映像出力は、約65億km離れた太陽系の端に存在する幾つかの異常な天体の動きと直接的に相関しています。これらの天体はSCP-5200-1、-2、-3と指定されます。

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収容後に撮影されたSCP-5200。

SCP-5200-1と-2は同一の平面であり、重力の影響を受けずに自由に動きます。SCP-5200-3はブラックホール、またはそれと同じ特性を有する未知の宇宙空間異常です。SCP-5200が回収された際の状況は、仮にSCP-5200-3が現在の空間領域を離脱した場合、地球がその標的となることを示しています。

SCP-5200の操作者であるSCP-5200-Aは、アルカディアの技術と統合される以前は“ダナ・アルコーン”2として知られていました。SCP-5200-AがSCP-5200-1を、未知の地球外実体がSCP-5200-2を制御しています。

現在のSCP-5200は地球上に存在した最初の実例ではありません。財団の古生物学者はその起源を白亜紀まで遡る技術部品の残骸をネバダ州で発見しましたが3、発見当時はそれらが別な異常存在の一部に過ぎないとは判明しませんでした。この装置の下面には“IMHAS MUL APIN”4というシュメール語の文章が彫り込まれていました。装置が作成された時代に人類はまだ進化しておらず、この文章が意図していた読み手の正体は不明です。

歴史: SCP-5200の最初の設計図は1966年、アメリカ合衆国大統領リンドン・B・ジョンソンの睡眠中に“宇宙人”が訪れて“何か訳の分からん電気機械のようなもの”を彼の精神に移植したとされる事案の後、ジョンソン大統領自身によってスケッチされました。ホワイトハウスはジョンソン大領領のスケッチを防衛生産契約企業のサンダース・アソシエイツに送付し、同社はエンジニアのラルフ・ベアをこの職務に割り当てました。

サンダース社と協力していた財団の研究者は、ベアがSCP-5200を初めて起動した際に同席していました。画面上を流れるテキストが、装置の使用法と、それによって制御される物について基本的な指示を提供しました。現場に記録装置はありませんでしたが、出席していた科学者たちは速記でこの指示を書き起こすことができました。本来のドイツ語から翻訳された文章は以下の通りです。

[君の最後の対戦から6500万サイクルが経過したらしい。]
[君の接続状況は少しも改善されていない。]
[これではあまりにも遅すぎる。]
[画面上でボールを動かせ - 高得点が何よりも大切だ。]

SCP-5200-1、-2、-3の存在が確認された後、ベアと部下のエンジニアたちは財団と契約を結んでSCP-5200の操作者を務めました。この状況が無期限に続いた場合、最終的なヒューマンエラーの発生は避けられないため、潜在的なSCP-5200の操作者を発見するための公開プレゼンテーションが幾度か開催されました。

こうしたプレゼンの1つにおいて、当時のアルカディア代表者 ノーラン・ブッシュネルが財団に接近し、彼の企業の技術を使用することを提案しました。SCP-5200を無期限に収容できる装置の開発と引き換えに、財団はアルカディアの活動に資金を提供するという条件の合意が成立しました。

アルカディアはダブニー・シジギ抑制機構(異常な妖魔エネルギーを操作できる装置)と人間 ダナ・アルコーンの精神を併用しました。アルコーンの脳幹と中継装置を有線接続した結果、その接続を通してSCP-5200の全ての非異常性コピーから彼女の脳内に情報が送信されるようになりました。

財団はビデオゲーム“ポン”とその模造品の大量生産に資金を投入し、広く流通させました。これによってSCP-5200-Aは、公式/非公式を問わず、コンソールを使っている全ての“ポン”プレイヤーのゲームプレイスキルを獲得することができました。この手配が完了した時点で、財団は全てのSCP-5200関連資産を押収しました。製造用資産はアルカディアに引き渡され、監視エージェントが配置されました。

1973年以降、SCP-5200-Aと正体不明のSCP-5200-2操作者は膠着状態にあります。

補遺5200-1: 事案5200-A-56

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SCP-5200-3から出現した未知のオブジェクト。

2017年10月10日、SCP-5200-Aは予期せずSCP-5200-2を打倒しました。事案後に行われた監視映像の分析は、SCP-5200-Aが唐突かつ予想だにしない操作で対戦相手への奇襲を仕掛けるため、過去6ヶ月かけて少しずつパドルを動かしていたことを示唆します。

その場に居た研究者が反応する前に、SCP-5200-Aは立ち上がりました。全ての監視装置は故障し、閃光が事案を目撃した財団職員の網膜を焼きました。これ以降SCP-5200-Aは行方不明です。

同時に、財団の望遠鏡と衛星は、SCP-5200-1及び-2が残骸やその他の痕跡を残さず瞬時に消滅するのを記録しました。その後、未知のオブジェクトがSCP-5200-3から放出されました。

後日、この未知のオブジェクトはハワイの天文台によって観測され、財団外部の天文学者から“オウムアムア”と呼称されました。対象は何事も無く太陽系を通過しました。この事案以降、SCP-5200は英語の2単語のみを表示しています。

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