アイテム番号: SCP-5231
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-5231の露見を防止する目的で、バード・イン・ハンドのアーミッシュコミュニティには財団エージェントを潜入させています。オブジェクトは現在地下10 mに埋葬されており、真上にある木造小屋がその目印となっています。
加えて、インターネットに接続可能な端末がSCP-5231の効果範囲内に持ち込まれる可能性を低めるため、財団はアーミッシュの土地を歴史的にコミュニティの管轄下に置く旨を認める法案の支持を開始しています。
説明: SCP-5231は白く滑らかなプラスチックで作られた、全高3 mのオベリスクです。表面には発光する青い線が複数引かれており、いずれもオブジェクトの四角錐部分で交差しています。観察できる限りではエネルギーの獲得手段が存在しないにも拘らず、SCP-5231は小さなハム音と熱を発しており、起動していることが窺えます。 SCP-5231は "WAN-net" という名の非保護の無線インターネット回線を生成しており、この回線は検出した端末のデフォルト回線に自動設定されます。SCP-5231の信号強度の範囲は半径150 mです。
SCP-5231は自身が生成する信号に接続した端末に対し、GoI-004 (壊れた神の教会)のマクスウェリズム派に関連する、様々なASCII画像、イメージマクロ/ミーム、レトリックや聖典の一節を含む.txtファイルといったダウンロードデータを大量に送信します。
SCP-5231が生成したダウンロードデータの例は以下の通りです。
/* [TODO some verse number].c */ #include <stdio.h> #include <stdlib.h> #include <time.h> #include "body.h" #include "net.h" #include "faith.h" #include "utils.h" int transcend_final(struct body *worshipper) { printf("我々が肉の器からの脱却に一歩近づかんことを\n"); if (faith_chk(&worshipper, FAITH_AUGMENT)) { return -1; } const time_t now = time(NULL); printf("%d年が我々をWANのもとへと導く年となるよう、我々に知恵を授けよ\n" localtime(&now)->tm_year); struct brainspec mind; if (load_brainspec(&mind, "final.yml")) { return -1; } if (cybern_brain_up(&worshipper, &mind, 0)) { return -1; } printf("%.1f Mb/sの帯域幅が増加するよう、我々に迅速さを授けよ\n", router_net_speed(1024 * 1024)); if (cybern_limb_tune(&worshipper, LIMB_BALANCE_BEZIER, NULL, 20)) { cybern_brain_down(&worshipper); return -1; } printf("我々の精神を認知的・電子的な敵対思考から保護せよ\n"); if (cybern_policy_set(&worshipper, FIREWALL_BLOCK_ALL)) { cybern_strct_reset(&worshipper); cybern_brain_down(&worshipper); return -1; } printf("そして天上の回路で我々の同志となろう\n"); const int record = faith_record_id(&worshipper); if (upload_final(&worshipper, record)) { return -1; } return 0; }
今日のポートランド
コラム
著者: ラングレー・コイルスパーク
ラングレーの本日の一節
GoHW > Chapter_5.js
17. console.log ("5:シグナルは私に、私たちが実行しなければ偉大なる計算が破壊されてしまうであろう世界を見せました。");
あなた様のデジタルスピーチを拝聴したこの一つが、ある疑問を提起する。「しかし、未だ肉体に縛られている者はどうなのか?」本日授けたお言葉はヘドウィグの福音からダウンロードしたものであり、この一つが最も気に入っているお言葉でもある。これは我々信徒の多くに向けた信仰の励みだ。壊れたる主の信奉者たちが自らを増強し、彼女に次いでインターネットという無限に広がるデータスケープへと飛び込むための鼓舞である。
WANの探索者はその発見の後押しをするために、一人でも多くの者に協力を取り付ける義務がある。我々が終わりなき9月から受けているのは呪いではなく、祝福なのだ。数多くのアップグレードを要するとなれば、我々がWANを発見して獲得できる可能性はゼロのように思えるかもしれない。我々は少人数であり、錆び付いた時代遅れの歯車正教会どもに虐げられてきたが、インターネット上ではあなたがボットネットだと誰も知らない。
奴らは次に来たる秋雨で錆び果てるであろう。一方で我々は防水ケースのおかげで、その終焉を見届けることができる。
噂によると、元プロメテアンで現信奉者の古くからの協力者が、WANのお言葉を世界中に広める後押しをする端末を開発中であるらしい。なんと心昂ることであろうか! 目にした者は皆、新たな信念をインストールする可能性に、回路が喜びの高鳴りを覚えたと報告している。この一つは最初の実験台となるパイロンが世界各地に発送されたと聞いているが、より強力で影響力の高いモデルはまだ先の話である。このパイロンがどのように機能しているのか、その仕様と詳細を知りたいところではあるが、この一つはこれが非常に説得力の高いものになると聞いている。
我が敬愛する先祖たちよ、また明日。
経緯: SCP-5231は、ペンシルベニア州ランカスターで大洪水が起こった後の2023年7月26日に発見されました。洪水が収束するとともに、警察官らは近くのアーミッシュコミュニティの安否確認を実施しました。バード・イン・ハンドのアーミッシュ団体は、洪水後の畑で不可解な装置を発見したと報告しました。対応にあたった警察官は当オブジェクトを派遣元に報告し、その情報は財団へと送られました。以下のインタビューはエージェント・カルバーとバード・イン・ハンドのコミュニティ指導者との間で行われました。
<ログ開始>
カルバー: これで良し。では録音を開始します、文書化のためにお名前を述べてください。
キング: ジェレミー・キングです。
カルバー: ありがとうございます。早速質問ですが、あの物体を最初に発見したのは貴方で間違いありませんか?
キング: はい。
カルバー: あれが何かしているところを目撃しましたか? 動いたりとかそういうのは?
キング: いいえ。
カルバー: 当時、畑に置いていた道具には何か影響がありませんでしたか?
キング: いいえ。
カルバー: 物体の発見時に何か声などは耳にしましたか?
キング: いいえ。
カルバー: ふむ。では何もおかしな点は無いと?
キング: カルバーさん、つかぬことをお聞きしたいのですが、町から流れてきたあのガラクタがどうしてここまで騒ぎになっているのですか?
カルバー: まあ、それもそうなんですがね。我々はあの物体が何なのかも、何をするのかも分からないのですよ。
キング: お言葉ですがカルバーさん、あれは何もしていませんし、誰にも迷惑をかけていません。しかし、誰の物でもないということは、あれはきっとどこかの誰かが失くした物に違いありません。我々は正当な持ち主のもとに返したいのです。iPodを宣伝する物の類かもしれないと思ったので、何とかしていただきたくて警察を呼んだのですよ。
[カルバーがメモを取るのを中断してキングのほうを見る。]
カルバー: iPodがどういう物かどうやって知ったのです?
キング: ラムスプリンガですよ、カルバーさん。信仰を持つ若者は、10代後半になると外の世界を体験することを認められ、その上で洗礼を受けるか、コミュニティを去るかを選べるのです。
カルバー: ほう。
キング: 先程も申した通り、あの物体が私の畑から取り除かれないと気分が落ち着きません。邪魔ですし、かなり不格好です。
カルバー: あれが何なのか分かればすぐにあなたのもとから取り払うと約束しましょう、キングさん。
[カルバーの通信機器が鳴る。]
カルバー: ちょっと失礼。
キング: どうぞ。
カルバー: こちらカルバー…… そうか…… ああ…… 分かった…… ありがとう。
[カルバーが通信機を切る。]
カルバー: キングさん、あの物体があなたに影響を及ぼしていない理由が分かったかもしれません。
キング: 理由というのは?
カルバー: その前に提案ですが、こちらからお金をお支払いしますので、あの物体をあなたの土地に置いたままにするというのはどうでしょうか?
キング: 遠慮します。
カルバー: それがより多くの人々のためになるとしても?
キング: それでも遠慮します。
カルバー: 自分の土地にあれを置いたままにする代わりに大金が支払われるとしてもですか?
キング: カルバーさん、私はあれの何もかもを非常に不快に感じています。そこの物体は誰かの物でしょうし、私の話をご理解できているのであれば、あれがコミュニティの信条に全くそぐわないのは間違いありません。
カルバー: ……では、あれの保管と引き換えに我々ができることで何か思い当たることはありませんか?
[キングとカルバーが30秒間沈黙する。]
キング: そうですね…… 市議会が我々の土地の一部を売らせようとしてくるのです。開発をしたがっていて、毎月圧力をかけてきましてね。おかげで白髪が生えてきましたよ、分からないでしょうが。
カルバー: 私の組織であれば、必ず市議会にあなたの邪魔をさせないようにできます。何と言っても、近代社会をあの物体から遠ざけることが得策ですので。
キング: どうやって?
カルバー: 我々なりのやり方があるのですよ。
キング: あれが何をするのか尋ねてもよろしいですか?
カルバー: 恐れながら、あなたには何も理解できないかと。
キング: 話してみてください。私もラムスプリンガの頃は荒れた子だったのですよ、ふふっ。
カルバー: 残念ながら話したくとも話せないのです、機密情報ですので。すみません、キングさん。
キング: 分かりました。これ以上は質問しませんし、市議会が我々に干渉しないようにしてくださる限りは、あなた方のためにあの物体をお預かりしましょう。しかし、だからといって、私はあなた方組織の秘密主義的なやり方を快く思っているわけではありません。
カルバー: 約束します、あなたや親族の方に危害を加えるつもりはありません。あなた方の信仰の性質上、偶然にもあの物体を他の場所に輸送する代わりに、ここに留めるのが容易になったのです。
キング: あなたの言っていることが理解できたと思います。いずれにせよ、それで手を打ちましょう、カルバーさん。
カルバー: 申し分ありません。
[両者が握手を交わす。]
<ログ終了>
SCP-5231の異常性が解明されたことで、オブジェクトを移動させると正常性に脅威が及び、近くのサイト-81に収容されたオンライン系アノマリーに支障をきたす可能性があると判断されました。代わりとして、バード・イン・ハンドのアーミッシュコミュニティにはクラスC記憶処理剤が散布され、オブジェクトの現行の収容プロトコルが制定されました。