SCP-538-JP
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アイテム番号: SCP-538-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-538-JPは財団所有の4重のパスワードでロックされた、地下保管庫に収容されています。保管庫内部は球体型で中央の楕円型のプラスチックケースにSCP-538-JPが収容されています。

説明: SCP-538-JPは、異常な性質を持つ、製作者不明の消しゴムです。SCP-538-JPの特異性は、物理的、もしくは概念的にカドと認識されるものをもつ対象に、通常の消しゴムと同様に使用者が手に持ち、こすり合わせるように使用することで発揮されます。SCP-538-JPを上記の物体に使用した場合、物体の持つカドは消失、もしくは、丸みを帯びた形に加工されることで無くなります。対象が複数のカドを持っていた場合は、ランダムに効果の対象の数と規模が決定されることが実験によって判明しています。この際、使用者には何の影響も起こらないことが実験で判明しています。またいくら使用してもSCP-538-JPの体積に変化は起こりません。SCP-538-JPは200█年に店内の物体に角が無い駄菓子屋がある、という噂を聞きつけたエージェントによって発見されました。駄菓子屋とSCP-538-JPの関係性を確かめるために店主に対してインタビューを行ったところ有益な情報が得られたため、記憶処理を施した後、カバーストーリー、「店主の趣味」を地域一体に流布し、解放しました。

インタビュー記録538-JP - 日付200█/█/█

<記録開始>
江ノ島博士 これからインタビューをはじめたいと思います。よろしくお願いします。

駄菓子屋店主 ああ、よろしく頼むよ。

江ノ島博士 それでは、まず始めに██さんが、この異常な性質を持つ消しゴムを入手した経緯を説明していただけますか?

駄菓子屋店主 もらったんだ。

江ノ島博士 もらった?一体誰に?

駄菓子屋店主 2、3年前からうちを贔屓にしてくれている客からもらったんだよ。その男とは店で軽い雑談を続けるうちに、意気投合して、俺の妻が昔、高所の品出しの作業中に落下して、助かるはずの高さだったのに運悪く棚の角に頭をぶつけてしまって死んでしまったことを話したんだ。

江ノ島博士 それは、ご愁傷様です。

駄菓子屋店主 そして、俺はそのことを今でも後悔しているし、物のカドなんて二度と見たくないんだと男に話したんだ。すると、男はそうだったのか、それなら力になれるかもしれない、と言うと次の日にあの消しゴムを俺にくれたんだ。それっきり男は現れなくなった。

江ノ島博士 あなたが望んだから、男が答えたというわけですか。

駄菓子屋店主 ああ、あとはあなた方の知る通りさ、俺は目に入るもののカドを片っ端から消していった。それだけさ。

江ノ島博士 ありがとうございます。これでインタビューを終了します。

実験記録538-JP-1 - 日付200█/█/█

対象: A4用紙にコピーした記号の四角

実施方法: 四角の記号に触れないよう、A4用紙にSCP-538-JPを使用し、その変化を観察する。

結果: 四角のカドが加工されて、円形となりました。

分析: おおよそ予想通り綺麗にカドのみを削っていったな、注目すべきは四角には一切触れていなかったのに四角が加工された点だ。

実験記録538-JP-2 - 日付200█/█/█

対象: A4用紙にコピーした漢字の「日」

実施方法: 漢字の「日」に触れないよう、A4用紙にSCP-538-JPを使用し、その変化を観察する。

結果: A4用紙が楕円に変形し、漢字の「日」も直線の引かれた楕円に変形しました。

分析: 実験記録538-JP-1の実験結果も鑑みた結果、対象が複数のカドを持っていた場合、消失、加工されるカドの数はランダムに決定されるらしいな。

実験記録538-JP-3 - 日付200█/█/█

対象: ミニサボテン

実施方法: ミニサボテンの棘に押し付ける形でSCP-538-JPを使用し、その変化を観察する。

結果: ミニサボテンの細胞壁が全て円形に変形し、形状を保てなくなったミニサボテンはゲル状に崩れました。

分析: 棘をカドとして消失させるものかと思ったが、なるほどそっちもカドと認識するのか。

実験記録538-JP-4 - 日付200█/█/█

対象: D-63872

実施方法: D-63872の頬に押し付ける形でSCP-538-JPを使用し、その変化を観察する。

結果: D-63872の本名が█角 ██から、█ ██に改変されました。この変化は戸籍から健康保険証にいたるまで全ての情報に起こっています。

分析: SCP-538-JPの能力が名前という情報にも及ぶことがわかったのは大きな収穫だろう。

実験記録538-JP-5 - 日付200█/█/█

対象: D-63872

実施方法: 前回と同じ条件でD-63872に対してSCP-538-JPを使用し、その変化を観察する。

結果: 実験後、職員への接し方や生活態度に大きな改善が見られました。

分析: どうやらSCP-538-JPの能力によって角の立たない、丸い性格に改変したらしい。SCP-538-JPの特性は性格という概念にすら影響する上、日本語に対する理解も感じられる。今後、他の言語に対する理解もあるかどうか実験してみるべきだろう。

実験記録538-JP-6 - 日付200█/█/█

対象: D-63872

実施方法: 前回と同じ条件でD-63872に三度SCP-538-JPを使用し、その変化を観察する。

結果: 体内のカルシウム同士の接合部に変化が起こり、[編集済]

分析: 人間が体内のカドを失うとこうなるのか、これ以上人間を使った実験は不要だな。

実験記録538-JP-7 - 日付200█/█/█

対象: 財団所有の廃病院の曲がりカド

実施方法: 廃病院の曲がり角に対してSCP-538-JPを使用し、その変化を観察する。

結果: 重要な柱と建造物の外壁を除く、病院内部の全ての壁が消失しました。

分析: 曲がり角を消失させるために、屋内全てを一部屋にまとめるとはな。念のため、実験場所を移しておいて正解だった。

補遺: SCP-538-JPにはまだ隠された特性があるかもしれない。製作者と思われる、店主に接触した男のすみやかな確保を最優先事項とする。

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