SCP-552-JP
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アイテム番号: SCP-552-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-552-JPはサイト-8181内の低危険物収容ロッカーに保管されます。その際、非透光性の布を用いてSCP-552-JPを包み、梱包用の紐で三重以上に縛ります。また実験でSCP-552-JPを持ち出す際職員には、隙間のないゴーグルの着用が義務付けられます。

説明: SCP-552-JPはFRP製の胸像型マネキンです。全身を白い塗料で着色され、頭部はデフォルメされており、全体的に無性別を意図したデザインとなっています。底部に████社のブランドマークと社名があり、1987年に████社によって同型の製品が製造された記録があります。成分や一般的な物理特性に他のFRP製品との差異は見られませんでした。

SCP-552-JPの特異性は被験者(SCP-552-JP-1に指定)がSCP-552-JPを直接視認した際に起こります。SCP-552-JP-1はSCP-552-JPを視認した際、古くからの異性の友人SCP-552-JP-Aとして認識し会話を始めます。現在までSCP-552-JP-Aの実在は確認されていません。会話の内容は毎回違いますが最後に必ず再会の約束をとりつけ、その後、数日間隔で定期的にSCP-552-JPとの面会を行います。この状態に至ったSCP-552-JPを第一段階に指定します。この時点でSCP-552-JPは第一段階のSCP-552-JP-1以外に対する特異性を失い、それ以外の人間からはマネキンとして認識されます。SCP-552-JP-1の観察からSCP-552-JP-Aとの会話には強い多幸感と中毒性が伴うと推定されています。SCP-552-JPへの暴露を数回行った段階で、SCP-552-JP-1とSCP-552-JP-Aは恋人の関係になります。この間、様々な記憶がねつ造されており、行楽施設へデートにいったなどの証言が得られていますが、そのような行動は実際には行っておりません。第一段階での影響はBクラス記憶処理にて取り除くことができますが、SCP-552-JP-Aという友人がいる認識を取り除くことはできませんでした。

更に半年以上の期間が経過した時点でSCP-552-JP-1とSCP-552-JP-Aの関係は同棲または結婚相手となり、SCP-552-JP-1はほとんどの場合SCP-552-JPを自宅へと持ち帰り室内に配置します。SCP-552-JP-1に配偶者がいる場合、離婚を申し出るなどの行動を起こし問題になることがあります。これを第二段階と称します。この時点でSCP-552-JP-1はあらゆる記憶処理を受け付けなくなります。SCP-552-JP-1はSCP-552-JPを一人の人間として扱い、会話以外では食事を用意する、入浴を共にする、[データ削除済]などの行動が確認されています。SCP-552-JP-1は婚姻届けなどの書類処理をしないことやSCP-552-JPを移動する際には担いで移動していることなどから、SCP-552-JPをマネキンとして認識しなければ矛盾するだろう行動が多々確認されていますが、そのことを疑問に思いません。第二段階に移行してから早くて三ヶ月、遅くとも一八ヶ月経過した時点で突如SCP-552-JP-1は第三段階に移行します。

第三段階に至ったSCP-552-JP-1はSCP-552-JPをSCP-552-JP-Aとして認識しなくなります。そしてSCP-552-JP-Aが見つからないこと、その記録がないこと、様々な記憶の矛盾に対して強い違和感を抱き、その記録や痕跡を探そうと努力を開始します。SCP-552-JPはSCP-552-JP-1が第三段階に移行した直後に異常性が完全に回復し初期状態に戻りますが、第三段階に至ったSCP-552-JP-1はSCP-552-JPからの認識異常を受けず、SCP-552-JPに対する認識はマネキンとなり、多くの場合廃棄されることになります。また第二段階に至ったSCP-552-JPをSCP-552-JP-1から引き離そうとした場合、被験者は強い抵抗を示しますが、平均して二週間SCP-552-JPへの暴露を避けることで強制的に第三段階に移行します。SCP-552-JP-1は多くの場合重度の抑うつ状態となり、最悪自殺を試みるなど精神異常が確認されていますが、これは突如配偶者を失った時の正常な反応と見られています。第二段階と同様にこの影響は記憶処理で取り除くことができません。

補遺: 音声記録,SCP-552-JP-045から内容抜粋。

対象: SCP-552-JP-1-2

インタビュアー: ████博士

付記: SCP-552-JP回収時、不手際によりエージェント・██████が暴露。SCP-552-JP-1-2に指定。その後、SCP-552-JP-1-2に内容を秘匿して半年間の経過観察が行われました。第二段階から進行しないと判断。SCP-552-JPを引き離したためインタビュー時点でSCP-552-JP-1-2は第三段階にあります。SCP-552-JPの特異性は秘匿され把握していません。

<録音開始>

████博士: やあ、エージェント・██████。調子はどうですか? (実験をSCP-552-JP-1-2に悟らせないため、エージェント・██████と呼称します)

SCP-552-JP-1-2: お久しぶりです博士。調子は……まあ、あんなことがありましたからね。あまり芳しくはありません。

████博士: 奥さんが失踪したと聞いていますよ。

SCP-552-JP-1-2: ええ、その通りですよ……。愛する人がいなくなることがこんなにもつらいなんて…… 実は、妻に関して幾つか不思議なことがあるんです。聞いていただけますか? 未収容のSCiPが関わっているかもしれない。

████博士: ええ、私でいいならいくらでも。

SCP-552-JP-1-2: 実は妻が失踪してから、家を整理していて気が付いたんですが、彼女の痕跡が見当たらないんです!

████博士: というと? 例えばどんなことが?

SCP-552-JP-1-2: 結婚前、妻と一緒に何度か旅行にいきました。その時の写真をアルバムに残していたはずが、妻だけが写っていないんです。それに私は毎日日記を書く癖があるのですが、その中に妻が出てこないんです! それに、誰に聞いても妻のことを誰も覚えていない……

████博士: ……なるほど。

SCP-552-JP-1-2: どんなに探しても彼女との思い出が全然出てこない。でも、でも確かに私は妻と一緒に過ごしていたはずなんです! 妻の実家に行きました、幼馴染でしたから住所は確かです。でもそこには別の人が住んでいて…… 恐ろしいことにその住人も記憶にあるのです! 私は……私は記憶処理でもされたのでしょうか? 別のなんらかの現象に巻き込まれたのでしょうか? 教えて下さい博士! まるでこれじゃ、幸せな記憶、全部が夢だったみたいだ……

████博士: エージェント・██████、君は少し休んだ方がいい。顔色が悪いですよ。

SCP-552-JP-1-2: ……信じていただけませんか?

████博士: 違いますよ。内容はまとめて財団に提出しましょう。何らかの超常現象の可能性も十分ありますから。

SCP-552-JP-1-2: ありがとうございます……

<録音終了>

終了報告書: SCP-552-JP-1自身が執筆する日記にSCP-552-JP-Aが記されていないことについては、婚姻届などの書類処理をせず、記憶や認識が歪められる特異性に関わっていると考えられています。また、SCP-552-JP-1-2はこの後、表向きは数日間の自宅療養として一時拘束が命じられましたが、異常性はないと判断され現場復帰しました。

追記: この音声記録の後、████博士よりSCP-552-JP-1-2に対する記憶処理の申請がありました。SCP-552-JP-1-2の経過は安定しており、これ以上の進展が望めないことやDクラス職員により代用できること、人道的な措置が必要と認められたことにより、その申請は受理されましたがその効果はありませんでした。また、SCP-552-JP-1-2からSCP-552-JP-Aの失踪に関するいくつかの申請がありましたが全て却下されています。

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