SCP-5525
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アイテム番号: SCP-5525

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: GOC決議第206号と監督評議会指令BINGO FREMONTに基づき、財団はSCP-5525周辺の水中封鎖の維持に責任を負います。封鎖の実施は、ケルベロス級潜水艦12隻1と支援艦SCPSルナティック・リープ及びSCPSダーリング・ダッシュから成る海洋機動部隊チー-11(“ネプチューンの悪夢”)に割り当てられ、GOC水上戦闘艦のアイアン・ハンド及びシルバー・フィストによる砲火支援が提供されます。チー-11は、財団や同盟要注意団体の所属艦を含む他のあらゆる船舶が、SCP-5525の外周から15海里以内に接近するのを防ぎます。チー-11は当該収容ゾーンへの侵入や退出を試みる船舶の制止、抑止、破壊に必要なあらゆる武力行使を許可されています。

SCP-5525周辺海域の封鎖条件の変更は、戦力構成に関するものを除き、GOC108評議会と財団監督評議会の承認が必要とされます。緊急時には、事務次長“テレマコス”及びO5-03の共同発令によって暫定的な変更が認められる場合があります。

現在、世界オカルト連合事務次長局は、現在の収容プロトコルが確立される前にSCP-5525から持ち出された全てのアーティファクトの返還を交渉するため、アメリカ合衆国政府代表者との外交協議を行っています。

説明: SCP-5525は亜ヒト科の1種(暫定的にHomo sapiens aquariusと指定、コード名AQUARIAN DISCO)によって約6000年前に構築された都市の遺跡と残存物です。AQUARIAN DISCOは極めて隔絶した、しかし科学的に進歩した文明を築き、現在の人類の最先端水準を遥かに超える技術を保有していました。AQUARIAN DISCOが開発した1つまたは複数の超常技術アイテムが、彼らの文明を滅ぼし、SCP-5525を大西洋の海底に転送したと判明しています。現在地の環境にも拘らず、構造の大部分は気密性が保たれており、人間の生活を支えることが可能です。

AQUARIAN DISCOの文化と技術力についての更なる情報はL5/5525機密指定です。

1944年、SCP-5525は潜水艦 USSドラゴネットの最初のテスト航行中に発見されました。当時、ドラゴネットの乗務員は遺跡を自然な海中地形だと誤解して航海日誌に記録しました。後日、海軍情報部員が潜水艦の日誌を改めた際に、報告された観察結果と記録されたデータの矛盾が確認されたため、当該海域を水上トロール船でより綿密に調査する任務が課されました。このトロール船のソナー探知によって、SCP-5525の規模が明らかとなり、自然の構造ではないことが確証されました。これ以降、SCP-5525関連の更なる作戦は、アメリカ国防総省の超自然戦対応軍2に移管され、遺跡についてのあらゆる情報が機密指定されました。

ペンタグラムは1944年から1963年にかけて複数回SCP-5525を調査しましたが、遺跡が海底深くに位置するため、内部の探索は試みられませんでした。1963年、潜水艦 USSスレッシャーによるSCP-5525への到達試行が実行され、結果的に潜水艦と全ての乗務員が失われました。この後、SCP-5525の探索試行は1979年まで行われませんでした。

1979年、ペンタグラムは極深海(SCP-5525が位置する深度を含む)での安全かつ秘密裏の活動を実現できる無数の超常技術を搭載した深海潜水艇、DSRV-3 マーリンの所有権を握りました。第7次オカルト戦争期の沈没船の発掘任務に幾度か使用された後、マーリンはSCP-5525探索に再割り当てされました。マーリンは遺跡への到達と侵入に成功し、ペンタグラムはまだ機能する残存アーティファクトの発見及び回収を目的として大規模な考古学調査を開始しました。AQUARIAN DISCOの技術について知られている事項から判断する限り、ペンタグラムが回収した全てのオブジェクトは、恐らく財団の保有下ではThaumielクラスに分類されます3

財団と世界オカルト連合は、あるAQUARIAN DISCOアーティファクトが遺跡からの除去試行中に不注意で起動され、セント・ジェレマイア島4を破壊した事件によって、SCP-5525とペンタグラムの活動を認知しました。同時緊急会議で、財団監督評議会とGOC108評議会は双方共に、SCP-5525への更なる侵入を防止する必要があり、望ましくは既に遺跡から持ち出されたアーティファクトを回収すべきであるという点で合意しました。ケルン協定第13条で規定された連絡ルートを介して、財団とGOCは速やかに一連の共同収容プロトコルを確立し、財団がSCP-5525封鎖の責任を担うことになりました。近隣の海洋資産5は直ちに初期収容任務へと再割り当てされ、その間に専任機動部隊が編成されました。

補遺 — 初期探索: セント・ジェレマイア島の破壊後、しかし収容ゾーンの確立前に、アメリカ軍は余波の可能性を警戒して、一時的にSCP-5525から撤退しました。潜在的な危険性はあったものの、アメリカ軍に再度占拠される前に遺跡の内部を探索する単一の偵察任務が許可されました。機動部隊ガンマ-6(“大食らい”)とGOC評価班781(“ピラミッディアンズ”)が、SCP-5525を調査し、ペンタグラムの活動規模を断定するために派遣されました。AQUARIAN DISCOについて現在知られている情報の大半は、この探索中に発見されました。

AQUARIAN DISCOに関する貴重な情報を入手できたのに加えて、調査チームはペンタグラムが遺跡下層の一角に武器庫ないし貯蔵室を発見し、そこを回収作戦の要点にしたのを突き止めました。SCP-5525の当該区画は、発見前に若干の構造被害を受けて一部崩落しており、ペンタグラムは止むを得ず発掘作業に時間を費やしました — 収容確立時点で、貯蔵室は僅か20%しか掘り起こされておらず、アーティファクトの多くは未回収でした。現地で発見された文書は、ペンタグラムが容易に兵器化できるオブジェクトの回収を優先していたことを示します。

残存アーティファクトの中には、セント・ジェレマイア島を破壊したと思われる兵器があり、SCP-5525-Antillesに指定されました。ペンタグラムは瓦礫に埋もれたSCP-5525-Antillesを発見し、掘り出したものの、移送を試みた際に誤って起動しました。SCP-5525-Antillesに記された碑文は、名称または識別子と推定され、暫定的に“空漠を分断する物”と翻訳されました6。この碑文を除くと、SCP-5525-Antillesの唯一顕著な外面的特徴は、地球表面の詳細な地図7を表示しているタッチパネル式のインターフェースです。この地図は装置の照準を合わせるために用いられます。

補遺 — 除去されたアーティファクト: 事案INSIDE BASEBALLを受けて、SCP-5525-Antillesが見つかった貯蔵室は完全に発掘され、内部物品の精査が実施されました。貯蔵室内にあった在庫目録と比較した結果、以下のアーティファクトがSCP-5525から除去されていることが判明しました。

翻訳された名称 コード名 現状
空漠を分断する物 Antilles 収容済
時間無き鏡 Byzantine 不明
中空の巣 Columbia 不明
見える闇 Dominion 不明
光無き炎 Exodus 不明
虚炉 Frontier 不明
完全なる寒さ Gehenna 不明
深淵の井戸 Hibernia 不明
死せる精神 Ichabod 不明
無限点 Jericho 不明
水晶数 Kronstadt 不明
偽の月 Lorelei 不明

幾つかのアーティファクトは紛失または破壊された可能性がありますが、大半は現在ペンタグラムが保有していると考えられます。これらの欠落アーティファクトを発見し、回収するための努力は進行中です。

補遺 — 事案INSIDE BASEBALL: 1979/12/29、調査チームの派遣から間もなく、収容ゾーンがまだ確立されないうちに、アメリカ合衆国第13艦隊の一部船舶がSCP-5525に接近し始めました。引き返すことを求める繰り返しの指示が無視された後、状況は本格的な海戦へと発展しました。

T+0m: 第13艦隊の第1番船、駆逐艦 USS トマス・リンチ・ジュニアが15海里収容ゾーンに入る。シルバー・フィストのレドモンド・ハダウェイ艦長は、トマス・リンチ・ジュニアへの砲撃を指示する。

T+1m: USSトマス・リンチ・ジュニアとその護衛艦が応射する。GOC水上戦闘艦 ブラス・ナックルが、SCPSジャック・ジャンプドの盾になるために前方へ移動し始める。

T+3m: SCPSジャック・ジャンプド及びSCPSルナティック・リープが航空機を展開し始める。両艦は合計18機の固定翼V/STOL機を搭載している。

T+9m: シルバー・フィストの砲撃がUSSトマス・リンチ・ジュニアの前方弾薬庫を直撃し、壊滅的な内部爆発でトマス・リンチ・ジュニアの船体は2つに割れる。

T+15m: ブラス・ナックルはSCPSジャック・ジャンプドを保護するための移動を完了する。

T+29m: 潜水艦 SCPSフィッシュ・フードが爆雷に当たり、沈没する。

T+36m: SCPSルナティック・リープの航空機が、巡洋艦 USSテンピの無力化に成功する。

T+43m: 巡洋艦 USSマウンテン・メドウズのミサイル一斉発射で、SCPSルナティック・リープの航空機が全て破壊される。ルナティック・リープは撤退を開始する。

T+55m: SCPSジャック・ジャンプドの航空機が、USSマウンテン・メドウズの上空で記憶処理ガスを空中散布し、全般的な混乱を引き起こす。これに乗じて、シルバー・フィストマウンテン・メドウズの艦橋とエンジンを破壊する。

T+61m: シルバー・フィストの奇跡術師たちが、排撃班を第13艦隊旗艦 USSカール・ヘイデンの艦橋に転送しようとする。この試みはカール・ヘイデンに搭乗していた超能力者たちによって中断され、発生したバックラッシュがシルバー・フィストのエンジンを損傷して活動を停止させる。

T+73m: シルバー・フィストの45フィート以内の全ての水がレモンプディングに変化する。

T+79m: ブラス・ナックルが前方砲台を喪失する。トマス・グリフィス艦長は船を小火器の射程距離に近づけるよう命令する。

T+88m: ブラス・ナックルの艦橋にいた乗務員の大半が、グリフィス艦長も含めて、ペンタグラムの超能力者たちに殺害される。カーター・ヘイガー大尉が船の指揮権を引き継ぐ。

T+92m: シルバー・フィストの奇跡術師たちが、再びUSSカール・ヘイデンへの転送を試み、成功裏に手榴弾の詰まった袋を艦橋に輸送する。その後の爆発でペンタグラムの超能力戦闘員たちは排除される。

T+96m: 潜水艦 SCPSサーフ・スクリーンが爆雷に当たり、機能喪失する。デイヴィッド・デフォード艦長が緊急バラストタンク放出を命じ、サーフ・スクリーンは駆逐艦 USSウィリアム・ウィリアムズの真下に浮上する。結果、両艦ともに沈没する。

T+99m: ブラス・ナックルの主機関室で火災が発生し、推進力が一時的に失われる。

T+105m: ブラス・ナックルの火災は補助機関室まで拡大する。同艦は全ての推進力を喪失する。

T+112m: ブラス・ナックルが急速に沈没し始める。ヘイガー大尉は船の放棄を命令する。

T+127m: ブラス・ナックルが沈没する。SCPSジャック・ジャンプドが激しい砲撃に曝され始める。

T+135m: さもなければ敗戦が差し迫っているという認識から、SCPSジャック・ジャンプド艦長 ウィノナ・キャバリエは、SCP-5525-Antillesの起動許可を求める。

T+137m: 急速な戦況悪化を受けて、O5-03は、合衆国第13艦隊に対するSCP-5525-Antillesの緊急運用を独断で承認する。この決定は事案終結後、監督評議会投票において全会一致で是認されることになる。

T+138m: アメリカ合衆国第13艦隊が存在しなくなる。

その後2日間、アメリカ合衆国はFBI異常事件課を通し、通常の連絡ルートで財団及びGOCとの意思疎通を継続しつつ、上記事案についての問い合わせを無視しました。アメリカの戦略的姿勢に変化は見られませんでしたが、財団は反撃の可能性に備え、北米に位置する全てのサイトで独自の警戒レベルを引き上げました。

1980/01/01、ジミー・カーター大統領は財団と世界オカルト連合に連絡を取り、事案INSIDE BASEBALLについて謝罪するとともに、第13艦隊の存在を否定しました。この時も、またそれ以降も、セント・ジェレマイア島の破壊やSCP-5525から持ち出されたアーティファクトへの言及はありません。

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