SCP-558-JP
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SCP-558-JP生成物

アイテム番号: SCP-558-JP
 
オブジェクトクラス: Euclid
 
特別収容プロトコル: 現在SCP-558-JPは専用サイト-8179-bに於ける専用収容ラインα内に収容されています。SCP-558-JP生成物については専用収容ライン・マニュアルに従い、促成、加工、処理してください。
SCP-558-JP生成物の専用収容ラインからの逸脱はSCP-558-JP関連特異事象を誘発しうるため、専用収容ラインに対する監視レベルは、サイト-8179-b全体を含めてレベル4へと常に定められています。
SCP-558-JPに由来すると思われる関連特異事象が確認された場合、現場の保全を最優先とした上でSCP-558-JP研究チームへ連絡し、当該チームの指示に従って調査、検証と採取を行ってください。
 
SCP-558-JPの転移が確認された場合、プロトコル-"屠殺"に基づく全養鶏場への同時立ち入り調査と記憶処理の実行、専用収容ラインの機能移設が実行されます。本手順によりSCP-558-JPの転移先が割り出せなかった場合、関連特異事象の拡大による被害の深刻化への懸念から、緊急実行プロトコルF-21焼夷命令が発令されます。
 
現在、専用収容ライン最終工程処理は218名のDクラス職員班7組の、総勢1526名によるローテーション態勢によって実行されています。これらは常時増員のための活動と規模の拡大が行われており、専用収容ラインに於ける遅滞の解消の改善と機密の保護の両立について議論が進行中です。
SCP-558-JP生成物の促成処理についての改善案が、現在研究チームより募集されています。
 
 
説明: SCP-558-JPは約2.3cm四方と推定される、特定の異常現象発生空間です。SCP-558-JP固有の異常性として、SCP-558-JP生成物の生成以外の性質は発見されていませんが、SCP-558-JPが完全に露出した場合、SCP-558-JP生成物と同種の生物が8羽以上密着している空間の中心点へと転移する性質を有します。
 
SCP-558-JPはブロイラー品種のニワトリ(Gallus gallus domesticus)のヒナを毎秒31〜33羽生成し、放出します。これらの個体は検査と観察から、異常性を有さない通常の生物であると結論付けられており、複数の遺伝子検査の結果からは、全個体が同一のミトコンドリアDNAを有している以外の有力な発見はありませんでした。
 
補遺1: SCP-558-JP生成物の恒久的な生成による被害への懸念から、域間博士によってSCP-558-JP生成物に対する即時処理システムが構築されました。
即時処理システムは2007年8月18日17:08より稼働が開始されましたが、稼働開始から18秒後に域間博士を含んだ、即時処理システムの構築と設計、施工に関わった52名の死亡が確認されました。
これらの死因と、監視カメラによって記録された域間博士の死の状況から、収容以前のSCP-558-JPの記録に加え、SCP-558-JP生成物の流通ないし移動ルートについての大々的な再調査が実施されました。
その結果、SCP-558-JPとは無関係の異常現象として調査が行われていた事象に於いて、SCP-558-JPとの関連性が指摘され、Dクラス職員を用いた実験からSCP-558-JP関連特異事象であると判明しました。
 
SCP-558-JP関連特異事象の被害者にはいずれも複数の裂傷と身体部位の切断に加え、骨折、打撲、内臓破裂、圧力による破裂の痕跡が見られます。また、現場には複数の羽毛が残されており、それらの情報から、対象は全長80m前後の雌のブロイラー品種のニワトリの成体とされましたが、目撃情報や記録に於いてそのような生物の存在は確認されていません。
また、閉所に於いてもSCP-558-JP関連特異事象が発生している点から、確認される矛盾の解決のための調査が現在進行しています。
 
補遺2: SCP-558-JP関連特異事象に関する知見の収集を目的として、域間博士が死亡する前後の映像が職員に対し公開されました。本映像は映像データベースコード[558-sGh21-J3K-98]によって閲覧が可能です。
本報告書には映像記録のみ記載されるものとします。
 

映像記録558-関連特異事象-04区分

付記: 域間博士のオフィスに於ける監視カメラ映像であり、破損により映像が残っていないか、非常に不鮮明な部分は省いて記すものとす。また、オフィスは5.7m×7.1m×5.3mのⅡ型規格である。

<記録開始>

17:08:33 域間博士が自身のオフィスでSCP-558-JP生成物即時処理システムのメンテナンス承認に関しての書類を作成している。

17:08:35 域間博士が不意に顔を上げる。呆然としたような表情で、視線の角度は水平よりおよそ55°上方であると推測される。

17:08:40 域間博士が非常に慌てた様子で立ち上がる。

17:08:41 域間博士の体が画面上方へと見切れる。映像より、頭部から胸部にかけてを保持された状態で持ち上げられたものと推察される。

17:08:46 人体の一部(肩部付属の左腕部、肝臓の一部)が画面右方の壁面に叩き付けられる。

17:08:48 域間博士の遺体がデスクに叩き付けられる。衝撃でデスクは大きく拉げながら転倒する。

<記録終了>

検視報告抜粋: 頭部或いは胸部の切断を死因とするのは全ての被害者に共通する部分であるが、骨格の破砕や変形、筋繊維へのダメージから、3tを超える瞬間的な圧力による断裂であり鋭利な刃物によるものでは無いと思われる。傷痕の形成過程を推察するに、鋭利ではないが、細く堅い歪曲した板状の物体の縁を高圧力で押し当て、圧し切ったものと思われる。複数の被害者の傷痕から推測するに、鳥の嘴のような、内部が空洞で開閉する、やや歪曲した円錐状の凶器が用いられたものと言える。検出された唾液成分については、解析待ちとする。

 
52名の被害者は全員がほぼ同時刻に共通の被害に遭っていますが、傷痕の照合では同一の凶器によるものと断定されており、被害者の身体に付着していた唾液成分は全ての例に於いて成分比率が一致していました。
また、唾液に含まれていた口腔内のものと思われる細胞のDNA解析の結果、SCP-558-JP生成物の実母としての一致が見られました。
 
補遺3: Dクラス職員を用いた複数回の実験の結果、SCP-558-JP関連特異事象の発生と対象選定の条件が判明しました。SCP-558-JP関連特異事象は、SCP-558-JP生成物が成鶏に達する以前に人為的要因にて死亡するか、成鶏のSCP-558-JP生成物が食品として適切に消費されなかった場合に発生します。
SCP-558-JP関連特異事象の対象選定についても、これら発生条件との関係が見られ、成鶏未満のSCP-558-JP生成物の死亡に直接関わった人員や、屠殺され加工された成鶏のSCP-558-JP生成物を適切かつ完全に消費しなかった原因たる人物を対象とするものと断定されました。
 
以上を踏まえた上での収容プロトコル構築が模索され、いくつかのSCP-558-JP関連特異事象による被害を経ながらも、現在のDoS促成プログラムによるSCP-558-JP生成物の促成と、最終工程処理としてDクラス職員による消費という専用収容ラインが構築されました。
しかしながら、15日間でSCP-558-JP生成物をヒナから成鶏へと育成し、速やかな加工、調理、そして消費という一連の処理は未だSCP-558-JP生成物の生成速度に追随しておらず、専用収容ラインの効率化あるいは関連特異事象を無力化する方法が現在も模索されています。
 
補遺4: 2017年5月11日、財団管理外でのSCP-558-JP関連特異事象の発生が確認されました。対象は36歳日本人男性で、調査の結果SCP-558-JP生成物との交雑により生まれたブロイラー品種のニワトリが加工されたものを破棄した可能性が高いと見られています。
SCP-558-JPの収容以前に発生していたSCP-558-JP生成物が未収容の状態にあるという指摘は収容初期になされており、対処は完了したものと見なされていました。しかし、SCP-558-JP関連特異事象の発生しうる条件がSCP-558-JP生成物の子孫へと拡大されたことで、収容の難度が飛躍的に向上したものと判断され当該オブジェクトのオブジェクト・クラス再定義が提案されました。
 
提案は現在承認待ちです。

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