SCP-560-JP
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SCP-560-JP

アイテム番号: SCP-560-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-560-JPはサイト-81██の低危険性オブジェクト保管ロッカーに、完全に密閉された容器に封入された状態で収容されます。実験等でSCP-560-JPを持ち出す際には封入した状態を維持したままの移送が義務付けられ、また実験中もロボットアーム等を用いて職員が直接触れることがないよう取り扱われます。Dクラス職員を除く職員がSCP-560-JPと直接接触することは許可されていません。

説明: SCP-560-JPは直径約21cmの小児用ゴムボールです。分析の結果、使用と経年による劣化を除けば一般に販売されているものとの特筆すべき差異は見られませんでした。

SCP-560-JPはそれを手にした人物(以下、被験者)によって緩やかに投げ放たれた時、被験者から5~6m離れた地点で不自然にその運動を停止させ、その場で自立的かつ不規則な挙動を開始します。これは地面に押し付けられる、最大1mほど浮遊する、浮遊したまま数m間移動する、といったものが挙げられます。SCP-560-JPはこうしたいずれか、あるいは複合した挙動を最長で十数秒間見せた後、おおよそ被験者に向けて緩やかに放出されます。
こうしたやりとりが同じ被験者によって繰り返し行われた場合、必ず14度目の投擲においてSCP-560-JPは不自然な停止を見せることなく転がり続けた末に自然に停止します。その後も被験者がSCP-560-JPから16m以上離れることなく26秒間以上留まっていたのなら、SCP-560-JPは被験者の手元へと瞬間的に転移します。

被験者のこうしたSCP-560-JPを投げ放つ、拾い上げる、受け取るといった一連の動作には、それらを誘発させる精神的な衝動を伴うことが分かっています。これは"そうするよう求められているような"、もしくは"せがまれているような"感覚とともに生じる義務感に似た衝動であると証言されています。
またSCP-560-JPは被験者に五感すべてに及ぶ特定の幻覚症状を引き起こします。これらSCP-560-JPによる被験者への精神や感覚への作用は無視できるほど小さなものから始まりますが、SCP-560-JPと連続して関わり続けることで徐々に増大し顕著になっていきます。

SCP-560-JPは20██年に虚血性心不全によって死亡した██氏の遺品の中から発見されました。SCP-560-JPは██氏の息子が愛用していたものであると、██氏の元妻から証言が得られています。なお該当の男児は19██年、当時の██氏住居の庭先から転がるSCP-560-JPを追いかけ道路に飛び出したことで、走行中の車両と接触し死亡しています1。事故発生時██氏が在宅中でしたが、男児と同伴はしていませんでした。警察によって行われた聴取の記録には、██氏による「息子に一緒に遊ぶようせがまれたが断り、一人で遊ばせていた」との証言が残されています。

██氏の死亡日に記された日記の記述から抜粋

あの日に戻りたい。
やり直したい。

実験終了後、資料の見直しや聞き込みなど男児の死亡事故に関する再調査が行われました。しかし手がかりの少なさと年数の経過から事故発生当時の正確な状況を知ることはできませんでした。

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