SCP-5648
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アイテム番号: 5648
レベル2
収容クラス:
keter
副次クラス:
none
撹乱クラス:
keneq
リスククラス:
danger

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2013年度財団首脳会議中にSCP-5648が改変した部屋


配属サイト サイト管理官 研究責任者 担当機動部隊
エリア-179 R. ジョセフ・バロウ J. トーマス・デューン ゼータ-10 "オクバネズミ"

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SCP-5648

特別収容プロトコル: SCP-5648は収容されておらず、実行可能な収容措置が考案されるまでは財団の保安体制に対する脅威と見做されます。

SCP-5648が脳に及ぼす影響に対抗するために、全ての職員は保安情報を抽出し、不正な情報を識別し、財団内の階層構造を明確化する目的で設計された財団製認識災害への長期曝露を行う必要があります。この試みが成功か否かはまだ確認されていません。

職員は、自分宛てに送付された口腔衛生に関する全ての文書を、見直しのためにSCP-5648研究チームへ転送してください。承認を受けずに当該文書に記載された要求を受け入れるべきではありません。

SCP-5648の影響を被った職員への補償は、財団人事部門の裁量で分配されます。

説明: SCP-5648は眼鏡をかけた高齢の白人男性に似た姿のヒト型実体です。

SCP-5648の皮膚は非常に乾燥しているため、身動きや他者との物理的接触に際して大量の角質片が剥がれ落ちます。SCP-5648は発話能力、視覚、聴覚を有していますが、SCP-5648自身がこれらの能力をどの程度制御し、世界をどのように知覚しているかは不明確です。

SCP-5648は不明確な規模の現実再構築が可能であり、空間を異次元的に改変する、物体を出現させる、自らの生理機能を変化させる、様々な場所に自由自在に出現するなどの行動が観察されています。SCP-5648は常に1名の財団職員を狙い、被害者にとって重要な場所にのみ現れます1

出現した後、SCP-5648の主要な異常性が標的ではない人物たちに影響し、SCP-5648は“ロックフェラー”という姓を有する正当な財団職員だという思い込みを抱かせます。SCP-5648の肩書きや想定される財団内での地位は状況ごとに異なりますが2、SCP-5648影響下の人物たちからは疑問視されません。実際にはSCP-5648の偽装の試みは杜撰であり、被害者からは往々にして正しくそのように認識されます。

SCP-5648はその後、様々な手段を介して3、自身に被害者の口腔内を検査させるように強要します。この時、SCP-5648は自らの表向きの権限を理由に挙げて、対象職員を要求に従わせようとします。また、形式的なアプローチを完全に放棄して、強引に被害者の口腔内を検査した事例も確認されています。これに成功すると、SCP-5648は被害者の口から無作為に1本の歯を引き抜き、即座に消失します。SCP-5648はその直後から、別の財団職員を標的として当該プロセスを繰り返します。SCP-5648の行動パターンの裏にある動機は不明です。

補遺.5648.1: 発見

2012/05/12、財団エージェント松村マツムラは自宅宛の郵便物に混ざった以下の文書を受け取りました。内容を怪しんだ松村はこの手紙をエリア-179に提出し、見直しを求めました。書き起こしは以下の通りです。

ハイファイブ評議会の公式要請

昨日のアノマリー業務は大変だったろうが、お口の中はどうかな?

神様によって求められし無料口腔検査をお前さんに授けよう。歯科健康管理パッケージ。

ドクター・ロックフェラー (常に歯と共に在り) がA-21棟でお前さんを診察するだろう。おおっと、こいつはお前さんのお祖父ちゃんじゃないが、大体同じようなもんだ。

お前さんは最高の少年だよ!

— ドクター・ロックフェラー (常に歯と共に在り)

この文書には、エージェント松村の社会保障番号、クレジットカード情報、オンライン上でのユーザーネーム及びパスワード4、そして15ページにも及ぶ松村の広範なインターネット利用履歴を逐次リストアップした一連の補足的な手紙が付随していました。これらの手紙にもSCP-5648の署名がありましたが、保安上の理由から当ファイルには掲載されていません。

間もなく、エージェント松村はエリア-179人事部門の代表者と面談することになりました。当時の視聴覚記録の書き起こしは以下の通りです。

[記録開始]


無関係な会話を除去。

エージェント松村: 俺は不安なんだよ、当然だろう。大体、俺のクレジットカード、職場、それに… インターネットでアクセスした全てのウェブサイト。一体誰がこんな事をしたのか見当も—

チョビク女史: まぁまぁ、分かりますよ。驚くのも無理はありません。これほど上の方から要請が来ると、慣れていない職員は不安になるものです。

エージェント松村: 何だって?

チョビク女史: 良いニュースですが、例の文書を審査した結果、特に不審な点はありませんでした。ロックフェラー先生は少々… 要請を送る時に熱心過ぎるきらいはありますね。しかし確かに我々の組織に勤める一員であり、人道的な活動の支持者です。つい昨年、彼は—

エージェント松村: おい、いいか — こいつは俺のFurAffinity5のログインパスワードを知ってるんだぞ。それがどういう事か分かるか?

チョビク女史: 実に残念な状況ではありますが、あなたは歯科治療が必要だと運営陣が判断したのです。ロックフェラー先生ほどの上級職員が言うのですから、他にどうしようもありませんよ! (笑う) あなたから苦情を言えば、きっと彼も脅かしてすまなかったと謝罪してくれるでしょう。

エージェント松村: 信じられない。歯科治療の義務化とはね! 口腔災害みたいなデータが取れそうな異常事態でもない限り、財団の出費で歯の検査なんかした奴は誰一人いないぞ。つまりそういう事か? もし実験が必要なら普通にそう言えばいい。俺は前にもその手のふざけた検査を受けたが、少なくともその時は透明性が確保されてた。

チョビク女史: まぁ、もしどうしてもと言うなら上層部に取り次ぎますが、雲行きはあまり宜しく—

チョビクのデスクに置かれた電話が鳴る。彼女は受話器を取り、応じる。

チョビク女史: はい、今一緒です。 (合間) ええ、お好きなときにどうぞ。

エージェント松村: 誰だ? おい、誰と話してる?

財団研究者として適切な仕事着のSCP-5648が、オフィスのクローゼットから息を切らして慌ただしく飛び出す。SCP-5648が動くと身体から乾燥した皮膚片がこぼれ落ちる。

SCP-5648: (絶叫する) ドクターァ・ロォーックフェラーァ!

エージェント松村が跳び上がり、危うく椅子から転げ落ちそうになる。

チョビク女史: ああ先生、いらっしゃいましたね。エージェント松村が診察の予約をしたとお聞きしていますが?

エージェント松村: な — なんだこれは。

SCP-5648: 今こそお前さんのその歯をチェックする時じゃい、ボケナスがぁ! 口を開けろッ! 口を開けんか! (SCP-5648は素早く頷く)

エージェント松村: 何だ、テメェは!

SCP-5648は一歩ごとにできるだけ大きく踏み出しながら松村に接近する。松村は椅子から立ち上がり、部屋の隅に後ずさりする。SCP-5648は屈み込んで松村を見下ろす。

SCP-5648: 痛くはないぞ! ワシが結婚する頃にはすっかり良くなる! ワシは昨晩自分の身体をちゃんと洗ったんじゃ、お前さんのを洗わんでどうする! (SCP-5648は素早く頷き、皮膚片が松村に降りかかる)

エージェント松村はSCP-5648の脚の間に飛び込んで逃げ、オフィスから走り出す。SCP-5648は身体を反らし、宙返りを試みて失敗する。床に転倒したSCP-5648は両手足を使い、素早く這って退室する。

[記録終了]

これに続いて、エージェント松村はエリア-179から逃亡し、速やかに車で自宅へ向かいました。家に到着した後、松村は屋外から2階の窓を8時間監視してから帰宅しました。以下の記録は、エージェント松村が食事を終えた後、程無くして捉えられた監視映像の書き起こしです。

[記録開始]


エージェント松村がキッチンからバスルームに入る。彼は明らかに動揺しており、躊躇いがちにドアを開ける。電灯を点けた松村は洗面台に歩み寄り、歯ブラシに歯磨き粉を付ける。松村は数秒間歯を磨き続ける。

シャワー区画のドアが勢いよく開き、それによって砕け散る。SCP-5648がシャワーの下に立っている。興味深いことに、身体から水が滴っているにも拘らず、SCP-5648は服を着たままである。

SCP-5648: ワシは腐敗じゃ。

松村が叫び、小さな鏡をSCP-5648に投げ付ける。鏡はSCP-5648の顔面に当たって割れるが、SCP-5648に目立った被害を与えていない。大量の皮膚片がSCP-5648の身体から落ちる。

SCP-5648はバスルームに設置された監視カメラを見つめる。

SCP-5648: そいつがテーマじゃ。

エージェント松村: 頼む、もう勘弁してくれ。何がお望みだ? 俺の歯を見たいのか? こんな風に? (口を開ける) あぁぁーーーん!

SCP-5648が松村に走り寄る。SCP-5648は松村の口を検査しながら激しく振動し始める。

SCP-5648: ドクター・ロックフェラー! ワシは常に歯と共に在り!

周辺環境が突然、黄色い壁を備えた部屋に変化する。松村は自分が椅子に縛られているのに気付き、苦悶の叫びを上げる。SCP-5648は現在、典型的な歯科医のそれに似た作業着を着ている。

エージェント松村: 頼むから! さっさと終わりにしてくれ!

SCP-5648は滑稽なほど巨大なドライバーを振りかざす。

SCP-5648: 医者の参上じゃあ!

松村が叫ぶ。SCP-5648が近寄って来ると、更に多くの皮膚片が身体からこぼれ、SCP-5648が松村の顔の上に身を屈める際に、幾つかが彼の口の中に入る。松村は息を詰まらせる。

SCP-5648: まだまだどんどん出て来るぞい!

松村がSCP-5648に頭突きをする。SCP-5648は大袈裟に苦痛の叫びを上げて後ろによろける。SCP-5648が転倒すると、周辺環境は以前の状態、即ち松村家のバスルームに戻る。拘束から自由になった松村はバスルームから走り出るが、誤って砕けたシャワードアや鏡の破片を踏みつけていく。彼は叫びながら家を逃げ出す。

[記録終了]

松村は4時間ほど当てもなく運転し続けた後、エリア-179保安主任からの電話を受けました。保安主任は松村に対して、先ほどの映像を見たこと、SCP-5648について調査中であることを伝えました。恐らく、松村が自宅を逃走した直後にSCP-5648が消失したため、そのミームフィールドが効力を失い、財団職員がSCP-5648の異常性を認識できるようになったと考えられます。

松村はエリア-179へ移動し、即座に警護特務部隊に囲まれた部屋に隔離されました。その日の出来事に関する彼の説明が中継され、先ほどの映像が確認された後、SCP-5648の関連文書が執筆されました。

松村の隔離措置は1週間続きました。その間に、SCP-5648が他の財団職員を標的にしていることを示す他幾つかの情報が得られたため、当該実体の影響と行動パターンをより全体的な視点から把握することができました — これらは松村の経験と著しく類似していました。

2012/07/02、松村はSCP-████の発達継続に関する自らのフィールドワークについて、監督評議会の前で証言しました。書き起こしは以下の通りです。

[記録開始]


エージェント松村: 残念ながら、我々の選択肢は限られています。解析部門に相談したところ、数字を出してくれました。こいつは本格的なヴェールの破綻を招く要因になり得ます。

O5-09: 興味深い。プレゼンを始めてくれ。

エージェント松村: かしこまりました、サー。機材が外に置いてありますので—

O5-09: 君が出る必要はあるまい。警備員が持ってくる。

ヘルメットを被った財団保安職員が、大型プロジェクターとノートパソコンをカートに乗せて入室する。

エージェント松村: 少々、準備のお時間をいただきます。

警備員が退室し、松村はフラッシュドライブをノートパソコンに挿し込む。スライドショー形式のプレゼンテーション資料が、無数の表とグラフという形式で、彼の背後の巨大スクリーンに表示される。

エージェント松村: 今申し上げたように、この数字が示す限り、生贄を12倍に増やさなければ—

プロジェクターがショートする。

エージェント松村: おっと、失礼いたしました、サー。

プロジェクターが激しく振動した後、SCP-5648がレンズから射出される。SCP-5648は自らの形状を操作し、本来のサイズに戻る。

SCP-5648: そして医者の参上じゃあ!

O5-09: 管理者ロックフェラー様?

エージェント松村: 嘘だろ!

O5評議会員たちはSCP-5648の表面上の権限を認識し、直立不動の姿勢で起立する。

O5-02: 何かお手伝いできることはございますでしょうか、サー?

O5-04: あのように押しかけて来るとは貴方様らしくもない。

SCP-5648は無理やり松村の顎をこじ開ける。松村は抵抗しようとするが、SCP-5648に抑えつけられているため、無力である。

SCP-5648: 常に歯と共に在りッ!

SCP-5648は松村の口から上顎第3切歯を指でもぎ取る。SCP-5648は引き抜いた歯を自らの口中に嵌め込み、素早く頷く。松村は叫びながら床に倒れ、口から血を吐き出す。SCP-5648が非実体化し、部屋から消失する。

[記録終了]


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