SCP-584-JP
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野生のSCP-584-JP。エージェント██が撮影

アイテム番号: SCP-584-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: 本稿執筆時点で6羽 現在24羽のSCP-584-JPが研究のために収容されており、完全な防音処理を行った生物収容房で飼育されています。分類のために各個体の足首へ識別番号を記載したタグを取り付けます。収容房内部に侵入する職員は必ず標準的な防護服と防音用装備を着用し、SCP-584-JPを刺激しないよう慎重に行動してください。それ以外の特別な取り扱い手順は不要です。

███山の周囲はフェンスを張り巡らせ、財団職員以外の侵入を防ぎます。フェンスには一定距離ごとに鳥の餌箱に偽装した頑丈な防音箱を設置し、内部に音響機器を格納します。この音響機器は猛禽類の鳴き声、爆音などを必要に応じて自動的に発し、本地域からのSCP-584-JPの脱出を防ぎます。
SCP-584-JPの生息地域の外周部には四方に監視小屋を設置します。各監視小屋は森林保護員に偽装した2名の財団職員が滞在し、山中に設置した映像機器でSCP-584-JPの行動を常に監視します。SCP-584-JPの行動に異常が見られた場合は即時財団へと報告し、収容違反を防ぐために各監視小屋に配備された防鳥機器や銃火器などの装備を自己の判断で使用する許可が与えられています。
一部の財団職員に発生した事故を鑑み、野生のSCP-584-JPに対する餌付けは禁止されています。

現在、███山に野生のSCP-584-JPは存在していません。上記の収容設備は撤去されました。

説明:SCP-584-JPは██県の山岳地帯に存在する███山にのみ生息するスズメ目ホオジロ科シラガホオジロの近縁種です。 本稿執筆時点でおよそ164羽のSCP-584-JPが███山中に生息しています。 SCP-584-JPの生態と習性は、渡りを行わず本地域に定住していることと、一つの異常性を除いて通常のシラガホオジロと一致し、その他の異常性は見られません。

SCP-584-JPは猛禽類などの天敵を発見した際、あるいは大きな音を聞いて身の危険を感じた際、約30度という鋭い指向性を持つ、非常に大きな音量のアラームコール(警戒声)1を警戒対象に向けて発します。アラームコールの音量は瞬間的に140dBに達し、これは至近距離での落雷に相当するレベルの騒音です。

SCP-584-JPのアラームコールに晒された生物は騒音によって聴覚器官に損傷を受け、混乱または気絶します。この隙にSCP-584-JPは逃走します。しかし、このアラームコールはSCP-584-JP自身の鳴管を始めとする発声器官に強い負担を与えることが判明しています。個体の年齢や体調によってはアラームコールの発声と同時に気絶または死亡し、概してその他の野生動物に捕食されます。

SCP-584-JPが発するディストレスコール(遭難声)2の音量は最大で150dBにも達し、アラームコールに存在していた指向性が大きく失われます。SCP-584-JPの個体を捕獲した天敵は騒音によって混乱または気絶しますが、この個体も自身が発した騒音と発声器官への過度の負担により、気絶または死亡します。また、生存した場合においても、ディストレスコールに誘発された他のSCP-584-JP個体によるアラームコールによって死亡するケースが観察されています。

種に共通する臆病な気質と異常性に起因し、SCP-584-JPは最大で8羽程度の小さな群れで行動します。群れが一つの警戒対象へ一斉にアラームコールを発した場合、複数の音波が一箇所に集中することで著しく音圧が高まります。これに人間が晒された場合は確実に鼓膜を損傷して気絶し、毛細血管の破裂や強い吐き気、蝸牛神経の損傷による難聴、耳石器の損傷による目まいといった症状を呈します。また、攻撃対象の健康状態によってはショック死の危険性も考えられます。

補遺1:SCP-584-JPの駆除について

2007/06/11
提案があったSCP-584-JPの駆除計画は却下する。わざわざ危険を冒して減らさずとも、SCP-584-JPはあの本末転倒な生態によって個体数が安定している。たかだか150dBそこらの”怒鳴り声”も対策は容易だ。何かの要因で財団の収容が無効化され、何かの要因で連中が一斉に彼方へ飛び去るという最悪のケースが起きたとしても、果たして何が起きる? あの声ばかり大きい臆病者が人間という天敵の巣に近づくものか?

知っての通り財団の関心はSCP-584-JPそのものよりもこの地域の行方不明者数に向いている。対象は人間から聴力を奪いはするが、山を下る程度の判断力までは奪わない。この件の結論が出るまで完全な収容への移行は見合わせる。

過剰に恐れる必要はない。規則と手順を守り、これまで通り職務に励んでくれ。
-能重博士

2007/06/12
配置の変更を申請します。
確かに彼らは臆病です。大きな音どころか、書類が風でふわりと飛んだだけで頭が弾けそうな悲鳴を上げました。財団の防鳥機器は彼らに対して大変有効です。
ですが、頻繁な目まいに苦しみながら空に怯える生活は耐え難いものがあります。同僚がドアを閉める音、食卓で箸を落とす音、今の私には全てが衝撃です。祖父の昔話が思い出され、身に沁みました。
収容対象に愛着を抱いてはいけない。エージェントとして当然の心構えを守れなかった私はこの任務に不適格です。
-エージェント██

補遺2:███山近辺における行方不明事件の調査報告書

2007/07/03
███山近辺の調査により、新たに4体の行方不明者の遺体を回収した。服装と装備からうち3名はグループの登山者。1名は警察官である。
遺体はいずれも死亡から十年以上が経過して完全に白骨化し、共通して頭蓋骨に鈍器で殴打したと思われる陥没が見られた。靴など一部の衣服や所持品、拳銃が奪われていることから殺人と断定。SCP-584-JPとの因果関係は不明だが、かつてこの地域を徘徊していた連続殺人犯の存在は疑うべくもない。
殺人犯を追跡対象として調査を継続する。発見するものがあと1体の白骨であることを願う。
-エージェント████

2007/07/24
███山の収容地域から東北東3kmの山間部で一軒の小型木造家屋を発見した。
内部は無人。家具の数から一人暮らしだと推測される。住人が痕跡を消した後に引き払った様子で、指紋や毛髪などの個人に繋がる証拠は検出できていない。
裏手側に並んだ複数の小さな土山を掘り返した所、白骨遺体を多数発見。いずれも死後数十年が経過して風化が進行した古い遺骨だった。この内およそ半数の頭蓋骨に山中で回収された遺体と同様の損傷が見られた。以後この家屋の住人を追跡対象と見なす。
追跡対象があえて残したものだと思われるが、軒先に空の鳥カゴが1つ吊るされていた。内部からSCP-584-JPと特徴が合致する羽毛を検出。加えて古い字体の文章が書かれたメモ用紙が収めてあった。文面は以下。

『目視ニ依リ慎重ニ選別スルコト望マシク 巳ムヲ得サレハ粟ニ毒ヲ混セタルヘシ』

追跡対象の生存と筆跡、SCP-584-JPとの関与が判明した。██県警に潜入したエージェントに連絡、以後連携して対象の身元と足取りの調査を続行する。彼らへの防音装備の支給を申請する。
-エージェント████

補遺3:取り扱い指示書

2009/03/15
███山における先日の一掃作戦によって収容違反は完全に収束し、野生のSCP-584-JPの駆除が完了した。財団が把握しているSCP-584-JPは現時点で収容下にある24羽のみとなり、危険性を鑑みて雌雄を含む6羽ずつをA、B、C、Dの生物収容房に振り分けた。
5月から7月にかけての繁殖期に当たり、我々は警戒心を持って適切な処置を取る必要がある。現在は立証段階であるため、以下に新しい手順を記述する。SCP-584-JPの給餌を担当する職員はこれを把握して定期的に行うこと。

まず手のひらに餌を乗せる。
餌台になったつもりでじっと待つ。
やがて人に慣れたSCP-584-JPが食べに来るだろう。
君をじっと見つめたのはSCP-584-JP-2だ。
タグ番号を記録し、収用房E以降に単独で隔離せよ。

指揮官の存在は奴らを一変させる。群れの規模次第では防音装備すら無意味となることを覚えておくように。
-能重博士

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