SCP-589
評価: +8+x

アイテム番号: SCP-589

オブジェクトクラス: Keter

特別収容プロトコル: SCP-589は封印処置および強靭化処置がなされたコンテナに収容し、溶接によって閉鎖します。いかなる状況であってもSCP-589をコンテナから出してはならず、物理的接触もしくは視認を行うことも禁止されています。SCP-589とそのコンテナは重量計の上に配置され、常にSCP-589の存在をその重量により確認できるようにします。

SCP-589の収容セルはレベル4職員のみアクセスでき、セルは少なくとも2名のレベル4保安職員によって警護され、加えて24時間態勢の監視下に置くこととします。いかなる状況であってもSCP-589を収容セルから移動させることは許可されません。不正に侵入しようとした、もしくは不正にSCP-589を持ち出そうとした職員は終了されます。

収容が破られた場合、爆破装置もしくは焼夷装置の起動によりSCP-589の存在するセクター全体を速やかに隔離します。セクターに配置されていた職員で逃走に成功した者には尋問を行い、ただちに拘束して心理的スクリーニングを受診させます。

SCP-589をコンテナによる保護なしで取り扱う必要が生じた場合、SCP-589の取扱いが許可されるのは財団の心理学者でなおかつ心理抵抗指数が30以上の者に限定されます。作業の終了後、SCP-589を取り扱った職員は必ず心理的スクリーニングを受診しなければなりません。

説明: SCP-589は動物のぬいぐるみで、最初に接触した人間の主観的欲求に基づいてその外見を変化させることができます。SCP-589はそれを視認もしくは物理的接触を持った対象の心理を鎮めたり癒したりする能力を有しています。この能力はミーム的なものと考えられており、その複製によっても効果が拡散するほか、外観を描いた絵画によっても同様の影響がもたらされます。ただし、こうした複製物による効果の程度は当該物品の完成度に直接比例します。SCP-589の与える鎮静効果は麻薬の使用によるものとは異なり、脳内において安心感や幸福感を担う領域を刺激し、ストレスを軽減する化学物質やホルモンの生産を促します。しかし、この効果は急速な中毒状態を招き、継続的な曝露を受けると影響された個人は完全にSCP-589に依存するようになります。一度依存すると、対象がSCP-589もしくはその複製と接触しようとする欲求は強迫的観念とほぼ同等となり、影響された個人はさらなるSCP-589の複製を作りそれを広めようとする衝動に駆られます。

しかし、SCP-589を危険たらしめているのはその後遺作用です。一定期間の後、SCP-589はただちに消滅します。このとき、SCP-589本体、あらゆる物理的複製、さらにあらゆる印刷物および電子メディア上の複製が完全に消失することとなります。この突然かつ大規模なSCP-589の消失はSCP-589に影響された者たちによる破局的結果を招きます。SCP-589による抑制と鎮静なしでは、影響された個人はすぐに以下のような重度の禁断症状を呈しますが、症状はこれらに限られたものではありません:躁鬱病、精神異常、攻撃性の増加、抑制しがたい絶望感、痴呆、発狂、偏執病、あるいはその他の行動障害。いかにして、あるいはなにゆえにSCP-589がこれを引き起こしているのかはわかっていませんが、SCP-589は影響された個人の完全な依存の原因となっている精神的苦痛を「摂取」しているのではないかという説があります。このプロセスが終了すると、SCP-589は別のランダムな地点に再出現し、サイクルを繰り返します。

SCP-589の追跡および収容は、僻地にある村や町において住民全員が大規模かつ暴力的な騒乱の中で互いに殺し合い全滅しているところを発見されるという一連の奇妙な報告を財団が察知したことをきっかけに実行に移されました。財団はこれらの事件の追跡調査を行いましたが、████████博士が標的となるエリアのパターンを発見するまでその原因は特定されていませんでした。████████博士が作成したデータにより、財団は辛くもSCP-589の阻止および収容に成功しましたが、数名の職員がSCP-589の影響に晒されたことで過酷な心理的治療を受けることとなりました。現在のところ、SCP-589は収容エリアから脱出しようとはしておらず、そのことから研究者はSCP-589は非常に特殊なライフサイクルパターンに従っているという説を唱えています。

影響のパターン: Dクラス職員のグループに対するいくつかの実験により、SCP-589は深刻な不安もしくは多量のストレスを抱えている人物を主な標的にしているらしいことが判明しました。多量のストレスを抱えている、もしくは自尊心が低いとされる心理的プロファイルを有する対象の被影響率は90パーセントに上り、一方ストレスが少なく高い自尊心を持つ対象の被影響率はわずか12パーセントに留まりました。このことは、SCP-589は容易にその影響を広めるべく人口の多いエリアを標的にしているという、████████博士による初期の仮説を裏付けるものとなっています。

有知性仮説: SCP-589は実際には無生物のオブジェクトではなく、知性を持つ生物であるという説が現実味を帯びてきています。SCP-589の移動パターンの研究により影響パターンのデータとの相関性が発見され、SCP-589は毎サイクルの初めに出現する地点を意図的に制御しているらしいことが判明しました。しかし、このことを証明するにはさらなるデータと実験が必要とされます。

評議会通達: 事案589-40を引き起こすこととなった実験589-05における破滅的な収容違反を受け、SCP-589は恒久的に保安コンテナに格納することとする。SCP-589の移動を要請するにあたってはO5レベルのクリアランスが必須となる。

O5-█

特に指定がない限り、このサイトのすべてのコンテンツはクリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス の元で利用可能です。