SCP-590-JP
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アイテム番号: SCP-590-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-590-JPはサイト-8181にある低危険物収容ロッカーに収容されています。SCP-590-JPに関する実験はセキュリティクリアランス3以上の職員2名の許可を得た上でサイト-8181の隔離実験棟内にて行い、その際実験を行う部屋と同じ階にDクラス職員以外の財団職員がいないことを十分確認する必要があります。

説明: SCP-590-JPはPCDJコントローラ1として機能する電子機器です。既存のメーカー製品に同型のPCDJコントローラは存在しないことが確認されています。電源が入っていない状態では異常性は発現されず、電源を入れ人がSCP-590-JPの前に立った際に初めて後述の異常性が発現されます。

まず電源が入っているSCP-590-JPの前に人が立った際、その場所が屋内であればSCP-590-JPと同じ階にいる人間全員が、屋外であれば半径200mにいる人間全員がSCP-590-JP付近への集合を試みます。この行為を物理的に妨害することは可能であり、集合を試みた理由について尋ねると「楽しそうだったから近づいてみた」という旨の証言が共通して得られることが確認されています。

この状態でSCP-590-JPを介して何らかの音楽あるいは音声を再生した場合、集合した人間(以下SCP-590-JP-1と表記)は歓声を上げ、その後それぞれのSCP-590-JP-1が音楽あるいは音声に関連する運動を開始します。SCP-590-JP-1の運動のリズムは音楽あるいは音声のそれと連動しており、SCP-590-JPを用いて音楽あるいは音声のリズムを変更した場合それに合わせて運動のリズムが変更されることも確認されています。またSCP-590-JPを操作する人間はSCP-590-JPの影響を受けないことが確認されています。

SCP-590-JPは20██/██/██、東京都███区にある家電量販店で回収されました。家電量販店から「店内で大勢の客が踊りだして収拾がつかない」という通報を受け警察に扮したエージェントが調査に向かい、監視カメラと店内放送を用いてSCP-590-JPを操作している人物に停止命令を出した結果その人物がSCP-590-JPの電源を切ったことで事態の収拾に成功しました。この後SCP-590-JPを操作していた人物に事情聴取したところ「PCDJ用の機材を見に来てて、試しにこれ(SCP-590-JP)の電源を入れたら人が集まり、調子に乗って音楽もかけた」と証言し、監視カメラの映像からこれらの証言が事実であることが確認されたため、集合した客を含め全員に記憶処理を施した上で解放しました。またSCP-590-JPが誰によって製造されたのか、いつからこの店舗に設置されていたのか、誰が設置したのか等の調査も行われましたが、現在までこれらに関する情報は掴めていません。

実験記録001 - 20██/██/██

実験001-1
実施方法: 隔離実験棟1FでD-590-1にSCP-590-JPを操作させる。同施設の1階には10人のDクラス職員を配置した。再生した音楽は"トランス"というジャンルに分類される。

結果: D-590-1が電源を入れ操作を開始した時点で10人のDクラス職員全員がSCP-590-JP付近に駆け寄る。曲が再生された時点で歓声を上げ、全員がそれぞれ踊り始めた。踊りについては全Dクラス職員が似たような踊り方をし、また踊りのリズムは完全に曲と一致していた。

実験001-2
実施方法: 環境は実験001-1と同様。再生する音楽を"ハードスタイル"というジャンルに分類される曲へと変更。

結果: 曲が再生された時点でDクラス職員が歓声を上げ、全員が再度それぞれ踊り始める。踊りについて実験001で見られた踊りとは明らかに異なり、跳躍を基本とした踊りを見せる。またこの場合も踊りのリズムは完全に曲と一致していた。

実験001-3
実施方法: 環境は実験001-1と同様。再生する音楽を"タンゴ"というジャンルに分類される曲へと変更。

結果: 曲が再生された時点でDクラス職員が歓声を上げ、その後Dクラス職員同士でペアを組み始める。ペアを組み終わった段階で全ペアがタンゴ舞踊を開始。全ペアが明確に曲に合わせたダンスを行った。この後一度SCP-590-JPを止め全員にインタビューを行ったが全員社交ダンスや競技ダンスの経験はなく、何故踊れたのかという問いについて「その場の空気に合わせて踊っていただけ」という旨の証言を得た。

実験001-4
実施方法: 環境は実験001-1と同様。再生する音楽を"ハッピーハードコア"というジャンルに分類されるBPM180の曲へと変更。なおこの曲は1:30付近でBPMが200に変更される。

結果: 音楽が再生された時点でDクラス職員が歓声を上げ、その後全員が身体を前後させながら手を掲げ叩くという踊りを開始する。当初叩かれる手のリズムはBPM180のリズムを正確に再現し、音楽のリズムが変更された際もその変更に追随するように手のリズムも加速した。

メモ: どんな楽曲でもジャンル及びリズムに合わせて何らかの踊りを実行できるらしい。次回の実験ではどこまで速い楽曲にSCP-590-JP-1が対応できるのかを確認する。 —██博士

実験記録002 - 20██/██/██

実験002-1
実施方法: 環境は実験001-1と同様。SCP-590-JPを介してホワイトノイズを再生する。

結果: 全Dクラス職員に変化なし。

実験002-2
実施方法: 環境は実験001-1と同様。再生する音楽をBPM540の、"スピードコア"というジャンルに分類される曲に変更する。

結果: 曲が再生された時点でDクラス職員が歓声を上げ、その後全員が頭部の前後振動を開始する。曲を途中で中断したところ10人全員が倒れこみ、うち4人に脳震盪の症状が見て取れた。

実験002-3
実施方法: 環境は実験001-1とほぼ同様であるが、音楽を聴く側のDクラス職員を10人から1人に変更。再生する音楽をBPM2000の、"エクストラトーン"というジャンルに分類される曲に変更する。

結果: 曲が再生された時点でDクラス職員が歓声を上げ、その後高速に全身を振動させ始める。振動に伴いDクラス職員の外形が崩壊し始め、曲が終わった段階で[編集済]、その後終了された。

実験002-4
実施方法: 環境は実験002-3とほぼ同様であるが、SCP-590-JPは衝撃吸収材及びチタン合金ケースで保護されている。再生する音楽も002-3と同様であるが、これを34倍速で流す。

付記: 実験002-3におけるDクラス職員の運動長は振動1回につき最大30cmであった。この数字を元にするとこの実験ではDクラス職員の運動速度が音速に達すると推定される。また他のDクラス職員にSCP-590-JPを介さずこの34倍速の曲を聞かせたところ「ノイズにしか聞こえない」との証言を得ている。

結果: 曲が再生された時点でDクラス職員が歓声を上げ、その後[編集済]。SCP-590-JP-1と化したDクラス職員はその場で終了が確認された。SCP-590-JPの破損はなし。隔離実験棟については1週間の清掃・修復期間を要した。

追記: 実験002-3,4の結果を踏まえると、計算上ではBPMがおよそ10億を突破した段階でSCP-590-JP-1の身体運動の速度は光速を突破する計算になります。そのような曲を聴いた際SCP-590-JP-1がそれを曲と認識し実際に光速で動くことが可能なのか、という点を解明する実験が検討されていましたが、仮に人間ほどの質量を持った物体が光速で移動した場合壊滅的被害が発生することも想定されるため、この実験案は現在凍結されています。

実験002-4の終了後、SCP-590-JPの操作を担当したD-590-1にインタビューが行われました。以下はその記録です。

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