アイテム番号: SCP-591-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-591-JPはサイト-8102の耐爆処理が施された低危険度生物用収容室で収容・飼育されます。食餌として市販のドッグフード40gを毎日朝夕の指定された時間に与え、食後からSCP-591-JP-1が排泄されるまでの期間は室内に設置された監視カメラによって監視を行ってください。排泄が確認された場合、SCP-591-JP-1は遠隔操作可能な小型地雷処理ロボットによって衝撃を与えないよう速やかに回収し、実験に使用する分を除いて適切に焼却処分を行ってください。
日本全域にかけて残存したSCP-591-JP-1が何らかのきっかけで爆発したと考えられる事象が発生した場合は、不発弾など適宜適切なカバーストーリーを流布すると共にボランティア団体に扮したエージェントによって周辺の清掃活動を行い、SCP-591-JP-1の可能性がある犬の糞を全て回収し、焼却してください。
現在SCP-591-JPは1個体が収容されていますが、未収容の個体が存在する可能性があります。各地で発生した爆発事故の情報を収集し、現在収容中の個体が収容前に引き起こした事案と類似性が確認された場合は現地に赴いて調査を行ってください。
説明: SCP-591-JPは異常な性質をもった糞(以下SCP-591-JP-1)を排泄する体重4.2kg、体高35cm、体長60cmの成犬のミニチュアダックスフント(Canis lupus familiaris)に見える個体です。前述したSCP-591-JP-1以外に外見・臓器系統共に特異性は無く、DNA検査の結果も完全にイエイヌのものと一致しましたが、犬種鑑定の結果は身体的特徴に反してドーベルマンやシェパード種の遺伝子が含まれていました。また発見時に"アルフレッド"と記名されたネームプレートが付いた首輪を着用していたため飼い犬であると推測されています。現在に至るまで飼い主は発見されていません。SCP-591-JPが発見された██県██市から約10km離れた█市に飼い主が居住していることが特定され、インタビューが行われました。(インタビュー記録参照)
SCP-591-JP-1はSCP-591-JPが食後概ね6~8時間の間に排泄する糞です。常時サイズは10cm前後、質量は20g前後であり匂いや触感、耐久性は通常の犬のものと類似していますが、踏みつけられる、車等の重量物に潰されるなどの外的要因によってSCP-591-JP-1が接地面に静止した状態で瞬間的に5kg以上の重量が加えられた場合、一般的な対人地雷と同威力の爆発を起こします。なお地雷探知機等のデバイスは一切反応を示しません。またこれらの特性はSCP-591-JP-1が完全に焼却される、もしくは土中などに埋められて微生物に分解され、土に還ることによって喪失することが確認されています。
SCP-591-JPは██県██市から█市にかけて路上で通行人や自動車が突如爆発する事故が頻発したこと、病院へ搬送された負傷者が「何か柔らかい物を踏んだと思ったら爆発した」との証言をしたことによって財団の興味を引きました。現地に派遣されたエージェントが事故現場付近の防犯カメラを確認したところ、SCP-591-JPがSCP-591-JP-1を排泄する姿と、その█時間後に通行人により踏まれて爆発する過程の一部始終が収められていました。そのため周辺に生息する野良犬を調査し、同型の犬種が発見されたので捕獲して観察したところ、糞が映像データと同じ特異性を示したのでSCP-591-JPと断定され収容に至りました。一連の事件はカバーストーリー『非行グループによる改造爆竹を用いた悪質ないたずら』の流布により偽造され、被害者やその関係者には事情聴取後Aクラス記憶処理が施されました。なお被害に関しては確認できた限り重傷者██名、死者█名、また破損した一般車両が█台です。
SCP-591-JPの元飼い主へのインタビュー記録
対象: 有坂 ██氏
インタビュアー: エージェント・ ██
付記: 有坂氏は一連の事件が発生する二か月前の期間に飼育していたSCP-591-JPが失踪したと証言しており、捜索活動を行っていました。このインタビューは保健所の職員に扮して有坂氏のアパートを訪れたエージェント・██によって行われたものです。
<録音開始, 20██/█/██ ██:██>
エージェント・██: それで、あなたが飼っていた犬はこの子で間違いありませんね?[SCP-591-JPの写真を提示する]
有坂氏: あっ!ウチのアルフレッドに間違いありません!!あの子は今無事なんですか!どこにいるんですか!?まさか殺処分なんてされてないでしょうね!!!
エージェント・██: ええ、ご安心ください。おたくのアルフレッドくんは隣の██市で無事に保護されました。今はちょうどお昼寝でもしているころでしょうね。
有坂氏: そ、そうですか…見つけてくださったのに取り乱してしまってすみません…でも本当に無事でよかった…ありがとうございます。
エージェント・██: いえいえ。それでですね、██市の保健所では迷子犬を飼い主様のもとにお返しする際にいくつか必要な手続きがありまして、アルフレッドくんに関してご質問をさせていただいてもよろしいでしょうか?
有坂氏: わかりました。あの子が帰ってくるならなんでも。
エージェント・██: ありがとうございます。それでは質問させていただきますが、あなたはいつ頃からあの子を飼い始めたのですか?
有坂氏: うーん、たしかかれこれ3年くらい前になりますかね。独り暮らしが寂しいもんで犬を飼おうと思って。ネットの里親募集サイトでみかけてかわいい子だなと思って里親を引き受けたんですよ。
エージェント・██: なるほど…ちなみに元の飼い主さんとお会いになったりは?よろしければご様子などもお聞きしたいのですが…
有坂氏: はい。相手方の家…兼職場なのかな。そこまで直接出向いて引き取りに行ったのでその時に。たしか個人開業のお医者さんでお会いした時も白衣を着てたんで印象に残ってます。あとは…ずいぶん可愛がっていらした様子で別れが名残惜しそうでしたね。そうそう、アルフレッドって名前もその方が名付け親なんですよ。元々あの子は兄弟犬でもう1頭の兄の方も里親募集をしていたんですが、流石に独り暮らしで2頭も面倒を見るのは大変でしたから残念ながら引き取れはしませんでしたね。ええ。
エージェント・██: わかりました。ところで質問は変わりますが、ただいま飼い主様向けの意識調査アンケートも同時に行っておりまして犬の糞に関する集計をしているんですよ。ぜひ有坂様にも答えて頂きたいのですがよろしいですか?
有坂氏: 構いませんよ。
エージェント・██: ではお聞きします。えー、質問1。『あなたは散歩中など、飼い犬の糞をしっかりと回収されていますか?』
有坂氏: 当たり前でしょう。それは飼い主としての責務ですよ。それが出来ないなら犬を飼う資格はありません。
(以下略)
<録音終了, 20██/█/██ ██:██>
終了報告書: 有坂氏にはSCP-591-JPの受け取り元の位置情報を聞き出した上でAクラス記憶処理がなされ、SCP-591-JPと同種のダックスフントが与えられました。
補遺1: 同飼い主から得た情報を下にSCP-591-JPを受け渡した人物とその拠点の捜索を行った結果、現在は廃墟となっている病院に偽装された日本生類創研のものと思しき研究施設が発見され以下の文章が回収されました。
以前から我々の研究開発に異常技術の転用ができないかと期待されていた旧日本陸軍の負號試製五式特殊軍用犬の実験記録及びその手引書に関してだが、幾度試行錯誤を繰り返しても記録内にある大型犬への特異性付与が失敗に終わっており、ダックスフント種以外での成功例が確認されない。成功例の爆破力に関しても小型で軽量な犬種故か威力不足が指摘されている。
クライアントから求められているのは、
・通常の軍用犬以上の身体能力
・対戦車地雷敷設能力
・条約により禁止された国でも運用可能な隠密性
であり、現在のアプローチ方法による開発は失敗と言わざるを得ず、これ以上の開発資金の承認は不可である。
そのため現在異常性の付与が確認されている実験体D-1945-A1"Alfred"とD-1945-A2"Nobel"に関してもこれ以上の発展性は認められないとし、データ記録の終了後に破棄を命ずる。なお処分方法は貴研究支部に一任する。
ページリビジョン: 22, 最終更新: 29 Aug 2021 16:22