SCP-603
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scp-603.png

SCP-603による出力

アイテム番号: SCP-603

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: 2006/12/11現在、SCP-603は研究施設12-Aの監視ルーム1に設置された専用コンピュータシステムに保存されています。システムには財団のイントラネットを通じてリモートアクセスすることが可能です。SCP-603へのアクセスを希望する職員は、システムアクセス用の一時パスワードを申請してください。標準のパスワードの有効期間は発行から24時間です。SCP-603へのアクセスを24時間以上継続する必要がある場合は、Dr.ブラウンの承認を受けてください。監視ルーム1への入室は、Dr.ブラウンによる直接の許可がない限りは禁止されています。

SCP-603の起動中は常に監視が必要です。決して起動させたまま放置することのないようにしてください。

説明: SCP-603は、自身のソースコードを再生産および拡張する能力を持つ、自己複製型コンピュータプログラムです。

SCP-603の最初のバージョンは、███████████大学の大学院生であった█████・████████によって1996年に書かれたものです。1997年、複数の特異現象に関して財団が行った調査の結果、████████の所有するパーソナルコンピュータが財団によって接収されました。████████は2003年に行われた聞き取り調査で、SCP-603のオリジナルのソースコードはANSI/ISO Cによって書かれたものであり、行数は約12000行であったと述べています。これが事実であるかどうかは確認されていません。

SCP-603は起動と同時に、単一のスレッドで自身のソースコードの新しいバージョンを生成し始めます。SCP-603はメモリ上の自分自身に変更を加えるのではなく、ソースコードのコピーを内部に保持し、これを繰り返し修正していきます。SCP-603が正常に終了すると、作業ディレクトリに"source"という名称の新しいディレクトリが作られ、その中にソースコードが出力されます。この処理が行われるたびに、プログラムの内部関数および外部関数には変更が加えられ、さらにはプログラムの機能や言語の構造にまで拡張および変化が生じます。常に変化を続ける性質を持つことから、この言語は"Morphic"というニックネームで呼ばれています。

ソースファイルを渡されると、SCP-603はコンパイラおよびリンカとして機能します。Morphicのコードは、それを出力したのと同じバージョンのSCP-603であれば必ずコンパイル可能ですが、より古いバージョンのSCP-603でコンパイルが行えることはほとんどありません。コンパイルが完了すると、"megaprime"という名称の実行ファイルが出力されます。

最近のバージョンのSCP-603は、極度に難読化されたMorphicで書かれた、約7000万行のソースコードを持っています。

SCP-603のビルドは████████にアーカイブされています。最新のビルドは████。SCP-603をビルドするにあたっての関連情報は、ドキュメント█████に記載されています。

実行中のSCP-603は、素数(prime numbers)を2から順に生成し、動作している環境における標準的な方法で表示します。この表示が素数番目(2番目、3番目、5番目……)に達すると、GPUアクセラレートされたウィンドウが出現することがあります。ウィンドウの内容は様々ですが、ランダム性はありません。同じバージョンのSCP-603であれば、何度実行しても、同じ素数に達したときに同じウィンドウが開きます。ウィンドウが何らかの入力を受け付けるものであった場合、入力内容が同じであれば結果も同じものとなります。

多くのウィンドウは特定のバージョンのSCP-603でしか出現しませんが、複数のバージョンに跨って同種のウィンドウが出現する例も存在します。そういった例においては、内容が全く同じではなくバリエーションが生じていることもしばしばであり、SCP-603のバージョンアップにつれて「進化」していくものもよく見られます。一方でDieのように、バージョンを重ねても全く変化がないものも確認されています。代表的な再出現型ウィンドウについては、本記事下部の記述を参照してください。

下記以外のウィンドウに関する記録は、追加ファイル603-FT-2012に記述されています。


Die [SCP-603-44]

Dieはテキストベースのインタラクティブアドベンチャーゲームです。Dieが起動すると、以下の文章が画面上に表示されます。

君の頭は茨の中に囚われているかのごとく、いっそう激しく痛み出している。君は北を振り向き、霧に浮かぶ古い灯台に目をやった。君の愚かな行いによって無残にも消え果てた、ほんの微かであった希望の光だ。遠く遥かに離れた幻想に、手の届くことは決してない。君はもはや戻る道はないと知った。

メッセージの下にはコマンドプロンプトが表示され、プレイヤーはコマンドを入力してEnterキーで決定することができます。"look"(見る)とコマンドを入力すると、前述のメッセージが再び表示されます。"go north"(北へ行く)というコマンドに対しては、"You cannot go north."(君は北へ行くことはできない。)というメッセージが表示されます。北以外の方向へ進もうとした場合の反応も同様のものです。それ以外のほとんどのコマンドに対しては、"You cannot [do x]."(君は[do x]することはできない。)というメッセージが返されます([do x]にはプレイヤーが入力したコマンドが代入されます)。何らかの物体に干渉するようなコマンド、例えば"pick up apple"(リンゴを拾う)には、"There is no apple here."(ここにはリンゴはない。)のような反応が返ってきます。

現時点では、ゲームを進行させることが可能なコマンドは"die"(死ぬ)しか発見されていません。このコマンドを入力したプレイヤーは即座に心不全を起こし、画面上には「君の周りの世界が闇に落ちていく。君は自分の行為にふさわしい結末を迎えたのだ。」というメッセージが表示されます。このメッセージは、SCP-603のプロセスが終了するまで画面から消えることはありません。

"die"コマンドの効果は、システムにリモートアクセスした場合でも発生します。2名以上の人物が共同で"die"コマンドを入力すると、全員がコマンドの効果を受けます。例えば1名が"die"と入力し、もう1名がEnterキーを押下した場合、2名が同時に心不全を起こします。

Dieをクリアしてゲームを終わらせる方法はいまだ見つかっていません。SCP-603の起動中にDieが出現した場合は、SCP-603のプロセスを終了させることが推奨されています。

"die"コマンドの効果を受けた人物は、通常の心肺蘇生法によって救助することが可能です。Dieに関するさらなる実験を行う場合は、Dr.ブラウンの許可を受け、医療ユニットにおいてスタッフの立ち会いのもとで実施してください。


SCP-603_jacob.png

2008/04/02時点におけるJacobのスクリーンキャプチャ

Jacob [SCP-603-20]

Jacobは人工知能です。Jacobのウィンドウには、複数色に塗り分けられた正三角形がひとつ、黒い背景の上に表示されています。正三角形の左側の角周辺の色は赤、右側の角周辺の色は緑、上側の角周辺の色は青であり、角から遠ざかるにつれて色は混ざり合っていきます。Jacobがアクティブである間、ウィンドウのタイトルバーには"Hello, world!"という文字列が表示されています。

2006/02/02現在、Jacobのウィンドウの下部にはテキスト入力フィールドが存在しており、ここに文章を入力してEnterキーを押下することでJacobとの対話が可能です。Jacobからの返答は、Enterキーの押下直後に、正三角形の上部にボールド体の白文字で表示されます。返答の文字列は時間経過によって消えることはなく、新しい返答によって更新されるまでそのまま表示されています。

Jacobの記憶はSCP-603のプロセスが終了すると同時に消去されます。過去にJacobと対話したユーザーが精神的苦痛を受けた事例があるため、Jacobとのコミュニケーションを行うにあたっては、Jacobを擬人化する心理的傾向を持たない(または、わずかしか持っていない)職員を担当者とすることを推奨します。

以前のセッションで行われた対話の内容などを記憶していないにもかかわらず、SCP-603がバージョンを重ねるにつれて、Jacobの言語能力および学習能力には向上が見られています。

Jacobの履歴
初めてJacobが出現したのは、2002/01/05にコンパイルされたバージョンのSCP-603です。この頃のSCP-603においてはJacobと対話する方法は存在せず、Jacobは単に「三角形」と呼ばれていました。

2004/09/09、Dr.ブラウンがJacobを12分間に渡って起動させていたところ、"Please submit your query"(質問を入力してください)という文字列が、三角形の上部にボールド体の白文字で表示されました。これに対し、Dr.ブラウンは"hello"という単語をタイプしました。画面上にはキー入力に反応している様子は見られませんでしたが、Enterキーが押下された瞬間、三角形の上部の文字列は"Hi."に変化しました。

JacobとDr.ブラウンの間で最初に行われた対話の完全な記録は、ドキュメントjacob-001.txtに保存されています。

2006/02/02、Jacobのウィンドウの下部に長方形のテキスト入力フィールドが出現し、このフィールドにユーザーが入力した内容が表示されるようになりました。この変化についての質問に、Jacobは"I can't see what you're talking about. Do you like oysters?"(あなたが何のことを言っているのかわかりません。牡蠣は好きですか?)と返答しました。


SCP-603_ram_dist_thumb.gif

SCP-603-95のスクリーンキャプチャ

SCP-603-95

SCP-603-95が起動すると、ランダムと思われる映像が高速で切り替わりながら次々に表示され、プログラムのメモリ使用量が1秒間に約12%の割合で増加していきます。メモリ使用量が512Mbyteを超過すると、以降は増加ペースが1秒間に約31%の割合に速まります。

SCP-603-95の画面を視認した人物は、外部からのあらゆる刺激に反応しなくなります。通常、5~10秒以内であれば、視認者の視界を遮ってコンピュータディスプレイを見えなくすることで、SCP-603-95の影響を取り除くことが可能です。これ以上の時間に渡って視認を続けると、SCP-603のプロセスを終了させない限り、視認者はSCP-603-95の影響から脱することができなくなります。

メモリ使用量が512Mbyteを超過すると SCP-603-95の影響下にある人物は様々な苦痛に襲われます。最も顕著な症状として挙げられるのは、両目および咽喉からの出血と、両腕および両脚の背面の皮膚における深い皺の急激な形成です。また、多くの視認者は便を失禁します。

システムの空きメモリが不足すると、SCP-603はクラッシュします。通常、視認者はこの時点で意識を失います。

SCP-603-95の画面を記録した映像には、視認者に有害な影響をもたらす性質は(視認者の体質によっては光過敏性発作が生じる可能性があることを除けば)一切存在しません。

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