SCP-613-JP
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SCP-613-JPの顕著な発生例

アイテム番号: SCP-613-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-613-JPの全てを財団が確認・収容することはできていません。SCP-613-JPは粉末の塩化カルシウムで満たされた2 m×2 m×2 mの標準的Euclidクラスオブジェクト収容容器に保管されます。移動が観測された場合は容器を破棄し、新しい容器を建造して常にSCP-613-JPが中央に来るようにしてください。
財団は日本の各地域で塩化カルシウムの散布を行い、事前にSCP-613-JPの移動を防いでください。また、新たなSCP-613-JPが発見された際は一般的な道路工事として、周囲に側溝を建造し無力化してください。

説明: SCP-613-JPは日本で見られる様々な柄の一般的なマンホール蓋のような外観をしています。SCP-613-JPの異常な特性は一番近い海岸線から140 kmの範囲でのみ確認され、それ以上の内陸部では発見されていません。SCP-613-JPは活性状態になると一番近い海岸線へ1年のサイクルが終了した1月1日に100 mm移動します。その際、日本の国土交通省の定める地図に存在するマンホールの配置も変化しますが、地図自体には異常な特性は見られません。SCP-613-JPは、この移動の特性と地図の改変を不審に思った財団の地方エージェントにより発見されました。

SCP-613-JPの表面に粉末の塩化カルシウムが存在する場合その1年間移動が見られなくなります。また、移動の際、周囲のアスファルトやコンクリートはあたかも以前からそこにマンホールがあったかのような振る舞いを見せ、進行方向に側溝などの地形的障害がある場合迂回しますが、周囲の全てを側溝で囲む等の「囲い込み」が行われると、異常な特性の一切が見られなくなり、容易に無力化することが可能です。

SCP-613-JPの上に乗った人物はおよそ60 %の確率でSCP-613-JPが下向きに突然開放し、中へ落下します。この際出現する穴の内部は別次元であるとされ、周囲6面を壁で覆うことは妨げになりません。この穴をSCP-613-JP-1と呼称し、その内部では無線、ビーコン、GPSなどの電子機器は無力化されます。被験者がSCP-613-JP-1に落下した場合、SCP-613-JPの隣に新たなSCP-613-JPが出現します。新しく出現したSCP-613-JPはオリジナルと全く同じ性質を示しますが、その地域に適した別の柄に変化するケースも報告されており、一種の擬態本能であると考えられています。また、落下した人物についての戸籍や周辺人物の記憶は改ざんされ、被験者の全ては、落下の数ヶ月前~数年前に既に死亡していたとされます。これらのプロセスを目視した人物は"マンホールとは人を落とすものだ"と信じこみ、パニックを起こさないためSCP-613-JPは発見が困難です。

SCP-613-JP-1内部には空気が存在しますが、壁面が音をある程度吸収するため、被験者の叫び声は非常に小さいものとなります。また、SCP-613-JP-1は底がないように見えます(実験記録1参照)。すべての実験はDクラスがSCP-613-JP-1に入ったことを目視しないよう留意して行われます。

実験記録1 - 日付1997/9/15

対象: SCP-613-JP-1
実施方法: Dクラス職員を最大1200 mまで延長可能なウィンチで固定。D-613992にはフレア6本を携帯させています。
<記録開始>

D-613992: あんたに向かって喋ればいいのか?無線とかいらないのか?1

████博士: 貴方は現状を報告するだけでいい。

D-613992: あいよ、なかはちと暗いな、ライトがついてる気がしない。

████博士: 現在20 mです、気分は?

D-613992: 喉が乾いたのと大声に疲れる以外は良好だ。

████博士: 底は見えそうですか?
D-613992: いいや、壁は見えるがあとはなんにもないね。

████博士: 予定通りフレアに着火して落として様子を観察してください。

D-613992: あっと どれだ これか いくぞー。

<記録終了>

終了報告書: 最後の連絡の直後勢い良くSCP-613-JPが閉まり、ウィンチは切断されました。

実験記録2 - 日付1997/9/20

対象: SCP-613-JP-1
実施方法: Dクラス職員を最大1200 mまで延長可能なウィンチで固定。蓋が閉まらないよう最大1200 Nまで耐えられる合金製パッキンを蓋に噛ませて固定します。D-613465にはフレア6本を携帯させています。
<記録開始>

████博士: フレアを落とさないでくれよ。

D-613465: あんたらお偉いさんのすることは分からんね、俺に下水工事でもしろってか?

████博士: D-613465は現状の報告のみ行うように。

D-613465: はいはい、今丁度20 mだ。 なぁ、無線機か何かくれないか?喉が痛くなっちまうよ。

████博士: そのまま100 mまで降りてください、到達したら新しくフレアを炊き、底を覗いてください。

[20 分経過]

D-613465: 今105 mだ、こいつに火をつければいいんだな?

[直後蓋とパッキンから金属の軋む音が聞こえる、SCP-613-JPは蓋を閉じようとしているように見える。]

████博士: 底は見えますか?

D-613465: 何も見えません。

████博士: 分かりました、そのまま200 mまで降りてください。

D-613465: 博士 私は何故このようなことをしているのですか?

████博士: D-613465は現状報告のみ行うように。

D-613465: 博士 貴方は私をどうする気ですか?

████博士: D-613465、指示を聞きなさい、現状報告のみ行うように。

D-613465: 私は海に行きたいだけだ。

████博士: 貴方は死刑囚であり財団の職員だ、指示を聞きなさい。

D-613465: 現在200 mだ、どうする?

████博士: 新しくフレアを炊いて底を確認してください。

D-613465: 嫌だ、にがい。

████博士: いえ、フレアを食べないでください。

<記録終了>

終了報告書: これ以降の連絡はなく、ウィンチを巻き上げたところワイヤーは105 mで引きちぎられるように切断されていました。

実験記録3 - 日付1997/9/26

対象: SCP-613-JP-1
実施方法: Dクラス職員を最大1200 mまで延長可能なウィンチで固定。蓋が閉まらないよう最大1200 Nまで耐えられる合金製パッキンを蓋に噛ませて固定します。D-613769にはフレア6本と水銀温度計、湿度計と塩を携帯させています、いずれも電子回路を持たない古典的な物です。
<記録開始>

████博士: 指示通りフレアを炊きながら連絡してくれ。

D-613769: 今だから言うけど俺暗所恐怖症なんだ勘弁してくれよ。

████博士: 指示通りに報告してください。

D-613769: い、いま15 mだ めちゃくちゃくれえよフレアはしっかり燃えてんのによぉ。

████博士: 30 mまで到達したら報告してくれ。

[8分経過]

D-613769: おーい、ここだ着いたぞ。

████博士: 温度計と湿度計を照らして値を叫んでくれ。

D-613769: だいたい…36 度と97 %。

████博士: 暑くないのか?

D-613769: 暑くはないね、むしろ寒いぐらいだ。

████博士: 分かった、そのまま90 mまで降りてくれ。

D-613769: 90!?[罵倒語]

[20 分経過]

D-613769: 着いたぜ、ちょうど90だ。

████博士: ではもう一度温度と湿度を叫んでくれ。

D-613769: かわらねえよ36と97だ。

████博士: 分かった、では持っている塩を落としてくれ。

D-613769: うまい。

████博士: ウィンチを引き上げてくれ。

<記録終了>

終了報告書: これ以降の連絡はなく、ウィンチを巻き上げたところワイヤーは90 mで引きちぎられるように切断されていました。

実験記録4 - 日付1997/10/1

対象: SCP-613-JP-1
実施方法: Dクラス職員を最大1200 mまで延長可能なウィンチで固定。蓋が閉まらないよう最大1200 Nまで耐えられる合金製パッキンを蓋に噛ませて固定します。D-613007にはフレア6本と水銀温度計、湿度計と砂糖を携帯させています、いずれも電子回路を持たない古典的な物です。D-613007の服には200 gのグラニュー糖と裁断された加工前のサトウキビを袋に詰め、縫い付けられています。
<記録開始>

D-613007: お偉いさんは俺の仕事を知っててこうやってるのかい?

████博士: Dクラスは指示通りに作業を進めてください、これは貴方の職業と関係がありません。

D-613007: そうか?ならますます意味が分からんな、今は30 m。これでいいか?

████博士: 結構です、そのまま50 mまで降りてください。

[5 分経過]

D-613007: これで50 mだ、でー。何をすればいいんだっけ?

████博士: カウントをアナウンスするので0になったら砂糖を下に投げてください。

D-613007: クソ真面目に意味のわからないことをさせるんだな、まぁいいけどよ。

<記録終了>

終了報告書: カウント0でウィンチを高速で引き上げたところ、Dクラスの回収に成功しました。しばらくした後SCP-613-JP-1から大量の赤茶けた粘性物質が吹き上げられました。調査の結果これらは人間の体組織及び血液と少量の溶けた砂糖であることが判明しました。

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