SCP-631-JP
評価: +73+x

アイテム番号: SCP-631-JP

オブジェクトクラス: Euclid Neutralized

特別収容プロトコル: SCP-631-JPは無力化されたものと考えられており、20██年よりSCP-631-JPに対するプロトコル、研究は廃止されました。旧プロトコルは添付資料を参考にしてください。

説明: SCP-631-JPは、██県███市███(以降、該当する地域をSCP-631-JP-αとする)で起きる、夢をはじめとした異常現象です。

1年に一人の頻度で、10年以上SCP-631-JP-αに住んでいる既婚者女性(以降、SCP-631-JP-Aとする)は異常性を伴う夢を見ることが判明しています。夢の中ではSCP-631-JP-Aの配偶者と同一の容姿を持つ男性(以降、SCP-631-JP-Bとする)が現れ、SCP-631-JP-A、Bは性行為を行います。この夢は約1~7日程度繰り返します。その後、現実での性行為の有無にかかわらず実際に妊娠することが確認されています。

SCP-631-JP-Aが妊娠した場合、胎児(以降、SCP-631-JP-Cとする)は通常の2倍の速度で成長します。妊娠期は約5ヶ月になると推定され、この期間はSCP-631-JP-Aはウイルスや病原菌への耐性がつくことが判明しています。妊娠4ヶ月を過ぎると出産予定日までの期間にSCP-631-JP-Cは不明な方法で胎内から消失します。消失してから2~3週間後にSCP-631-JP-Aの胎内にSCP-631-JP-Cのものと思われる白骨化した遺体が出現します。尚、SCP-631-JP-Cの遺体全てについてDNA鑑定を行った結果、各SCP-631-JP-Aと、不明な人物のDNAを受け継いでいたことが判明しています。この結果から、SCP-631-JP-Bは実在しており、何らかの方法でSCP-631-JP-Aの夢と現実に干渉しているという仮説がたてられました。現在警察との協力のもとSCP-631-JP-Bの捜索を行っています。SCP-631-JP-Bが特定されました。詳細は補遺3を参照してください。

補遺1: SCP-631-JP-Cの遺体の中には別の物質が検出された例が確認されています。以下の表は別の物質が検出された際の記録です。
SCP-631-JP-C 内容
1 数種類のハーブ類。骨の表面にナイフでつけられたものと思われる切り傷が発見された。
3 オリーブオイル、食塩。
4 食用酢。
7 菜種油。部分的に肉が残っており、一部が炭化している様子が確認された。

補遺2: 20██/10/██にSCP-631-JP-A-8が異常性を伴う夢を見て以来、SCP-631-JPの発生が途絶えました。SCP-631-JP-A-8のインタビューよりSCP-631-JP-Bに異変が起きたものと考えられています。以下の内容は、SCP-631-JP-A-8に対して行ったインタビューログです。

対象: SCP-631-JP-A-8

インタビュアー: 津軽研究員

付記: 津軽研究員はカウンセラーとして潜入していた。

<録音開始, 20██/10/██>

津軽研究員: ███1で噂されている夢についてでしたね?

SCP-631-JP-A-8: はい。私、あの夢を見て、私も流産してしまうのではないかと怖くて[数秒間沈黙]

津軽研究員: とにかく落ち着きましょう。紅茶でも飲んでください。

[SCP-631-JP-A-8が紅茶を飲む。この間約20秒]

津軽研究員: 大丈夫ですか?[SCP-631-JP-A-8が頷く]では続けましょうか。そうですね、確かに女性からするとあの噂は怖いですよね。気持ちはとても分かります。夢の内容については覚えていますか?

SCP-631-JP-A-8: はい。えっと、その[沈黙。研究員から視線を逸らす様子を見せる]

津軽研究員: ゆっくりで大丈夫ですよ。

SCP-631-JP-A-8: すみません。私、夢の中では裸でした。どこかわからない部屋のベッドに横になっていました。ベッドの横には同じく裸の██さん2がいました。なんだか今にも泣きそうな表情で、ベッドの上に上がってきました。彼は私をゆっくり押し倒して前戯を始めました。私の身体はうまく動かせませんでしたが、どうもそんな気にはなれませんでした。

津軽研究員: 旦那さんとの関係は良好だとお聞きしましたが、どうしてそう思ったのでしょうか?

SCP-631-JP-A-8: まず、なんとなく私は彼が██さんと同じ見た目の他人のような気がしていました。次に、彼は、その、なぜか悲しそうで、苦しそうだったんです。

津軽研究員: 同じ見た目の他人?なぜそう思ったのでしょうか。

SCP-631-JP-A-8: わかりません。ただ、なんとなくそう感じたんです。彼は目線こそこちらをむいていましたが、別の何かを見ているみたいでした。[数秒間沈黙]彼の顔はだんだんと歪んでいって、最終的には手を止めて泣き始めました。

津軽研究員: 今まで何人かこの夢についてカウンセリングを行ったことがありますが、手を止めたというのは初めてですね。

SCP-631-JP-A-8: そうなのですか?ではもしかしたら噂の夢とは違うのかしら。

津軽研究員: そうかもしれませんよ。ちなみにですが、彼は何か話していましたか?

SCP-631-JP-A-8: ひたすら謝ってました。「すまない、すまない」って。[数秒間沈黙]えっと

津軽研究員: 無理せず、ゆっくり思い出してください。

SCP-631-JP-A-8: すみません、彼は愛する人がいて、その人のためにしていたんだそうです。泣きながらだったのでよく声は聞き取れませんでしたが、後悔していてもうこれ以上は誰も苦しめたくない、みたいなことを言っていたと思います。償いをするつもりだとも。

津軽研究員: 償い?何か心当たりはありますか?

SCP-631-JP-A-8: いえ、とくには。

[以降もカウンセリングが継続されるが、重要度が低いため省略]

<録音終了>

終了報告書: SCP-631-JP-Bの発言中にある"償い"が何を指すものなのかは不明ですが、彼の発言を信用するならば今後異常性に何らかの変化がみられる可能性があります。

SCP-631-JP-A-8は妊娠していたことが確認されていましたが、胎児の成長速度が通常と同じであったことから異常性には曝露していないことが判明しました。

補遺3: 20██/3/██、███県███市██3にて交通事故が発生、車を運転していた60代の女性が死亡しました。女性の配偶者に連絡を取ろうとしたところ連絡がとれず、勤め先にも出勤していないことから警察が自宅を訪問しました。その際に玄関に鍵がかかっていなかったことを不審に思った警官が屋内へ入ったところ、リビングにて男性の遺体を発見しました。男性の頸動脈部分に切り傷があり、腹部の肉がえぐり取られていました。DNA鑑定を行ったところ、男性はSCP-631-JP-Bであることが判明しました。ゴミ箱からは血液の付着したナイフ及びメモ用紙が発見され、両方から男性の指紋が検出されました。メモ用紙には以下の内容が記述されていました。

だましてすまなかった。でも、これは僕が考えて最終的に出した結論なんだ。
君はクールー4を発症していることを自覚しているだろう?僕は君の望むままにと思っていたが、もう耐えられない。
こんなことはやめよう。彼女たちのために、子供たちのために、そして何より君のために。
これで最後だ。僕は君に寄り添おう、以前とは別の形で

夫婦は10年前に長期休暇でオセアニアへ滞在していました。当時の様子を調査したところ、夫婦の滞在地域にてSCP-631-JPに類似した現象が1件起きていたことが確認されています。

特に指定がない限り、このサイトのすべてのコンテンツはクリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス の元で利用可能です。