SCP-633-JP
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アイテム番号: SCP-633-JP

オブジェクトクラス: Euclid Neutralized

特別収容プロトコル: SCP-633-JPは無力化されました。現在は研究のためにA4サイズのファイルケースに格納した状態でサイト-8181の標準倉庫に保管されています。

説明: SCP-633-JPは厚さ0μm、重さ0μg、面積不明の平面的物体です。複数層に折り畳まれた状態で発見され、展開試験の結果、面積は最低でも40億平方km以上あることが確認されています。厚みが存在しないため理論上無限に折りたたむことが可能ですが、計測器などにより圧力をかけていない場合、折り畳んだ状態の厚みは0.78mm以下には減少することはありません。厚さが存在しない物体がどのようにして3次元的に存在し、いかなる原理で積層時の厚みを保持し通常の物体と接触できているのかは判明していません。SCP-633-JPは発見当時は表面の色を不規則に変化させていましたが、現在は全体が乳白色のまま固定されています。サンプル採取は成功しておらず、組成および起源は不明です。

SCP-633-JPは19██/██/██、SCP-233-JPにおいてサイト-8136に指定された旧犀賀さいが邸内で発見されました。SCP-633-JPは邸内に巧妙に隠されていましたが、SCP-633-JPが一定のパターンの信号を複数の周波数の電波を用いて送出し始めたことで発見されました。当初SCP-633-JPに対する研究は観測のみとされていましたが、その後の調査でSCP-633-JP内には文明が構築されており、明らかに外界の電波信号を傍受して状況を把握していることが判明したため、財団職員によりSCP-633-JP内部とのコンタクトが開始されました。

SCP-633-JPはその内部または表面に2次元空間と表現するべき独自の宇宙が展開されていたと考えられています。SCP-633-JP内にはSCP-633-JP-Aに指定される知性体が無数に生息しており、発見当時の彼らの供述ではおよそ4億、最盛期には6億の個体が生息していたとされています。SCP-633-JP-Aは自身を現地語で"マトゥラ(Matoora)"と呼称し、SCP-633-JP空間における支配種族でありこの次元における人類と同等の存在であると主張しています。SCP-633-JP-Aの生活様式、生殖方法、科学技術などについては多くの情報が交換されましたが、そのほとんどは物理法則の違いや互いの宇宙において適切に表現する言葉が存在しないことから、相互理解は困難を極めました。またオブジェクトの危険度を確定することを主目的として互いの宇宙に干渉する手段の研究が優先的に行われましたが、電波による信号の送受信以外の方法で接触することは不可能であると結論づけられました。

SCP-633-JP-Aは友好的であり、調査にも協力的です。SCP-633-JP-Aは現宇宙の人類と似た生活様式及び社会基盤を構築しています。例として、彼らは家族や仕事を持ち、エネルギーを消費し、娯楽を求めています。家畜の育成や彼らの次元でいう鉱物などの産出も精力的に行われており、いくつかの国を基軸とした高度な文明社会が築かれています。しかし近年は敵対的生物(現地語で"デクマグ(Dekmag)"と呼称)の異常増加により、SCP-633-JP-Aの生活圏は急速に縮小しています。SCP-633-JP-Aは各国家が協力して敵対的生物の対応に当たっていますが、現在まで大きな成果は得られていません。

19██/██/██、SCP-633-JP-A個体の数が3億まで減少したとの報告が発生しました。これを受け、██研究員からSCP-633-JP-A保護のため戦略技術や無線装置をベースとした科学技術の提供が提案されました。

19██/██/██、提案は了承されました。

SCP-633-JP-Aからの通信1(19██/██/██):

財団職員様。財団職員様より提供いただきました技術は大変に結構なものでございました。科学技術はナムンカヌン[注:現地語で"この宇宙"を指す単語(Namn-Knnen)]用に変換する必要があり応用は困難でしたが、戦略技術は驚嘆すべき内容であり、我々だけでは何世紀かけても思い至らないような画期的手法でございました。我々はこれら技術を活用し、全人類が一致団結することでついにデクマグを主要都市から追い払うことに成功いたしました。我々の祝宴にあなたがたをご招待できないことが残念でなりません。いつまでも変わらぬ友情を、ここに誓います。

SCP-633-JP-Aからの通信(19██/██/██):

財団職員様。最近連絡が滞りがちで申し訳ありません。都市機能の混乱により、あなたがたの言語を使える人員が他の業務に充てられている状況であることをご報告いたします。デクマグの脅威は主要都市から完全に排除されました。そればかりか、我々はデクマグを捉え、家畜化することに成功いたしました。攻撃性を抑えるためにいくらかの改造が必要でしたが、財団職員様より提供いただきました技術を応用することで、十分に採算の取れる効率での施術が可能となりました。重ねて御礼を申し上げます。都市機能の混乱というのはこの家畜化に端を発しております。一部の国家がデクマグのさらなる大型化および従順化に関する技術を独占しており、経済的緊張状態が高まっております。またデクマグを高効率で駆逐してきた軍事的国家は、自国内に残されたデクマグが少ないことから、デクマグが多く残る平和的国家への侵攻を開始し始めています。しばらくはこのような状態が続くかと思われ、事態の収拾のための妙案がありましたらば賜りたく、何卒よろしくお願いいたします。

SCP-633-JP-Aからの通信(20██/██/██):

財団職員様。先日の"EMPによる電気機器障害の件"、申し訳ありませんでした。軍事国家"アデム"による大規模殺戮兵器の使用による影響の一部が財団職員様側にも及んでしまった模様です。我々の文明は衰退の一途を辿っております。デクマグ争奪から始まった戦争は世界規模で急激な資源消費をもたらし、我々の文明は今や残された僅かな資源を奪い合い殺しあう、明日の糧をも知れぬ有様です。しかし現在何よりも懸念すべきは狂信者達の存在です。戦争の後に現れた新たな宗教団体"外なる神の子"の信者たちは、この宇宙の外、つまりあなたがたの世界には豊富な資源があるはずだと信じており、次元を超えた移動を画策しているようなのです。今まで申し上げておりませんでしたが、実はかつて一人だけ、あなたがたの世界から我々の世界に降り立った人物がおりました。このことはかの者からきつく口止めされておりましたが、このような状況となってはそれも意味のないことでしょう。狂信者たちはかの者が外宇宙からナムンカヌンに訪れたのと同様に、我らも外宇宙へ移動できるはずだと信じています。しかし我らの科学者は、それは不可能であり、その試みはまたナムンカヌンに壊滅的被害をもたらすであろうことを予測しています。我らは彼らを止めねばなりません。

財団職員様も興味をお持ちになるでしょうから、今日までの御礼を兼ねて、伝承についてお伝えさせていただきます。かの者が現れた頃、我々は前時代と呼んでいますが、前時代の終焉期は現在と同じくらいに悲惨な戦争状態でありました。前時代の戦争は文明のみならず宇宙そのものに深刻な被害を与え、宇宙自体が綻び始めるほどの規模であったと記録されています。かの者はその時代に現れ、このままでは我々すべてが滅ぶことを伝えました。またかの者は、我らが手を取り合うのであれば、宇宙を修復する方法があると伝えました。我らは争いを止め、かの者にすがりました。そして幾らかの時の後、宇宙は回復し、再び安定しました。我らは再び現れたかの者に、何をしたのかを尋ねました。かの者はそれには答えず、以後また我らが互いに争うことがあれば、きっと報いがあるだろう、そのときはまた手を取り合うことを思い出せ、と述べ、以後我らの前に現れることはありませんでした。これがかの者に関する伝承のすべてです。我らは報いを受けたのでしょう。デクマグが増加を始めた頃、まだ財団職員様と出会う前のことです、実は我々はすでに戦争状態でした。しかし我々は手を取り合う前に、あなたがたに助けを求めてしまった。我々は手を取り合う方法を忘れたがために滅ぶのでしょう。しかしまだ遅くはないはずです。我々は、かの者がしたように、今一度手を取り合えるよう努めます。我々が復興するその日まで、どうかご助力くださいますようお願いいたします。

20██/██/██、SCP-633-JP全体が20秒程度の間、白色に強く発光しました。その後SCP-633-JPは乳白色に変化し、以後色の変化および電波による通信は発生していません。

20██/██/██、SCP-633-JPは無力化したと判断され、オブジェクトクラスはNeutralizedに再分類されました。

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