SCP-651-JP
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発見当初のSCP-651-JP。左から、SCP-651-JP-A、-B。子供を模した部分は異常性を持たないと推測される

アイテム番号: SCP-651-JP

オブジェクトクラス: Euclid Neutralized

特別収容プロトコル: SCP-651-JPは2004年に不活性化したまま、現在まで活性化の兆候を見せていません。安全のためSCP-651-JP本体は2024年までサイト-8181において監視が続けられます。

説明: SCP-651-JPは、愛知県名古屋市の████美術館中庭に199█年より設置されていた一体のブロンズ彫刻です。

SCP-651-JPの設置されている台座には、日本語で『家族を守る、勇ましき母親』と題字が彫り込まれており、ブロンズ像はそれを象徴してか小さな子供を伴った夫婦の形を取ります。このブロンズ像のうち、異常性が認められるのはその父親・母親の像のみです(以下、父親の像をSCP-651-JP-A,母親の像をSCP-651-JP-Bと呼称)

SCP-651-JP-Aの眼球を模した部分から半径およそ14mの円内部がSCP-651-JPが活性化する効果範囲です。この内部において、"現在の日本で一般的に法律や道徳上ふさわしくないとされる行為"が何者かによってなされた際、SCP-651-JP-A/Bは活性化します。活性化の要素には殺人や暴力、唾を吐きかけるなどの直接的なものから、周囲でDクラス職員によってなされた嘘や暴言のようなものも該当します。

活性化の際、SCP-651-JP-Aは動き出し、像における子供を模した部分を抱きしめます。SCP-651-JP-Bは像の台座から降り、対象に向かって歩み寄ります。この際のSCP-651-JPのいずれかの活動を妨害しようとした場合、それらもSCP-651-JPによる異常性の対象となります。SCP-651-JP-Bが対象のそばまでたどり着くと、SCP-651-JP-Bは身を動かし、ジェスチャーを用いて対象を非難するような身振りを示します。その後、SCP-651-JP-Bはその異常性を発揮します。

SCP-651-JP-Bは対象に向かって歩み寄り、その人物の身体の一部や衣服などをつかみます。直後、対象とSCP-651-JP-Bはその場から消失し、SCP-651-JPは不活性化し、この間周囲で発生したいかなる状況にも反応を示しません。

消失から数日〜数週間後に、SCP-651-JP-Bは元あった場所に出現します。この際、SCP-651-JP-Bのブロンズ製の衣服部分には乱れが生じているか、あるいは別の服に変わっている場合があります。この後SCP-651-JPは再活性化が可能になります。

SCP-651-JPは設置直後からその存在に気づいた美術館職員により警察に通報を受け、財団の知るところとなりました。SCP-651-JPはその日のうちに財団によって回収され、幾つかの実験ののち収容プロトコルの確立に至りました。

補遺: 事案-651-JP-1

追加文書SCP-651-JP:

2004年、財団サイト内で拘留中のDクラス職員の脱走事件が勃発しました。実験中のポータルオブジェクトの活性化により、Dクラス職員はサイト内に収容されていたSCP-651-JP付近にたどり着き、そこでエージェント・五分刈と相対しました。エージェント・五分刈は新人であり、SCP-651-JPの情報を知らないままDクラス職員を射殺しました。この際、SCP-651-JPは活性化し、エージェント・五分刈とともに消失しました。

2006年、エージェント・五分刈がSCP-651-JP-Bを伴ってサイトに帰還しました。直後にSCP-651-JP-Bは逃走し、サイトの地下██階まで逃げたところで不活性化しました。

インタビューログ-651-JP:

回答者: エージェント・五分刈

質問者: 波止崎博士

序: インタビューはエージェント・五分刈の拘束に伴い行われました。エージェント・五分刈へは身体検査が実施され、当時より装備していた武装は取り上げられました。

<記録開始>

波止崎博士: それではインタビューを開始します。……まず、あなたは、SCP-651-JP-Bによってどこへ連れて行かれたのですか?

エージェント・五分刈: 財団……です。

波止崎博士: 財団の別のサイトということですか?

エージェント・五分刈: いや、別の財団のサイトでしょうか。連れて行かれた先は多分、地球じゃなかった。あいつは俺を掴んで、何ていうか、"飛んだ"。あいつは、今いる場所と同じところまで俺を引っ張っていったように思えました。

波止崎博士: あなたが気づいたことを教えてください。

エージェント・五分刈: 飛んだ先にも同じような、SCP-651-JPみたいなものがあった。あいつは俺をそこまで連れて行くと、空いてた台座に歩いて戻った。俺はパニックになって、まずその場で吐いた。そしたら、SCP-651-JPがまたこっちを……見ました。『信じられない』って侮蔑したようなツラをして。そしてまた、あいつがこっちに歩いてきた。

波止崎博士: それで?

エージェント・五分刈: あいつはまた俺を連れてどこかに飛ぼうとした。その時に、掴まれた俺のスーツの襟に、バッチが刺さっていた。あの時俺が着てたスーツでした。……だけど違う。そこには『N・P・R』って書いてあった。そのままSCP-651-JPは俺を掴んで、そしてまた飛んだ。次に飛んだ時、俺は自分の襟のバッチがそもそも刺さってないことに気づきました。
俺は多分別の世界の財団みたいなもののところに飛ばされたんでしょう。そこはSCP-651-JPみたいなものがある世界で、そしてSCP-651-JP-Bみたいなものが丁度ない世界でした。

波止崎博士: よく意味がわかりません。財団の調査では、SCP-651-JP-Bは転移後に連れていったものをどこかに置いて帰還するのだと思われていましたが。

エージェント・五分刈: 分かりません。あれが本当に家族なのか、あれが教育熱心な家族を本当に模しているのかなんて分かりません。あれが本当に家族を守るために、俺というものを排除したかったのかすらも。ただ、俺と一緒に飛んだSCP-651-JP-B、あいつだけが、一緒に飛んだ後の世界でも唯一同じものだった。Aの顔も、子供の服装も毎回少しずつ違った。Bだけが同じだった。

波止崎博士: それで、あなたはどうしたのですか?

エージェント・五分刈: 気づいてからは、とにかくめちゃくちゃにやりました。飛んだ後に、子供の像に向かって殴りかかったり、唾を吐いたりした。その度にあいつは俺を掴んで、俺のいなかった世界に一緒に飛んでくんだ。あいつの心情とか、そういうものは分かりませんが。

波止崎博士: では、あなたはそうやって巡り巡って帰ってきたと言うのですか?

エージェント・五分刈: 疲労はしてませんでした。銃の弾も、"飛んだ"ら元に戻っていた。飛んだ先の俺は別の俺だったということかもしれません。むしろ疲れが見えたのはあいつの……SCP-651-JP-Bの方みたいでした。

波止崎博士: 銃の弾?

エージェント・五分刈: 途中から毎回唾だのゲロだのを吐くのが面倒になってきましたからね。少し待っていれば……"財団みたいなところの誰か"が、こっちに駆けつけてきましたから。私はそこでは"財団みたいなものの職員"の格好をしていましたし……、そこまで警戒もされませんでしたので。

波止崎博士: それで、撃ったのですか。

エージェント・五分刈: はい。私にとってみれば縁故もありませんし……あれは別に、財団職員というより、私からすれば、未知の世界の、未知の要注意団体の構成員だと思うことにしました。1人くらいなら……と。

波止崎博士: それを2年もですか。

エージェント・五分刈: ええ、まあ。そのうち、SCP-651-JP-Bがだんだん崩れてきました。まず顔の銅が溶けてきて、それから体でした。泣いてるみたいでしたね。俺は、いいから早く元の、俺の居た財団に戻してくれればいいのにと思いながら、またどんどんと撃ちまくって、そして、やっと帰ってこれたということになります。

で、あの野郎は今、どうしてるんです?

<録音終了>

SCP-651-JP-B.jpg

現在のSCP-651-JP-B。サイト-81██に現在も存在している。

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