SCP-653-JP
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アイテム番号: SCP-653-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-653-JPはサイト-8123の低危険性物体保管ユニットに保管されます。倫理的な理由からSCP-653-JPを実験に使用するにはレベル4クリアランスの職員3名以上の許可を必要とし、また必ず財団の倫理委員会による立会の上で実験が行われます。市場に流れたSCP-653-JPを即座に回収するために、財団のダミー企業及び警察に潜入中のエージェントによって「危険な製品」のカバーストーリー及び強制的な回収が行われています。

説明: SCP-653-JP-1~6は定期的に毛布市場に流れる、6種類の子供サイズの毛布で、それぞれ[編集済]やサ████社、ウ█████・デ██████カンパニーといった企業が出しているキャラクターに限りなく酷似したキャラクターが、恐竜やファンタジーの怪物などと戦っているところがプリントがされています。毛布のタグには以下の様な文面が書かれています。

よい子の皆、ママやパパ、おともだちのことは大好きだけど、ときどきとおくに行きたいって思ったことはあるかい?
そんな時は『博士のわくわく大ぼうけん毛布』をかぶって、早めにぐっすり!
目がさめたら大ぼうけんが君をまっている! ティラノサウルスにも、じゃあくな魔王にも、きみは出会える!
さあ、気に入った毛布をかぶって、今日はねむろう! 大ぼうけんがきみをまってるよ!
楽しもうね!
親御さんへ:クーリングオフ及び使用の際の事故などへの対応は初回使用の際のみ受け付けます。当社へのご連絡の際は以下の番号へどうぞ。03-███-████

16歳以下の子供(以下、『被験者』と表記)がSCP-653-JPを被った状態で眠りについた場合、SCP-653-JPの特異性が発揮されます。最初の影響において、眠りについた被験者は毛布の絵に合わせたヒロイックな夢を見ます。多くの場合夢の中の被験者は現実の能力にかかわりなく、圧倒的な力を持っており、現れる怪物を倒し、危機を乗り越えます。夢の最後に必ず「ワンダーファクトリー重工総研博士」という名札を付けた、白衣を着てマスクとサングラスを付けた男性が、被験者が「非常に明るい」と形容する声で、以下の様な発言を行います。

「『博士のわくわく大ぼうけん毛布』を使ってくれてありがとう!」
「これはあくまでも体験版だよ! 明日から真の冒険が始まる!」
「楽しもうね! 気をつけてね!」

この発言に対して何らかの会話を試みても、被験者が一方的に無視されるという結果に終わります。また、多くの被験者は見た夢に関して、「面白いけど、自分の体を動かしているのではなくて、録画された映像を見ているようだ」という感想を述べます。

SCP-653-JPを被った状態で眠りにつくのが二回目の場合、被験者は毛布の絵に合わせた、未知の場所へと転移します。地球上ではないと思われる場所があるにも関わらず、カメラや携帯電話、無線機などの機器によって被験者とは容易に通信が可能です。その場所には危険な未知の生命やそもそも生存に適さない環境といった、被験者を容易に殺害しうるものが存在するため、これまでのすべての被験者が死亡しています。被験者が死亡した場合、毛布にくるまれた状態で死体が被験者が眠りについた場所に再転移します。

以下にSCP-653-JP1~6の外観及び転移場所を表記します。転移先に関する情報は消費したDクラス被験者に取り付けた小型カメラの映像から得られました。

アイテム番号 外観 初回使用時の夢 転移先
SCP-653-JP-1 [編集済]に酷似したキャラクターが、戯画化されたティラノサウルス・レックスだと思われる生物へ散弾銃を撃っている。 被験者は巨大な恐竜を散弾銃を使用して狩る。被験者は圧倒的な身体能力と反射神経を持っており、いかなる攻撃も回避できる。 未知の密林への転移。被験者の目の前にティラノサウルス・レックスに酷似した生物が立っており、これまで全ての被験者が転移した後1分以内に捕食され死亡する。
SCP-653-JP-2 ハ███████に酷似したキャラクターが、小惑星の上で典型的なタコ型宇宙人と握手している。 未知の小惑星の上で宇宙服を着た被験者がタコ型宇宙人及び、美しい青色の肌の女性に歓待され、様々なサービスを受ける。 未知の小惑星への転移。宇宙空間に放り出されるため、対象は即座に死亡する。映像からは宇宙人の姿は確認できていない。
SCP-653-JP-3 [編集済]に酷似したキャラクターが、ダンジョンズ&ドラゴンズで描かれるオークによく似た緑褐色の肌の人型生物の集団から逃走しつつ、指輪を溶岩に向かって投擲している。 被験者は魔術師となり、中世ヨーロッパ風の甲冑を着た戦士数十人とともに緑褐色の人型生物と戦う。被験者は巨大な炎の玉、稲妻、巨大な尖った氷柱をオークの群れに投げつけることが出来、また戦士の練度が非常に高いため負傷することがない。 未知の火山地帯と思われる場所に転移。原始的な武器で武装した緑褐色の人型生物の集団が1キロメートル程度離れた場所から被験者を追跡し、追いつき次第殺害する。被験者の生存時間は最も長く 最大で52分の生存が確認された。なお、仲間や指輪の存在は確認できていない。
SCP-653-JP-4 ド██████に酷似したキャラクターがバイキング船の上で剣と盾を持ち、巨大な蛸のような生物相手に戦っている。 被験者は複数のバイキングに酷似した戦士とともに大砲に取り付き、巨大な蛸に向かって大砲を発射する。蛸の攻撃は船を揺らすだけであり、一方的に被験者が勝利できる。 未知の海上に転移。バイキング船から約100メートル離れた、海抜60メートルほどの高さの海上に被験者は転移するため、多くの場合海へと墜落して衝撃により死亡する。生存していた場合ミズダコのものに酷似した、長さ20メートルを超える触手が海中から出現し、対象に巻きつき圧死させる。
SCP-653-JP-5 東京都と思われる都市の中で、ウ███████に酷似したキャラクターが、[編集済]に酷似した怪獣と組み合っている。 被験者はデバイスのようなものを使うことでウ███████に変身し、巨大な怪獣を殴り倒す。圧倒的な戦闘能力を被験者が得るため、決して負傷することはない。 被験者は約1秒後に巨大な怪獣のものと思われる足に潰され死亡する。
SCP-653-JP-6 大量の半魚人のような生物に対して、禁酒法時代のマフィアのような格好をした[編集済]がドラムマガジン式の短機関銃を発射している。背景には[データ削除]。この毛布のみ「南緯47度9分、西経126度43分」という文字が絵と共に縫いとられている。 被験者はどこかの島の上で半魚人の群れに対して軽機関銃を乱射し、殲滅する。半魚人が非常にのろまであるため、容易に殲滅が可能である。また、同行者として褐色肌の美女が現れ、被験者に危険を教えるため、包囲などの危機的状況に陥ることはない。 [データ削除]。SCP-653-JP-6を使用した実験はこれ以降禁止された。映像を拷問用に利用するかは現在検討中である。

補遺: 19██/██/██に、SCP-653-JPに書かれた電話番号から、ダミー企業に対して連絡が来ました。当時の担当者であるエージェント・カナヘビが電話で接触を行った際の記録です。それまで、この電話番号に電話を掛けても、常に留守番電話へと繋がるだけでした。後述する理由により、内容はエージェント・カナヘビの記憶による筆記となっています。

エージェント・カナヘビ:「もしもし」

電話相手:(中年の男性とみられる声で)「……わかってるだろあんたら。なんでうちの製品を回収してるんだ?」

エージェント・カナヘビ:「お宅の『博士のわくわく大ぼうけん毛布』に致命的な欠陥があるからやけど」

電話相手:(溜息)「あーはいはい、あれね、事故があった場合うちの責任じゃありませんから。書いてますよね?」

エージェント・カナヘビ:「死人が出てるんやけど」

電話相手:「あー、はいはい、で? せーきーにーんーを負いません、って書いてあったでしょ? 日本語読めます? 勝手に回収してもらったら商売上がったりで困るんだけど」

エージェント・カナヘビ:「なんであのようなものを作ろうと思たんや?」

電話相手:(鼻で笑う)「知りませんよそんなこと。あと責任負いませんからね?」

エージェント・カナヘビ:「自分たちの行為には問題なんかあらへんて、言うとんのか?」

電話相手:「何あんた? 言っとくけどうちの会社、本社は日本にないからね。訴訟しても意味ないから。違法なことしてないよ? え? 喧嘩売ってる?」

エージェント・カナヘビ:「こういうものをこれからも売り続けるわけなんやね?」

電話相手:「いやあんたに言われる筋合いないから。んじゃ切るわ。バーカ! クソ財団、死ね!」

(24秒間の爆音)

(切断)

電話から流れてきた爆音を聞いた人間の職員は、全て音を聞いてから1時間以内の短期記憶及び、SCP-653-JPの情報に関する記憶を喪失しました。録音機器及び電話機は破壊されました。混乱が収束した後、SCP-653-JPに書かれた電話番号に対して再度電話を掛ける試みは、電話番号の使用が既にされていないという結果を残しました。逆探知の際の位置情報に従ってエージェントを派遣した結果、当該の場所には廃ビルしか存在しませんでした。”博士”がどうやって財団のことを知り得たのかは不明です。

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