SCP-661-JP
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SCP-661-JP所有の邸宅で発見されたSCP-661-JP-1。

アイテム番号: SCP-661-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-661-JPは現在サイト-8141の標準人型収容室に収容されています。SCP-661-JPに支給する物資に関して、何らかの光景を記録した絵または写真が含まれている物品を支給することは禁止されています。SCP-661-JPの実験及びインタビューを行う場合はセキュリティクリアランスレベル3以上の職員2名の許可を得て、SCP-661-JPとの直接的接触が発生しない環境下で行ってください。SCP-661-JPの異常性に関する実験には現在第8隔離実験室が割り当てられています。
200█/██/██の尋問中に発生した事案以降、SCP-661-JPの異常性は現在まで確認されていません。SCP-661-JPの監視は継続的に行われ、異常が発生した場合は速やかに研究担当主任への報告を行ってください。

説明: SCP-661-JPは日本国籍を持つ4█歳の成人男性です。後述の異常性以外に身体的、精神的異常性は現在確認されていません。

SCP-661-JPは何らかの光景を模写した絵画、あるいは記録した写真に素手で接触した際にその異常性を発現させます。壁・扉・天井などによって屋外と隔離されている閉鎖空間において一定時間SCP-661-JPがその絵画・写真に接触した場合、閉鎖空間内に物体の被写体となった光景と同一の光景が再現されます。この再現された空間(以下SCP-661-JP-1とする)について、見かけ上の広さは無限大のように思われますが実際に動ける空間は元となる閉鎖空間と同じ範囲に限られ、不可視の障壁によってそれ以上の範囲に進むことは不可能となっています。またSCP-661-JP-1は別のSCP-661-JP-1によって上書きすることが可能であり、再現に要する時間は接触した物体のサイズ及びベースとなる閉鎖空間のサイズに依存します。

現在SCP-661-JP-1の発現が確認されているのは実際に何らかの光景を模写した絵画・撮影した写真のみであり、抽象画、絵画・写真のデジタルコピー及び動画の静止画面の印刷物等はSCP-661-JP-1の発現に失敗することが確認されています。また絵画や写真そのものを更に模写・撮影した物はその模写・撮影環境が再現されるのみであることが実験で確認されました。

SCP-661-JPはかつて国内外で怪盗███を名乗り絵画の窃盗事件を5件起こし、6件目の窃盗事件において████の現地警察によって逮捕されました。その後の家宅捜索において自宅の一室に先述の異常性を利用したと思われるSCP-661-JP-1が発見されたことで財団の目を引き、収容に至りました。現在その邸宅は財団による管理が続けられています。

実験記録001
以下の実験はサイト-8141の第8隔離実験室で行われました。

実験001-1 - 200█/██/██
対象物: 草原の風景画
結果: 草原を再現したSCP-661-JP-1が出現。行動可能範囲は第8隔離実験室のサイズと同様。また実験を行った日の天候は雨であったが、SCP-661-JP-1内では風景画と同様に晴天が広がっていた。床面は土と草から構成されており、また第8隔離実験室の扉はSCP-661-JP-1内に直立し実験室内外の出入りは可能であった。

実験001-2 - 200█/██/██
対象物: 実験001-1を行う前に撮影された第8隔離実験室の写真
結果: 第8隔離実験室を再現したSCP-661-JP-1が出現。見かけ上の広さ、行動可能範囲及び扉の位置は全て隔離実験室と同様。
メモ: 見かけ上は元通りにできたが……あくまで異常性を用いて再現した空間に過ぎない。完全に元通りと言い切るのは難しいだろうな。— ██博士

実験001-3 - 200█/██/██
対象物: 街並みを模写した風景画
結果: 模写された街並みを再現するSCP-661-JP-1が出現。この風景画には人が写っておりSCP-661-JP-1内にもその実体が確認できたが、生命反応及び呼びかけへの応答はなかった。

実験001-4 - 200█/██/██
対象物: 東京都██区で撮影された航空写真
結果: 床下に街並みを再現したSCP-661-JP-1が出現。不可視の床面によって空中に立つことができる状態でSCP-661-JP-1が構成されている。
メモ: 気になったのは実験の最中一度も風が吹いていなかったこと、雲が動いていなかったことだ。先の実験結果と合わせるとあくまで再現してるのは一瞬の光景のみ、時間が止まっているかのような空間と考えるのが妥当であろう。— ██博士

インタビュー記録001 - 日付200█/██/██

対象: SCP-661-JP

インタビュアー: ██博士

<録音開始, 200█/██/██>

██博士: これよりインタビューを執り行います。SCP-661-JP、よろしいですか。

SCP-661-JP: ああ。

██博士: まず始めに、いつから自身の持つ異常性に気づきましたか?

SCP-661-JP: ん?博士、何か誤解しているようだがこの能力は別に生まれ持っていたものではないぞ。教えてもらったものだ。

██博士: 教えてもらったというと……誰からでしょう?

SCP-661-JP: 誰、というのも難しいものでね。実を言うとその男の素性は私もよくわかってないんだ。

██博士: では、出会った経緯を最初から教えていただけますか?

SCP-661-JP: ……まあ経緯なら大丈夫だろう。確か199█年のことだったか……資産を持て余していた私は美術品に傾倒していてね。美術品を集めては眺め、時にはその縁の地に足を運んだこともあった。そんなことを知ってか知らずかその男1が私を訪ねてきたんだ。「美術家達が眺めてきた光景を貴方は辿ろうとしている。その答えをお教えしよう」なんて言ってたかな。

██博士: そこでこの異常性を付与されたというわけですね。

SCP-661-JP: 方法を教えてもらった、と言うべきだな。資産の一部と引き換えにこの方法を教えようと交渉され、私はそれを飲んだ。その後は君達の知っているとおりさ。買えないような作品は少々拝借させてもらったというわけだ。

██博士: その方法とやらを私たちに教えていただくことはできませんか?

SCP-661-JP: 方法の中身を漏らしたら命は保証しないと言われてるからな……そこは流石においそれと話す気にはならんよ。

██博士: なるほど……結構です。もう1つ聞きたいことがあるのですが、再現した空間を元の絵や写真に戻すことはできないのですか?現状ですと再現されっぱなしになっているわけですが。

SCP-661-JP: ……それは無理だ。

██博士: 何故です?

SCP-661-JP: 圧縮の方法は……教わってないからな。

<録音終了, 200█/██/██>

異常性の根本はSCP-661-JPそのものではなく、SCP-661-JPが知識として持ち実行している"絵画・写真から空間を再構成する方法"にあると思われます。その全容を掴むため、SCP-661-JPに対する更なる尋問を要請します。— ██博士
許可。 — サイト-8141管理者

追記: 200█/██/██に行われたSCP-661-JPへの追加尋問において、SCP-661-JPが「仮に方法を語った場合自分はその後どう扱われるか」と質問、これに対し██博士は「管理部門の決定するべきことであるが、恐らく研究継続のために当分は収容が続けられる」と返答しました。この後SCP-661-JPは何らかの発言を行う素振りを見せましたが、直後に尋問室から消失、同時にSCP-661-JPを模写したとされる絵画が出現し、この絵画に問いかけを試みましたが返答はありませんでした。絵画の右下には尋問当日の日付と共に"P."という筆記体のサインが記されており、SCP-661-JPまたはPOI-661-JPと何らかの関係があると見られています。また尋問室の映像記録を精査したものの室内の人員にSCP-661-JPへの接触を含む異常行動は見られませんでした。そのためこの現象は収容違反を目的としSCP-661-JPが自発的に起こした「圧縮」操作である可能性、あるいはSCP-661-JPによる再構成方法の口外を阻止するためにPOI-661-JPが事前に仕組んだ、SCP-661-JPの意図しない「圧縮」操作である可能性の2つが考えられています。

なおSCP-661-JPが「圧縮」されたと見られる絵画について、その後監視が行われましたが応答及び空間再構成能力の発現は確認されていません。絵画そのものの異常性が長期間確認できないことからNeutralizedへの再分類が検討されましたが、先述の収容違反を目的とした自己圧縮の可能性が考慮され再分類は却下、SCP-661-JPの監視及びPOI-661-JPの捜索・調査は現在も継続的に行われています。

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