アイテム番号: SCP-680-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-680-JPは縦7m、横7m、高さ3mの磁気遮断処理が施された特別収容ユニット内に収容されます。収容ユニット内の中心には超電導磁石で構成された幅40cmの円柱と外部から操作可能な強磁場発生装置が配備され、磁力によって強制的にオブジェクトの固定が行われます。ユニット内に立ち入る職員は電磁波防護服の着用が徹底され、原則的に発声は認められ無い為に筆談で意思の疎通を行って下さい。
説明: SCP-680-JPは未知の素材で作られた物品と粒子で構成された物体群です。精密検査により金属に近い素材である事が判明していますが、その硬度から切削が不可能であり、素材の特性と思われる原因によって電子を吸収する性質を保持している為に正確な分子構造は特定されていません。
また、当該オブジェクトは視覚的には光沢の無い完全な黒色として観測されますが、これは塗装によるものではなく素材そのものの色ではないかと考えられており。上述した性質の為、詳しい理由は明らかになっていません。
SCP-680-JPを構成している物体群はSCP-680-JP-aからSCP-680-JP-cまで割り振られて指定されており、これらは説明不可能な力によって重力を無視して自律的な動作を行います。この動作の法則性は明らかになっていませんが、SCP-680-JPに関する情報や感想を述べた人間を優先的に追跡し攻撃を行う事が確認されています。実験記録の結果から対象となる発言の範囲は極めて幅広いと考えられており、特別収容プロトコルの一部改訂が行われました。
SCP-680-JP-aは長さ2m、幅が最大20cm、厚みが最大0.3mm、重量220kgの三日月を象った形状をした刃物です。刃は曲線の内周部分に存在し、外周部分は丸みを帯びる形で研磨が行われていますが、刃の部分は極めて鋭利な刃状に加工されています。確認されている動作として刃を水平に保った状態で回転すると共に、大きく曲線を描きながら移動する事が確認されていますが攻撃対象となった人物の行動に合わせて垂直に上下した事例も確認されています。また、移動を行う際は対象を基点とした半径5m以内を旋回しながら不規則に対象に向かって接近し攻撃を行います。
SCP-680-JP-bは厚さが最大0.5cmの五角形の星を象った形状をした物体で全ての辺が刃となっています。幅20cm重量75kgの物が3個、幅12cm重量45kgの物が5個、幅3cm重量12kgの物が15個の合計23個が存在しており、厚みの最小部位はSCP-680-JP-aと同様の検査結果が報告されています。確認されている動作として水平に回転しながら空中に静止し、不規則に対象に向かって最大5m程の直線的な移動を行います。
SCP-680-JP-cは煙・あるいは霧状の気体として視認可能なおよそ200nmの大きさの粒子です。これらの粒子は菱型あるいは二等辺四角形に近い形状をしており、鋭角の部分は上記の物体群と同様の特徴を示しています。正確な濃度は不明ですがSCP-680-JP-aとSCP-680-JP-bの位置の中心部を基点とした半径3m以内に充満しています。また、上述した反射光に対する性質の為、充満している範囲内は光源の有無にかかわらず暗所と同様の状態となります。SCP-680-JP-cは基本的には範囲内を流動するのみで攻撃的な動作を行う事はありませんが、その形状の為に範囲内に立ち入った対象の肉体に対して細胞間の拡張からなる損傷と、その拡大を引き起こします。
SCP-680-JPに対して、その性質を探る実験が行われています。詳細は以下のファイルを参照して下さい。
実験記録680-1 - 日付2014/9/17
対象: SCP-680-JP
実施方法: 実験ユニット内に移送されたSCP-680-JPに対して、同室のスピーカーからの音声を聴かせる事により反応を確認する。
結果: 反応無し
分析: 収容時の記録やインタビュー内容から人間の声に対して反応するという情報が得られた為に今回このような実験を行ったが、肉声で無い限りは反応しない事実が得られた。この事から場合によっては対応する人員に遮音式の密着衣服を着用させた上でマイクを用いる事で、安全な実験が可能であると判断した。
実験記録680-4 - 日付2014/9/17
対象: SCP-680-JP
実施方法: 同状況のSCP-680-JPに対して、同室内に進入させたDクラス職員、D-1163の声に対する反応を確かめる。
結果: D-1163に挨拶や自己紹介等、適当な発言を行わせたが反応は無し。その後SCP-680-JPに対する感想を尋ね、D-1163が「黒い」と発言した直後にSCP-680-JP群に取り囲まれた。およそ15分後にSCP-680-JPによる包囲が解除された後に遺体が回収された。
分析: 大型霊長類や人の言葉を真似たオウムを使用した実験と今回の実験を経て、SCP-680-JPが人間の肉声に対してのみ反応しない事が確定した。また、SCP-680-JPを対象とした発言以外に対して反応する様子を見せなかった事も今後のSCP-680-JP収容に関する重要な結果を得たと思われる。D-1163の遺体の損傷は極めて激しいが、検査結果を見る限り最初のSCP-680-JP-aによる頸椎の切断が直接の死亡原因であると考えられる。
実験記録680-7 - 日付2014/9/18
対象: SCP-680-JP-c
実施方法: 実験ユニット内からSCP-680-JP-a、SCP-680-JP-bを除去した状況下でDクラス職員、D-3738を用いての反応を検査する。SCP-680-JP-a、SCP-680-JP-bに対する個別の実験記録は実験記録680-5、実験記録680-6を参照。
結果: D-3738が用意されていた文章を読み上げた直後にSCP-680-JP-cによる包囲が行われD-3738の激しく咳き込む声と苦痛を訴える発言が確認される。その5分後、SCP-680-JP-cがこれまで確認されていなかった旋風を思わせる動作を行うと同時にD-3738の声が途絶えた。回収された遺体を検査した結果、喉頭の粘膜におびただしい損傷が確認されると同時に、全身の6割の皮膚の剥離が確認された。ユニット内からは細かく分解された衣服が発見された。
分析: 個別の状況下においてオブジェクトの一群は特異な動作を見せる事例が確認された。D-3738に着用させていた衣服は通常時の物と違い、頑強な繊維を織り込んだものであったが効果が見られない事からSCP-680-JP-cに対しても他のオブジェクトと同程度の危険性があると判断された。なお、D-3738に読み上げさせたのは収容時に発見された資料の一文である。
実験記録680-12 - 日付2014/9/18
対象: SCP-680-JP
実施方法: SCP-680-JPに対して複数の言語を用いての反応の検査。アゼルバイジャン語に堪能なD-2216、ビシュヌプリヤ・マニプリ語に堪能なD-42162、ケセン語に堪能なD-3421が登用された。
結果: Dクラス職員3名の死亡が確認された。
分析: これまでの記録から、言語に関係なく反応していると考えられる。SCP-680-JPは一種の感応能力、あるいは独自の意思を持って活動を行っていると考えられるが、倫理委員会による判断でこれ以上の同様の実験は無意味だと判断された為、次をもって実験の一時的な終了とする。
実験記録680-13 - 日付2014/9/18
対象: SCP-680-JP
実施方法: ユニット内にDクラス職員、D-7630を進入させる。
結果: ユニット内で目隠しを外したD-7630が絶叫すると同時にSCP-680-JP群によって包囲された。およそ40分後に包囲が解除された為、遺体の回収が行われた。
分析: これまでの実験記録で気になっていたSCP-680-JP群による包囲から解除までの時間は、発言を行った対象の感情に応じて変化している可能性が高いと考えられる。概ね予想通り、SCP-680-JPは「自身に対する恐怖からの悲鳴」も攻撃対象として感知している事が確認された。当結果は感情が込められた音声ならば文章としての意味がなくとも攻撃対象となる事を意味している。
収容経緯: SCP-680-JPは2014年9月16日に、██県██市内のマンションの一室で発見されました。当室はアトリエや作業場としての物件として貸し出されており、近辺で活動を行っていた芸術活動を主にした団体「██市を彩る会」が使用していた事が確認されました。室内からはSCP-680-JPと共に14名の男女の死体と1名の生存者と複数の芸術品と思われる物品が発見されており、遺体が所持していた名簿等から同団体のメンバー全員が同室に集っていたことが判明しています。なお、この団体は定期的に個展を開く等の活動を行う一般的な芸術文化団体として周知されており、メンバーも学生や主婦、学校教師等の民間人によって構成され、各メンバーの身辺調査の結果からも異常な点が発見される事はありませんでした。
オブジェクトの発見に繋がったのは周辺住民からの悲鳴に関する通報によるものであり、██県警から「内部に踏み込んだ警官からの通信が途絶え、応援に駆け付けた人員が黒い煙と刃物に襲われた」との連絡が財団に通達された為、財団の収容チームによって収容が行われました。また、室内から発見された作品はいずれも一部が欠損しているか何らかの形で損傷が加えられた形跡が見つかっていますが、これらが芸術品としての特徴の一つであるのか、オブジェクトによって加えられた傷であるのかは不明です。
以下は、SCP-680-JPが本来設置されていたと思われる台座の前に置かれていた紙片です。内容から、SCP-680-JPに関連した記述である可能性が示唆されており、重要資料として当該報告書にコピーが添付されます。
評価ノート: 2014/7/27 題:「夜」 作者:垣田 ██
コメント: “夜”をイメージした作品です。実際の夜そのものを使用して、静かな夜を題材とした神秘的な作品を目指しました。
- 「夜」をイメージしたのはわかるんだが、このままでは余りにも安易に過ぎると思う。そのままのイメージを落とし込むよりも、別の観点から見た特徴を盛り込むべきではないか。
- “コンセプト”が全く見えてこない。君の作ったコレはただの「物」だ。ただの黒い星と月を浮かべて「夜」だと説明されてもこちらとしても困る。君はこの作品を見る全ての客にいちいち説明して回るのか?3点(100点満点でだ)
- 素晴らしい素材を扱っていながらこれほどの物しか作りだせないのは嘆かわしい。これを作ったその努力は認めるが、我々は技術者では無く芸術家だ。ただ手をかければ言いという物では無い。先人たちは皆、もっと安価で素朴な素材から素晴らしい物を作り出しているよ、一度基本に立ち帰ってはどうだろうか?
- シンプルイズベスト、を地で行くようなこの作品はとても素晴らしいと思います。ただ、シンプルすぎる事で込められた思いそのものよりも作品の見た目そのものに意識が行ってしまうのが少し残念に感じられました。
評価ノート: 2014/8/11 題:「夜の闇」 作者:垣田 ██
コメント: 頂いた意見を参考にして再度修正を行いました。夜の持つイメージとして「闇」を前面に押し出してみました。再度評価をお願いします。
- 中々の技術ではあると思うが、この作品からはお前のsoulが感じられない。芸術家たる者、小手先の技術や知識に頼らずにIdeaをImaginationへと変化させ、皆のsoulにお前のmindをぶつけるべきだ!そう!ありのままに!!
- 個人的にはとても面白いと思いましたが、現段階ではただの「面白い作品」止まりだと思います。どうせならば更に他の技術を用いた作品を組み合わせる事で、アクセントを付けてみるというのは如何でしょうか?我々は芸術をオモチャにするような連中とは違うのですから、真摯で芸術的な作品を目指すべきです。
- 芯となるイメージを蔑ろにしてあれやこれや付け足す、というのは未熟者に多いパターン。当初の自身が抱いたコンセプトに忠実に、基礎を守りながら高めていくのが向上の秘訣。基本を疎かにして奇抜なアイデアに向かうのは向上では無く、唯の逃避。
評価ノート: 2014/8/19 題:「静寂の夜」 作者:垣田
コメント: 一度基本に立ち返り、夜が元々持っていた静寂をコンセプトに、エッジ部分に加工を施す事で緊張感を加えています。
- 中々、評価に困る作品であると感じました。個人的には以前の作品のほうが好みでしたね。
- 初めて拝見しましたが、自分の中では久々の「アタリ」であると思える、良い作品です。ただ、現段階ではあまりコメントにあった緊張感をうまく感じとる事が出来ませんでした。もう少しシンプルな作品の方が、より緊張感が際立つかもしれませんね。
- 芯となるイメージを蔑ろにしてあれやこれや付け足す、というのは未熟者に多いパターン。当初の自身が抱いたコンセプトに忠実に、基礎を守りながら高めていくのが向上の秘訣。基本を疎かにして奇抜なアイデアに向かうのは向上では無く、唯の逃避。
評価ノート: 2014/8/25 題:「夜の恐怖」 作者:垣田
コメント: 自身を再度見つめなおし、夜について掘り下げて修正しました。正直、自分自身の中で思い悩んでいる部分があって一度作品を取り下げてみるべきか悩んでいます。
- 縦横無尽に動き回る闇と星々は確かに恐ろしい。しかしこのままでは唯恐ろしいだけの何かではないかと思う自分がいる。自身に思い悩む処があるのならば、一度手を止めるのも一つの結論ではないだろうか。
- 何が伝えたいのか、何をしたいのかがいまいちよく分かりませんでした。動きや見た目にも限界がありますし、他の美麗な作品を見習って機械等を使うという手もありますよ。
- 技術やデザインは工夫されているし、それらを流用して別のモチーフに使うという手もあるね。思い悩んだ時は休息も必要だし息抜きや別の作品に取り掛かるのもアリだと思うよ。
- この作品からは君の悩みや苦しみがありありと現れている。しかしそれの何が悪い?そういった感情を形にするのも我々アナーティストの本分とも言えるのではないか?私はこの作品にこれ以上の無駄な要素は必要ないと思う、必要なのはあと一歩だ。君の本当の気持ち、君の本当の想いをこの作品に込めるんだ。そうすれば、少しはCOOLになれるだろう。
- ↑そんな忌々しい言葉を使わないでください。あとノートに書き込むときはボールペンを使用して下さい。
███ート: 2014██/16 題:「切り刻む夜」 █者:垣田
コメ██:
やれば出来るじゃないか
付記: 当資料の内容から、団体が異常な存在を認知していた可能性が指摘されています。上述された通りメンバーから不審な団体や人物との繋がりが確認されていませんが、生存していたメンバーからは当団体は特異な性質を保持した「真の芸術品を創造する団体」であったという証言が得られており、同時に「自分たちは芸術を玩具にしているような連中とは違う」との意見も主張しています。
回収された最後の紙片はSCP-680-JPが収容された当日の物である事が判明していますが、記述されていた文面に関して、広範囲に付着した血痕や回収された周囲の状況から団体のメンバーがSCP-680-JPによって殺害された後に書かれた物である可能性が高いと考えられています。なお、唯一生存していたメンバーの証言からはそのような筆記が行えた人物はその場にいなかったとの情報が得られており、現在も調査が続けられています。
以下は生存したメンバーの証言記録です。
対象: ███ ██ 男性 21歳 無職
インタビュアー: 山下研究員
付記: 事前に███を落ち着かせるために簡易的なインタビューを行っており、対象や団体、オブジェクトに関する説明はその際に聴取しています。
<録音開始, 2014/9/16>
山下研究員: 気分は落ち着いたかな?
███: ああ、はい……もう大丈夫……
山下研究員: それじゃあ、先ほど君が証言した“品評会”について聞かせてもらおうか。
███: そのまんまの意味だよ、何回かあのアトリエに集まって、みんなで作品を見せ合ってたんだ。評価ノートっていう紙にそれぞれ何かコメントしたりしてさ。
山下研究員: うん、そのノートは我々も回収しているよ。読んだ限りだと、あの“切り刻む夜”という作品は何度も提出されてたみたいだね。
███: ああ、アイツも……垣田も芸術家として食っていくって頑張ってたから……
山下研究員: 垣田さん……あの“夜”の作者だね。仲が良かったのかな?
███: いや、年が近かったんで何回か話した事があるだけだよ。俺はまだ作品を作れる段階じゃなかったし。……ただ、最近思い悩んでたみたいでずっと暗い顔してたのが気になってたけどな。今日は珍しく明るい顔してたんで良いのが出来たんだな、と思ったよ。
山下研究員: じゃあ、あの“夜”がどうやって作られたのかも聞いてないかな?他の作品についても。
███: いや、知らない……どんな作り方してるのかなんて普通他人には教えないんだよ。ほら、技術は目で盗むって言うだろ。俺たちは芸術家なんだ。そんな作り方を聞き出すような恥ずかしい真似はしないね。
山下研究員: 成程、信用するよ。それじゃあ何があったのか、について聞こうかな。一体君が今日何を見たのかを教えてほしい。
███: ああ、うん。今日は品評会だってんで朝からみんなと一緒にアトリエで準備をしてたんだよ。みんなで準備したり、飾りつけとか、掃除とか……そんで作品がどんどん運ばれてきて、垣田も布でくるんだ“月”や瓶に入れた黒い煙を持ってきてた。
山下研究員: その時は何も反応しなかったんだね?
███: まぁそりゃね。芸術品ってのは舞台が整ってから輝くもんだからさ。そんで、品評会が始まって、アイツの作品が一番最初のお披露目って事になった。正直、前見た時と違いが判らなかったんだけど……おっさんが近付いて何かを言った途端に……動き出して……急に……
山下研究員: 落ち着いて、続けてくれ。何から動き出したんだ?その男性は何を言った?
███: ……おっさんは、なんか呆れた顔でなんか言おうとしてたけど、一言目くらいで頭が、無くなってたんだ。あの月が……ぶぅぅんとか音を立てながら俺の横を通り過ぎて…..黒い煙がおっさんのいた辺りにぶわって来て…..
山下研究員: 他のメンバーを襲いだした、と……君はよく無事だったね?
███: 気を失ってた、からかな。目が覚めたら部屋の壁に添うように煙が取り囲んでて、星がひゅんひゅん飛び回ってて、月は部屋の真ん中くらいで回りながら留まってた。みんなはバラバラになってて、垣田はなんか微笑んでぶつぶつ呟いてたよ。
山下研究員: その内容は?
███: ほとんど聞き取れなかったけど……誰かに話しかけてるみたいだった。ユミさん、とか言ってて……そんで、俺に気が付いたらしくて、目が合って、俺がその顔にビビって叫んだらあいつが笑い出して……月が……
███: アイツの首を落とした……[俯いて泣き崩れる]
<録音終了>
終了報告書: 収容時の被害状況や生き残ったエージェントの証言から音声に反応するタイプのオブジェクトの可能性が考えられるが、インタビュー対象の様子から、恐らく詳しい情報は所持していないと考えられる為、更なるインタビューを継続すると同時に実験を並行して行っていく。特に、SCP-680-JPが作成者の「笑い声」に反応した事はオブジェクトの性質が単なる声にのみ反応するものでは無い事を指し示している可能性が高く、更なる調査と実験で性質の特定を急ぐ。
どうやら室内の中心で頸椎を切断されていた遺体がオブジェクトの作成者と見て良いようだ。対象が無事だった件に関しては、気絶したことが功を奏したのかもしれない。気になる点は対象も悲鳴を上げていた事だが……その事に関しても追々判っていく事だろう。 -山下研究員
追記1: オブジェクトに対して強い感情を抱いている事が条件に合致しているという理由から███ ██の実験への使用許可が久我博士から申請されました。
追記2: 継続したインタビューの結果から、███ ██はインタビュー記録680-1で証言された内容以上の情報を保持しておらず、拘束の必要性が薄いと判断された為、久我博士の申請が受理されると共に対象はD-7630と指定され実験への参加が許可されます。実験内容は当報告書内の実験記録を参照してください。