SCP-681-JP
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アイテム番号: SCP-681-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-681-JPはサイト-81██の小型物品収容庫に保管されています。取り扱いの際は手袋を着用した上で更に器具を用い間接的に扱い、直接の接触は避けて下さい。

説明: SCP-681-JPは刃渡り20cmの洋鋏です。生きた人間(以下被験者と表記)が素手で持つと活性化し、被験者は刃の開閉を繰り返したくなる衝動に襲われます。この衝動は決して強くはなく、被験者は自らの意志で開閉速度を変えることができ、SCP-681-JPから手を離すことも可能です。開閉時には「シャキン」と形容される金属音が、開閉の速度や強さに関わらず一定の音量で発生します。鋏としてのSCP-681-JPは右利き用ですが、被験者の利き手及び実際に左右どちらの手で触れたかに関係なく活性化します。また持ち手に指を入れず触れているだけの状態でも自発的に開閉することがあります。刃には図形の輪郭と見られる細い枠線とハイフンのような短い横棒が掘られており、本来ならばこの位置にロゴ、型番、商品名等が刻まれるものと考えられています。

暴露した被験者はSCP-681-JPを開閉するごとに、知識や記憶の連結をひとつずつ断ち切られ、その知識同士の連想が不可能となります。この時対象となる連結は無作為に選ばれるものと考えられています。また知識そのものが失われるわけではないことに注意して下さい。
一例として、「トマト」と「赤」の連結が失われた場合を記します。被験者はトマトについて味、形状、市場価格、調理法などは思い出せますが、赤色をしているという情報を思い浮かべることができなくなります。また赤い野菜の候補としてトマトを挙げることができなくなります。実物を目撃した場合は知識の整合性が取れず混乱するか、あるいは単純に新種、未知の存在であると認識します。
この断絶は学習によって回復することが可能であることから、SCP-681-JPの異常性は記憶を司る神経系に局所的な影響を与えるものとして研究が進められています。

補遺1: 2006年3月31日現在、実験記録や各種資料が行方不明となっています。調査の結果外部へ流出した可能性は低く、施設内のどこかにあると思われます。発見した職員は担当研究員まで即時報告して下さい。

事案記録681-1: 2006年3月31日、小型物品収容庫で出所不明の金属音が発生しました。収容物品の全担当職員及び保安要員、保守要因による大規模な調査が行われましたが、金属音の発生源は特定できませんでした。金属音は2時間をかけて断続的に発生した後に停止しました。

事案記録681-2: 2006年3月31日、小型物品収容庫で収容物品の全担当職員及び保安要員、保守要員による大規模な調査が行われました。収容物や設備に異常は見られませんでした。

事案記録681-3: 2006年3月31日、小型物品収容庫で収容物品の全担当職員及び保安要員、保守要員による大規模な調査が行われた際、SCP-681-JPと指定された物品庫の中身が空であることが確認されました。詳細は調査中です。

事案記録681-4: 2006年3月31日、小型物品収容庫で収容物品の全担当職員及び保安要員、保守要員による大規模な調査が行われた後、触ると開閉したくなるハサミが発見されました。一時保管し、後日anomalousアイテムとして申請する予定です。

収容違反記録681-1: 2006年4月1日、サイト管理者がSCP-681-JPの報告書には重要物品の紛失と見受けられる記述が含まれているにも関わらず一切の報告がないことに気付きました。███研究員1や事案記録681-1から同4にて調査を行った職員への聞き取り調査と収容庫の確認の結果、SCP-681-JPの収容違反が宣言されました。多数の職員が何らかの汚染を受けている可能性が高いためサイト管理官は特殊監査チームの派遣を要請し、日本支部理事会により即時承認されました。

収容違反記録681-2: 2006年4月2日、特殊監査チームは███研究員のデスクに保管されていたSCP-681-JPを確保・再収容することに成功しました。一方で各種資料はチームの予想に反し発見されておらず、破棄・流出の両面から調査が続けられています。
幸いにも実験時のノート・メモ類は残されておりそれらは検証実験の簡略化に貢献しました。検証の結果持ち手に指を入れて開閉した場合はその人間の知識のみを無作為に、自発的に2開閉した場合は「シャキン」と形容される金属音が届く範囲に存在する人間及び電子媒体の、SCP-681-JP自身に関する情報から優先して影響を与えることが発覚しました。3なお紙媒体の記述には影響を与えず4、またこの金属音は通常の音波に比べ遮蔽物による減衰を受けにくいことが確かめられました。

事案681及び収容違反中に暴露した全職員は、鋏・金属・金属音・収容違反・報告といった観念とSCP-681-JPが相互に連想出来ない状態にありました。精密な検査の結果SCP-681-JPに関わらない知識にはほとんど影響を受けていないと診断され、当面は外部から派遣された職員の補助・指導のもと職務を行い業務に支障なしと認定された段階で正式に復帰します。唯一、███研究員はSCP-681-JPの担当者であったこととanoumalousアイテムとして接触・暴露したこともありより多くの知識の断片化を受けていると診断されました。本人の希望もあり現在はセキュリティクリアランスを一時凍結の上、新人研究職員研修をはじめとした各種研修を再受講しています。これに伴いSCP-681-JPの管理担当者は██研究員に引き継がれました。

この事案を受けSCP-681-JPは暫定的に器具にて固定した上で防音金庫に収められ、地下施設に隔離収容されました。██研究員及び収容スペシャリストにより特別収容プロトコルの改定作業が進められています。

補遺2: SCP-681-JPは破壊工作を目的として持ち込まれた疑いがありますがその起源を探る試みは難航しています。SCP-681-JPがもたらす異常の完全解明・遮断・無力化を実現する努力が続けられています。

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