SCP-697-JP
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アイテム番号: SCP-697-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-697-JPはセキュリティシステムを搭載した、小型動物収容房にて飼育されています。収容房はクリアランス3以上の職員の許可を得た上で、収容房の複数の解錠パスワードがSCP-697-JP専任セキュリティ担当者より発行されます。発行されたパスワードは全て2時間後に無効化されます。また、収容プロトコル外部に持ち出す場合には、必ず専用のプラスチック製ケージに入れてください。実験に使用する際であっても、ヒトの皮膚と接触する危険性のある状態で収容房の外部にSCP-697-JPが連れ出された場合には、収容違反と見做されます。
外部から一日一度、収容房に備え付けられた餌投入口とチューブを使用して、餌の補充と給水を行ってください。SCP-697-JPの排泄物や塵等が卵の発見を阻害することのないよう、3週間に1回以上の清掃をクリアランス3以上の職員の監督の下で行ってください。収容房内にSCP-697-JPの卵を発見した職員は迅速に回収し、破壊してください。クリアランス3以上の職員の監督下以外で許可無くSCP-697-JP-1に産卵させた者、卵を孵化させた者は厳重な処罰を受けます。

説明: SCP-697-JPはハト目ハト科ジュズカケバト(学名:Streptopelia risoria)の白変種のメスです。外見や肉体の構造上に異常は見られませんが、ヒトの皮膚に接触した時その異常性を発揮します。SCP-697-JPはヒトに接触された場合、約20秒後に産卵します。産卵直後の卵は2cm程ですが、1時間に10~15cmずつ肥大します。120~███cmの大きさにまで肥大した卵の殻は自ら破れ、中からはSCP-697-JPに接触したヒトを完全に模した身体が前屈姿勢の状態で出現します。(以降これをSCP-697-JP-Aと表記)

SCP-697-JP-Aは古傷や健康状態に至るまで、身体の状態が模倣元と完全に一致していると判明していますが、生命活動が停止しています。また、生存していた形跡も発見されていないことから、死体の状態で生成されているものと推測されます。SCP-697-JP-Aが致命的負傷を受けた場合、加害者はSCP-697-JP-Aのオリジナルを"殺した"と確信する現象が確認されています。これは、加害者がSCP-697-JP-Aとオリジナルを同時に視界に入れていた場合でも変わらず、加害者はオリジナルの生存を認識できなくなるようです。この異常性は、"致命傷"の場合のみに現れ、致命的ではない負傷や[削除済]の場合には確認することができませんでした。

SCP-697-JPは、長崎県南島原市██海岸にて、「ハトが知り合いの死体を温めている」と住民から現地の警察に通報が入った際、別任務の為現地住民に扮して潜伏していたエージェント・██によって警察が現場到着するより先に回収され、事なきを得ました。SCP-697-JP捕獲の際、エージェント・██はSCP-697-JPに接触したと証言しています。SCP-697-JPから産まれた卵は確保から約1時間後に孵化し、孵化したエージェント・██モデルのSCP-697-JP-A-2は収容経路にて破壊されました。破壊されたこのSCP-697-JP-A-2は現在特別霊安室にて保管されています。詳細の研究が終了した為破棄されました。
SCP-697-JP、SCP-697-JP-A(██海岸にて回収されたSCP-697-JP-A-1とエージェント・██モデルのSCP-697-JP-A-2の二体)を輸送中に一般人男性に襲撃される事件が発生しました。この一般人男性はSCP-697-JP-A-1に瓜二つであった為、SCP-697-JP-A-1のオリジナルであると想定されます。エージェント・██は男性が「島原の民を救う為に主が遣わしたのだから」としきりに発言し、SCP-697-JPの返却を求めてきたと証言しています。エージェント・██が返却を拒むと、男性は激高し、エージェント・██を所持していた日本刀で殺害しようとしました。しかしエージェント・██がとっさに盾にしたSCP-697-JP-A-2の首を意図せぬ形で切断すると、男性は沈静化し、撤退しました。後日財団職員により捕らえられ、インタビューを受けた後、Aクラス記憶処理を施されました。インタビューの内容は以下です。
 

対象: 南島原市出身の一般人男性。調査された経歴に不審な点は見受けられなかった。

インタビュアー: ██尋問官

<録音開始>

インタビュアー: 何故彼を襲撃したりしたのです?

男性: お前たちがやったことだ。我々は苦しめられていた。ただ信仰に救いを求めただけなのに、お前たちはそれを踏みにじってくれた。

インタビュアー: 私たちが今まで貴方に接触したことは無いはずです。それに、エージェント・██は貴方とは初対面であったと仰っていましたが。

男性: 死んだ男が何を語る。我々は主の救いをもってして、聖人だけでも生かさねばならない。

インタビュアー: ……貴方は██ ███1さんで間違いないですね?

男性: ██████████████████

インタビュアー: ありがとうございました。インタビューを終了します。

<録音終了>

終了報告書: 男性は原因不明のミーム汚染に蝕まれていることが判明。インタビュー後、これ以上状況を判明させることのできる情報は期待できないとして、Aクラス記憶処理の後、正常な精神状態と記憶を取り戻した為、解放した。

 
 
補遺: 20██/04/11、SCP-697-JPがヒトとの接触が完全に絶たれている状態で産卵しました。卵は肥大せず、やがて孵りましたが、SCP-697-JP-Aではなく、ラテン語の文章が墨によって書かれた横20cm、縦12cmの和紙が出現しました。内容は以下です。

qui de tantis periculis eripuit nos et eruet in quem speramus quoniam et adhuc eripiet2

なお、この事件によりSCP-697-JPが卵を産み出すメカニズムと卵から産まれる物質の不確実性が判明したため、オブジェクトクラスのEuclid昇格が現在検討中です。

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