SCP-709-JP
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アイテム番号: SCP-709-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-709-JPの周囲500mは封鎖され、隣接されたセクター-81██にて管理されています。隠蔽、封鎖手順は基本的にサイト管理手順に従います。SCP-709-JPのポイントF-1、F-2地点には定置網を上流からの漂流物を全てせき止めるように設置します。この網は支柱を含め耐荷重500㎏以上1t以上のものを使用し、一般職員による定期的な清掃点検を実施してください。必要に応じた張り替えの際は、F-1地点とF-2地点を交互に行い、網の張られていない時間を作らないようにします。また、監視カメラが設置され、大量発生時にSCP-709-JP-Aの流出を防ぎます。1日1回SCP-709-JP-Aの回収作業が行われます。回収されたSCP-709-JP-Aは即座に隣接されたSCP-709-JP管理施設へと持ち込まれ、備え付けられた重機にて粉砕してください。破壊後のSCP-709-JP-Aは家畜用飼料として回収されます。SCP-709-JP-Bは現在、隣接された人型収容施設にて収容されます。

説明: SCP-709-JPは水源から2㎞ほど下流にある河川または河川に発生する超常現象です。超常現象が発生する範囲おおよそ500mがSCP-709-JPに指定されています。SCP-709-JP-HWの地下水脈や水質等の検査では異常はみられませんでした。SCP-709-JPは1週間に平均約2回程度の確率で、大型のウリ科カボチャ属(学名 Cucurbita)とみられる果実が漂流します。この果実をSCP-709-JP-Aに指定します。SCP-709-JP-AはSCP-709-JPに指定された範囲内でランダムかつ瞬時に発生し、そのまま下流へと流れていきます。出現の瞬間を撮影する試みは現在まで失敗に終わっています。

SCP-709-JP-Aは西洋カボチャの変種の表現型(遺伝的要素と育成条件などの相互作用で生じた姿)の一つである、園芸品種「アトランチックジャイアント」(C.maxima cv.Atlantic Giant)と特徴が酷似しますが、SCP-709-JP-Aは更に大きく、非常に大きいことで知られる同品種の最重量クラスに匹敵します。またアトランチックジャイアントは表現型であるため、育成条件等によってはやや大きい程度の一般的な西洋カボチャ(C.maxima)と同サイズになりますが、SCP-709-JP-Aは大きさにばらつきが少なく現時点でも直径100㎝以下は確認されていません。現時点では最大で直径約191㎝、重量約314㎏が確認されています。直径に対して非常に軽い点については、後述するSCP-709-JP-Bが内部に埋まっているためと思われます。

SCP-709-JP-Aの内部には中央付近の位置に人型の実体、SCP-709-JP-Bが埋め込まれています。SCP-709-JP-Bは両膝、両肘を折り曲げ胎児のような姿勢を取り、その大きさに合わせた隙間がほとんどない空洞に収まっている、もしくは埋め込まれているように見えます。本来種や胎座があるべきや果肉の一部は消失しており、現在まで種子の採取は成功していません。SCP-709-JP-Bは10台後半から60台後半のモンゴロイド男性の姿をとりますが、稀にコーカソイド人種や両者のハーフと見られる人種も発生します。女性とネグロイド人種は今のところ確認されていません。SCP-709-JP-BはSCP-709-JP-Aの内部に収まっている間意識を失っており、SCP-709-JP-Aを何らかの方法で破壊し取り出してから数分後に目覚めます。破壊の方法はどのような手段を用いても可能ですが、SCP-709-JP-Bは目覚めるまで未知の原理で損傷を与えることができず、SCP-709-JP-Aから取り出す際に傷付けることはありません。SCP-709-JP-AからSCP-709-JP-Bを取り出さずに長時間経過した場合、腐敗したSCP-709-JP-AからSCP-709-JP-Bが露出した時点でSCP-709-JP-Bの意識が回復しますが、その場合、腐敗したSCP-709-JP-Aから無傷でSCP-709-JP-Bを回収することが困難になるため推奨されません。SCP-709-JP-BはSCP-709-JP-A内から発見されたという自覚はありません。一般的な生活を送っていた記憶を持ち、出身地や経歴などその主張に共通項はほとんど見られませんが、自身を「かぼちゃ太郎」と名乗る点、重度の犯罪歴を自称する点が共通します。特殊な技能を必要とする経歴を主張する場合は、その技能を一定以上の練度で習得しています。SCP-709-JP-Bの特徴と一致する人物、出生記録、戸籍等の公的記録は見つかっておりません。また、SCP-709-JP-Bが目覚めるまでの非破壊性以外の特異性は様々な検査の結果、確認されておらず、記憶は全て架空のもの、もしくは異世界からの転移という見方が強まっております。現在SCP-709-JP-BをDクラスとして雇用する案が検討されています。

対象: SCP-709-JP-B-26

インタビュアー: █████博士

付記: 効率的なSCP-709-JP-B回収のため、重機を利用して粉砕しています。SCP-709-JP-B-26は自身を配管工であると主張しています。

<録音開始>

█████博士: やあ、SCP-709-JP-B-26。気分はどうかな?

SCP-709-JP-B-26: なんだその番号、俺はかぼちゃ太郎だ。ここはどこだ?

█████博士: 君はカボチャの中から見つかったんだ。この施設で目覚める前の記憶について教えてほしい。

SCP-709-JP-B-26: カボチャ? 笑えない冗談だな。もっとマシな嘘は言えないのかい?

█████博士: SCP-709-JP-B-26、これは冗談ではない。目覚める前の記憶を教えてくれ。

SCP-709-JP-B-26: 分かった分かった。怖い顔すんなって……つっても何も覚えてねえ。昔、仕事の関係でカッとなって人を殺しちまってな。目撃者も一緒に何人か殺して逃げてたんだが、最後にヘマした俺は[編集済み]にあるムショにぶち込まれてた。んで、そっから退屈な毎日。いつものように内職してクソして寝て目が覚めたらここにいた。それだけだ。

█████博士: なるほど。何か特別変わったことは?

SCP-709-JP-B-26: 相部屋の█████野郎のイビキがいつもより凄かったことくらいだ。

█████博士: 目が覚めた時のことは覚えているかい?

SCP-709-JP-B-26: てめえらのショベルカーでひき潰されそうだった。

█████博士: そのことについては、担当職員が厳重注意を受けている。他に何か気になることは?

SCP-709-JP-B-26: 俺は████社の下請けで働いている配管工だった。有名な会社だろ、あそこ。

█████博士: ……私には████社に覚えがありませんね?

SCP-709-JP-B-26: 知らねえか。一応有名企業なんだがな。

█████博士: いえ、今調べて頂いたんですが、そのような企業は登録されていません。

SCP-709-JP-B-26: え? は? え? えええっとそれじゃあ██████は? 俺が務めてた下請け企業だ。

█████博士: ……今調べましたが、そのような情報は発見されませんでした。

SCP-709-JP-B-26: おい、マジかよ。じゃあ俺はいったいどこでなにをして暮らしてたんだ? ムショになんでぶち込まれたってんだ。

█████博士: そもそも[編集済み]に刑務所は存在しません。

SCP-709-JP-B-26: は? じゃあ、待てえっと、俺の? え? [罵倒語]!! 嘘だ! お前ら俺になんか仕掛けようって魂胆だな! [罵倒語]! 俺は騙されねえぞ!!

█████博士: 対象が激昂。精神安定剤を投与しましょう。

SCP-709-JP-B-26: ふざけんな! てめえらが俺に……

█████博士: インタビュー続行は難しそうですね。録音を終了します。

<録音終了>

終了報告書: SCP-709-JP-B-26の証言には幾つかの矛盾点があるものの大よそ一貫しており、現在並行世界からの転移説や、架空の記憶が与えられた完全に新生の人間である説などが予想されていますが詳細は不明です。

追記,20██/10/31:SCP-709-JP内で大量のSCP-709-JP-Aが発生したため設置された網を破壊し、小規模な収容違反が発生しました。即座に財団エージェントによる回収作戦が行われ、流出したSCP-709-JP-Aは全て回収されたと思われています。以降、収容プロトコルの見直しが行われました。また、その際に回収に当たったエージェントから「カボチャではなくモモに見えるSCP-709-JP-Aがあった」との報告があがっていますが、映像確認の結果、そのような事実はなかったと結論付けられています。

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