SCP-714-JP
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アイテム番号: SCP-714-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-714-JPは、SCP-714-JP-1群とともに標準的ヒト型オブジェクト収容房に収容します。収容リスクの低減および管理の簡便化のため、SCP-714-JPとSCP-714-JP-1群を分離するための試みを継続します。いかなる状況においても、SCP-714-JPを収容している収容房に15歳未満の人物が進入することは許可されません。

標準的ヒト型オブジェクト収容プロトコルに加え、薬理学部門にて調剤する幻覚誘発剤M-714-JPを、同部門にて指示する用法および容量で投与します。さらに2週間に一度、15歳未満の小児を模した5体の等身大人形を収容房内に導入します。"パフォーマンス"の終了後、人形は回収します。

説明: SCP-714-JPはかつて標準的な35歳(収容時)の日本国籍を持つ男性であったヒト型存在です。また、回収された地域ではよく知られた大道芸人であったことが確認されています。SCP-714-JP-1群はSCP-714-JPが着用している衣類群であり、以下の構成物からなります。両者を分離することはSCP-714-JPの協力的態度にもかかわらず現在まで成功していません。

  • 衣服。上衣と下衣が繋がっている。SCP-714-JPに向き合って見て身頃の右半分は黒一色、左半分は白と黒のひし形が交互に敷き詰められた模様であり、袖は白である。SCP-714-JPの体格に対してかなり大きめである。
  • 二股帽子。衣服の身頃とは左右が逆の配色である。先端には鈴がついている。
  • 木靴。つま先が足甲側に湾曲している。
  • 仮面。赤い丸付け鼻、巨大に描かれた目および口を特徴とする。

SCP-714-JPはSCP-714-JP-1群による精神汚染を受けていると見られており、自身が発揮する異常性を正常に認識していません。また、インタビューによりSCP-714-JP-1群に関して極めて肯定的な感情を抱いていることが判明していますが、これがSCP-714-JP-1群の異常性に由来するものかは断定に到っていません。SCP-714-JPはSCP-714-JP-1群との接触以前には異常性を有していなかったことがインタビュー結果から推測されており、SCP-714-JPが対外的にもたらす影響は全てSCP-714-JP-1群に由来するものであると見られています。このことから、両者を分離する試みが奏功した場合、SCP-714-JP-1群がSCP-714-JPに再分類される見通しです。

SCP-714-JPおよびSCP-714-JP-1群に関する実験は、主に異常性発現の条件を明らかにすることを目的に設計・実行されました。その中で、SCP-714-JPが対外的に影響をもたらすのは、同オブジェクトが生活年齢が15歳未満のHomo sapiensを直接視認したときであることが示唆されています。SCP-714-JPに曝露した人物(以下、犠牲者)は、当人の平時の性格や嗜好にかかわらず、SCP-714-JPに対し極めて友好的かつ好意的になります。またSCP-714-JPは犠牲者の身体構造を未知の手段により変容させ、これを用いて自身が"パフォーマンス"または"大道芸"等と称する異常行動を行います。この身体変容は瞬時に行われ、また不可逆かつ多くは大規模なものであるにもかかわらず、犠牲者は苦痛や恐怖といった感情は表出せず、むしろ肯定的にこれを受け入れます。この異常な影響や反応は、異常行動が終息した時点で通常想定されるものに変化します。実験ログへのアクセスを希望する職員はグループリーダーにコンタクトを取ってください。

インシデントレポート

インシデント714-JP-1: 2013/02/04、11:15 AM、収容房からSCP-714-JPが前兆なく消失し、機動部隊を動員した捜索により収容サイトから40 km離れた中学校で発見、再収容されました。インシデント当時校内にいた同校の生徒のうち██名が犠牲になりました。目撃者らには記憶処理を施行し、暴漢による無差別殺傷と集団パニックによる幻覚に関するカバーストーリーが展開されました。

インシデント714-JP-2: インシデント714-JP-1の2週間後、同様の消失および再出現が発生しました。エリクソン上席研究員によるSCP-███-██との類似性の指摘並びに提言に基づき、再出現先として想定される地点にフィールドエージェントを派遣しておいたことにより、SCP-714-JPは被害が発生する前に鎮圧されています。

上述の類似オブジェクト並びにインシデント群から類推し、消失および再出現について

  • 概ね2週間を超えて"パフォーマンス"を行わなかった場合に発生する
  • 転移先は小児が多く集まる施設等に限定される

ものと見積もられています。

2013/02/20、特別収容プロトコルが現行のものに更新されました。 真木岡上席研究員の提案に基づき、SCP-714-JPは幻覚誘発剤M-714-JPの投与下に置かれます。現在、SCP-714-JPはM-714-JPの作用により"生きているヒト"と"ヒトのサイズと形状を模した人形"の区別がつかず、かつ人形と「意思疎通をヒトと行うのと同様に行っている」と誤認している状態になっていることに留意してください。

インタビューログ714-JP-3

インタビュー日時: 2013/06/27
実施: 菅坂面接官(ログでは「インタビュアー」と表記)
対象: SCP-714-JP


<記録開始>

インタビュアー: SCP-714-JP、インタビューを開始します。

SCP-714-JP: [沈黙] 子供たちに会わせてください。

インタビュアー: その「子供たち」とは特定の人物群を指すものでしょうか。それとも、不特定の[SCP-714-JPに遮られる]

SCP-714-JP: 子供たちと言ったら、別に誰とか彼とかじゃない、子供たちです。僕をここから出してください。こんなところに閉じ込められちゃあ、子供たちのためのパフォーマンスができない。それか、この前みたいに子供を連れてきてください。ここに来るまでは、月に2回くらいは駅前とか公園とかでやってたんです。

インタビュアー: あなたは、自分が子供たちに対してどのような行動をしているか説明できますか?

SCP-714-JP: [不明瞭] [嘆息] どのようなって、まあ、大道芸ですよ。

インタビュアー: もう少し具体的に、私が大道芸という言葉を知らないと思って説明してください。何を使って、どのようにするのか。

SCP-714-JP: 子供を楽器にして、ワンマンバンドをやったり、子供を風船にして、バルーンアートでダックスフントを作ったり、他にもまあ色々ですね。

インタビュアー: 「子供を楽器にする」とは、どのようにして実行するのですか?

SCP-714-JP: たとえば子供の、こういう骨の出っ張ってるとことかをばちで打ったら木琴や鉄琴になるじゃないですか。引っ張ったり縮めたりしたらアコーディオンになるし、息を吹き込んだら笛とかハーモニカになるし。それで、多いときは5人くらい使って1人で演奏するんです、だからワンマンバンド。このパフォーマンスのすごいところは、聞いてるだけじゃなくて楽器になってくれている子も一緒に楽しめるところですね。特にトランペットになってくれた子なんかはもう大はしゃぎです。

インタビュアー: では、「子供を風船にする」とは?

SCP-714-JP: 僕の場合はこういう、手でやる空気ポンプを使うんですけど、子供の口から空気を入れたらペンシルバルーンになりますよね。で、それをこう、結んだりねじったりして、まあダックスフントだけじゃなくて帽子とか花とか、剣にしてチャンバラもできますよ。これはなかなかコツがいって、ためらわずに一気にやるのがポイントですね。手際が悪いと破裂してしまうので。

インタビュアー: 記録によると、それらをされた小児は例外なく身体構造または組成、あるいはその両方が変容しており、またおよそ7割が死亡しています。このことについてはどう考えていますか?

SCP-714-JP: [間] はっ?

インタビュアー: 質問に答えてください。

SCP-714-JP: 何を言うんですか? し、死亡?

インタビュアー: 死亡です。この光景に身に覚えはありませんか?

[菅坂面接官はインシデント714-JP-1の際の記録映像をSCP-714-JPに提示した。SCP-714-JPは激しく動揺。インタビューはSCP-714-JPが落ち着くまで中断された。]

インタビュアー: もう一度聞きます。先ほど見せた光景に覚えはありませんか?

SCP-714-JP: ち、違う。僕じゃない。僕じゃない。[激しい逆息と衣擦れの音]

インタビュアー: 次の質問です。あなたが言う、小児を使ったパフォーマンス群、それらは最初からできたことですか? それとも、何らかの明確な契機があり可能になったことですか?

SCP-714-JP: [15秒程度の沈黙] 契機というか、初めてやったのはこの服[SCP-714-JP-1群を示す]を着てからですね。この服を来た途端にひらめいたんです、せっかく楽しいことをするんだから、みんなで一緒にしたらもっと楽しいぞって。そしたらもう、子供たちの喜びようと言ったらすごいんですよ。こういう変わった衣装を着ているってのもあるんでしょうけど、それまでとは食いつき方から何から違って、おとなしそうな子やちょっとませた感じの子も、僕がパフォーマンスを始めたらまるで人が変わったようになるんです。

インタビュアー: [発言を促す]

SCP-714-JP: 最初は半分趣味、半分遊びくらいのつもりで始めた大道芸ですけど、今となっては僕の生きがいなんです。上手くいかないときも多かったけど、この服を着てからはすごく受けるようになって。僕のパフォーマンスを見て嬉しそうにしている子供たちを見ていると、こっちまで嫌なことも忘れてしまうくらい嬉しくなるんです。[激しい衣擦れの音] お願いです、子供たちに会わせてくれませんか。

インタビュアー: 残念ながら、あなたはこの部屋から出てはならないことになっています。

SCP-714-JP: だったら、それでもいいです。その代わりに、ここに連れてきてもらえませんか、子供たちを。私の大道芸を見てもらうために。[衣擦れの音が激しくなる] も、もう、大道芸がやりたくて、やりたくて、たまらないんです。

インタビュアー: その要望はすでに承認されています。次回は4日後を予定しています。

SCP-714-JP: ありがとうございます。本当にありがとうございます。

インタビュアー: インタビューを終了します。

<記録終了>

終了報告書: SCP-714-JPの現状への不満や疑問は、概ね無視できる程度と言えます。M-714-JPと人形さえ与えていれば、喜んで収容されてくれるでしょう。

付記: 当インタビュー直後に行われた"パフォーマンス"の際、SCP-714-JP-1群のうち、仮面の左頬骨にあたる箇所に水滴型の模様が出現しました。インタビュー内容との関連性が慎重に議論されています。

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