SCP-734-JP
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アイテム番号: SCP-734-JP

オブジェクトクラス: Keter

特別収容プロトコル: SCP-734-JPは現在、臨時サイト-8175に収容されています。臨時サイト-8175には常に数名の警備員が配備されます。オブジェクトに対する食事や物品の支給はSCP-734-JPが偶然その物品が落ちていたと認識できるような場所に設置することで行なってください。実験は最寄りのレベル3以上の職員に申請してください。またSCP-734-JPに臨時サイト-8175が「自身の為の施設である」と認識させることはいかなることがあっても避けてください。

説明: SCP-734-JPは報告書の執筆時点で5歳ほどの日本人男性です。オブジェクトは日本語を理解することが可能ですが、発話、及び読み書きをすることは出来ません。

SCP-734-JPの特異性は他者から物質を譲渡された際に発生します。譲渡された物は未知のプロセスによって即座に消失します。この"譲渡"の定義は完全には判明していませんが、その物質の所有権1がSCP-734-JPに移ることであると考えられています。この効果はオブジェクトの認識の範囲内でのみ発生します。実体に譲渡される前の物質にGPSを装着させ、消失した物体の転移先の調査を試みましたが、GPS信号は検出されませんでした。

SCP-734-JPは収容以前、長野県██市において自身の特異性を用いてストリートパフォーマンスを行なっており、路上生活者である██氏と██公園で生活をしていました。

補遺1: 当初、SCP-734-JPはサイト-81██に収容が行われましたが、収容室にオブジェクトを入室した瞬間にサイト-81██全体が消失しました。これはSCP-734-JPがサイト-81██を「自身に与えられた施設」と考えたためだと考えられています。この事案によってサイト-81██に収容されていた[編集済み]体のオブジェクトの収容違反が発生しました。その後、財団は複数の収容作戦を行いましたが、その殆どが設備や人員の消失により失敗し、SCP-734-JPは長期に渡り未収容の状態が続きました。しかし、201█年にオブジェクトが偶然、██ビル1に侵入した際に、██ビルの封鎖を行うことでオブジェクトの収容が成功しました。現在の収容プロトコルはその際に作成されました。

補遺2: 以下は██氏に対して行われたインタビューの抜粋です。

インタビュアー: 田村博士

<記録開始>

インタビュアー: おはようございます。保護の際に言った通り、色々と質問しておくべきことがあります。慣れない環境であるかもしれませんが、落ち着いていただけると幸いです。

██氏: ああ、わかったよ。いや、本当に有難いことだと思ってるよ。

重要度が低いため省略

インタビュアー: 次の質問です。SCP-734-JPと共に生活を行なっていたのはなぜですか?

██氏: どこから話そうかな。あの子が俺の子供じゃないことはわかるか?ああ、まあわかるわな。その、俺らは別のところ、あの公園じゃないところで生活してたんだ。確か██駅の近くの河川敷2だったと思う。そこは身寄りが無くて、頭も体も変なやつらが多かった。あ、体が変っていうのはその腕が無いとかそんなじゃなくて、何ていうか力を持っている感じのやつ。

インタビュアー: 特異能力を持った人間ということですか?

██氏: ああ。その言葉は合う。そう、神から頂いたお力だ。それで、あそこで子供を作ろうとしたやつがいたんだ。てか作った。馬鹿どもだった、あの二人は。母ちゃんの方は産むときに死んだ。そういうことするための場所じゃないから当然だ。俺たちには血の止め方はわからなかった。父ちゃんはそのショックでどっかに逃げた。たぶんのたれ死んでるだろうよ。そして、生まれたのがあの子だ。

インタビュアー: SCP-734-JPですね。

██氏: あんたら流に言えばそうなるな。まあ今まで名前も持ってなかった子だからそれでいいかもしれんわ。両親は馬鹿だったが、あの子は賢かった。それに力があった。喋るのはちょっと苦手だが、なんていうか自分の力の使い所がわかってるんだよな。まあ実際、あの子を扱うのはかなり大変だったな。マジックをやろうって考えたのもあの子だった。それで俺たちは駅の周りで手品をやってた。物が消えるんだ。カメラで撮ってもタネがバレることは絶対にない。ていうか当の本人がタネをわかってねえんだからな。

インタビュアー: なるほど。しかし、あなたたちは後に██市の方に居住地を変えていますね。一体、何が起きたのでしょう。

██氏: まあ、大したことじゃないよ。クソ、思い出したくねえんだ。ちょっと大変だったよ。いや、だいぶだ。すまないが、これくらいにしてくれ。俺はこういうことを喋るのが苦手なんだ。

インタビュアー: わかりました。ゆっくり話してもらえれば結構です。それでは今日はこのくらいにしましょう。

<記録終了>

終了報告: インタビュー後、SCP-734-JPの異常性の起源解明のために、両親の調査が開始されました。

補遺3: ██氏のインタビューを受けて、██駅の近辺でSCP-734-JPのストーリーパフォーマンスに関しての聞き込み調査を行いました。以下は、目撃者である█氏へのインタビュー記録の抜粋です。

インタビュアー: エージェント・蒲田

<記録開始>

重要度が低いので省略

インタビュアー: そうですね。次に質問したいのは██駅で行われてた路上パフォーマンスについてなんですが。

█氏: ああ、あれね。あのマジックはとても凄かったわね。どうやってもタネがわからないのよ。私の知り合いの人にプロのマジシャンがいるからその人にも見てもらったけど、それでもわからなかったの。あの子は本物だったんでしょうね。

インタビュアー: なるほど。

█氏: あ、でもね、あの子本当に不憫なのよ。実はホームレスの子みたいでそういう集落に住んでたみたいなんだけど、どの小屋にも入れてもらえてなかったのよ。可哀そうじゃない?おまけにご飯も自分一人で探してたの。お家に関しては、しばらくして見に行ったらちゃんと住ませてもらってたからいいけども。

インタビュアー: その小屋の住人はこの人物でしたか?

██氏の画像を見せる

█氏: ええと、そうね。そんな感じだったと思うわ。そうそう、それで一緒にマジックを見に行ってた友達とも相談して、あの子にご飯を持っていくことにしたのよ。育ち盛りだからいっぱいね。それで渡しに行ったんだけど、あの子、全部消しちゃったのよ。まあ小さい子だからマジックをやらなきゃって思ったのかもしれないわね。でも、その後に不快なことがあったのよ。

インタビュアー: 詳しく教えていただけますか?

█氏: 他のホームレスの人たち、おじさんのね、そのホームレスたちが私たちの持ってきたものに集ってきたのよ。"この子に渡すと全部消しちゃうからとりあえず俺たちに渡してくれ"って言ってたけど、正直、こういうの醜いわよねえ。子供をだしにして嫌な大人よ。あの子をちゃんと保護してもらおうか相談してたけど、結局、いつの間にかいなくなってたわねえ。

インタビュアー: なるほど。参考になるお話でした。

█氏: あの子、事件に巻き込まれたの?

インタビュアー: それについてはお話しすることはできません。今日はご協力いただき、ありがとうございました。

<記録終了>

補遺4: SCP-734-JPの成長に伴い、対象が自身が収容されていることを認識した場合、現在の収容プロトコルでのSCP-734-JPの完全な収容は不可能になると見られています。これに対して、収容以前からSCP-734-JPの保護・監督を行なっていた██氏をレベル1職員として財団に雇用しSCP-734-JPと共に生活させることが提案されました。この提案は承認され、SCP-734-JPに伝えられましたが、SCP-734-JPはこの提案を拒否しました。

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