SCP-740-JP
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SCP-740-JP-1

アイテム番号: SCP-740-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: その大きさから現在SCP-740-JP-1を物理的に収容することは不可能であるため、SCP-740-JP-1の周辺に海上サイトを建設した上で常時監視を行います。SCP-740-JP-1に近づこうとする船舶などが存在する場合、速やかに接触し乗員にAクラス記憶処理を施し、カバーストーリー「船舶マップの故障による遭難」を施行してください。
新たなSCP-740-JP-2個体が出現した場合は速やかに捕獲作業を行い、通常のアホウドリと区別するためのGPS装置の付いたタグを装着してください。また、SCP-740-JP-2の総個体数が150体を上回った場合、150体未満になるように捕獲、処分を行ってください。
現在SCP-740-JP-1の存在は、日本政府との協力によって一般社会には秘匿されています。そのためSCP-740-JP-1が記録された著作物や報道は発見され次第速やかに内容を改変、処分されます。

説明: SCP-740-JP-1は現在、北緯約32度,東経約143度に位置する総面積およそ139km²の無人の浮島です。SCP-740-JP-1には通常の亜熱帯気候における生物の生態系や植物が確認されていますが、鳥類は後述のSCP-740-JP-2を除いて存在しません。
SCP-740-JP-1に生息している生物、及びSCP-740-JP-1を構成する物質全てのDNAは解析の結果、アホウドリ(Phoebastria albatrus)と同種のものであることを示します。これはSCP-740-JP-1内に生息するあらゆる動物、自生している植物全てに見られます。通常ではDNAが存在しない土や水、鉱石などにはDNAが物体の構成物質の中に含まれる形となります。
しかしながらこれらの動植物、および鉱石などはDNAを除いて既知のものと特徴、習性や構造が全て同じであり、特別な性質を持ちません。また、これらの動物は島の外部から侵入した生物に対して非常に敵対的かつ排他的であり、結果として外来種や同種族であっても外から持ち込まれた個体などは繁殖を行うことが不可能です。植物の場合でも原因不明の腐敗などによって生存が不可能となります。
SCP-740-JP-1に外部から土や水を持ち込みSCP-740-JP-1に直接接触させた場合、原因不明のプロセスによっておよそ1時間後にSCP-740-JP-1内部のものと同様の、DNAを含んだものに変換されます1。しかし、この変換プロセスがありながら、何故SCP-740-JP-1の大部分に接触している海水が変換されていないのかは不明です2

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解剖されたSCP-740-JP-2個体

SCP-740-JP-2は土や石、動物の死骸などで構成された物体です。DNAの解析ではSCP-740-JP-1の構成物質と同様の結果を示すことが確認されています。SCP-740-JP-2はアホウドリであるかのように振る舞い、食性や習性、寿命などはアホウドリのものと一致しますが、排泄を行わないため、摂食された物体がどうなっているかは不明です。また一般的なアホウドリとは異なりストレスに弱く、人間に対して非常に攻撃的であるため、十分な装備を持たない人間が遭遇した場合SCP-740-JP-2からの過剰な攻撃によって死亡する恐れがあります。
SCP-740-JP-2は、姿を目視した生物に対して自らをアホウドリであると認識させるミーム作用を持ちます。そのため、SCP-740-JP-2と一般的なアホウドリを見分ける方法は解剖を行うか、特別収容プロトコルで施されたタグで判別する以外ありません。
また、SCP-740-JP-2は該当する器官を持たないにも関わらず、アホウドリと生殖行為を行うことが可能です。これによって新たに誕生する個体は解剖学上アホウドリと同個体であり、SCP-740-JP-2のような異常性も持ちません。これによって、新たに誕生する個体は通常のアホウドリと同種であると定義されています。また、SCP-740-JP-2は雌雄同体であるため、生殖行為を行う際に相手の性別は問いません。
SCP-740-JP-2は通常、1週間に3~4体発生します。この発生のメカニズムは完全には解明されていませんが、SCP-740-JP-1の土壌の不自然な窪みや野生動物の死骸の不自然な消失などが確認されているため、島の中のこれらの物体を用いて身体を構築することで発生していると推測されています。SCP-740-JP-1内部の定期的な調査の結果、生息している生物に対して死骸の数が極端に少ないと報告されているため、SCP-740-JP-2は動物の死骸から優先的に発生することが推測されています。また、外来の動植物の死骸などからもSCP-740-JP-2が発生することが確認されているため、SCP-740-JP-1内で生物が死亡した場合、何らかの変換プロセスによって死骸の体内組織がSCP-740-JP-1内部のものと同一のものに変換されると推測されています3
SCP-740-JP-2は通常のアホウドリと同様に渡りを行い日本近海に出現することが確認されていますが、通常のアホウドリおよびSCP-740-JP-2との生殖によって誕生したアホウドリがSCP-740-JP-1に出現することはありません。そのため、SCP-740-JP-1近辺に確認できるのは常にSCP-740-JP-2のみです。

補遺740-1: SCP-740-JP-2は収容当初、全ての個体が物理的に収容されていました。しかしSCP-740-JP-2が収容へのストレスによって早死にしてしまうことや、SCP-740-JP-2とアホウドリとの交配が可能であることが確認されたため、19██年当時に特別天然記念物とされ絶滅の恐れがあったアホウドリの個体数増加を目的とした試験的なSCP-740-JP-2の活用が██研究員と当時環境庁局長の██氏から提言され、O5-█,█,██の承認のもと行われました。結果として20██年現在、アホウドリの総個体数は2███羽まで増加しています。

補遺740-2: 現在SCP-740-JP-1は北西の方向に年間およそ2kmの速度で移動を行っています。この移動に用いられる推進力は不明ですが、財団の懸命な努力にも関わらず移動速度は年間2kmを下回ることはありませんでした。現在の見込みではおよそ215年後に千葉県██市の沿岸部に衝突すると推測されています。これらの事実からSCP-740-JP-1が本土に直撃することによる日本全土の地質変換や、それによって引き起こされる多くの人的損失の恐れからSCP-740-JP-1およびSCP-740-JP-2を無力化する方法について研究が行われています。

追記740: SCP-740-JP-1の移動は2002/03/██の時点で確認されており、これは国内で確認されたアホウドリの総個体数が2000羽を記録した日付とほぼ一致します。これにより、SCP-740-JP-1の移動速度と日本国内のアホウドリの総個体数に因果関係が見られると推測されており、このことからアホウドリの個体数を減らすことによるSCP-740-JP-1の移動の阻害が██博士によって提言されており、現在承認待ちです。

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