SCP-806-JP
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アイテム番号: SCP-806-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-806-JPを用いてSCP-806-JP-1の撮影を行う場合、撮影を担当する職員は実験終了まで会話を行ってはいけません。撮影中に別の職員に意思疎通が必要な場合、筆記で対応してください。SCP-806-JP-Aとなった職員は精神状態によっては終了が許可されています。

SCP-806-JPの作成方法は担当職員またはセキュリティクリアランスレベル4以上職員のみ閲覧可能です。一般人によるSCP-806-JPの作成またはSCP-806-JPと同じ性質を持つ物品の開発が確認された場合、速やかに回収し、SCP-806-JP-Aとなっていない関係者にBクラス記憶処理を施してください。SCP-806-JP-Aとなっている人物は隔離してください。

説明: SCP-806-JPは日立製DZ-MV100をベースに作られたビデオカメラです。SCP-806-JPは作成された当初、SCP-███-JP撮影用のビデオカメラとして試作段階であったため中身の機構や使用素材は通常とは異なります。SCP-806-JPを用いて撮影を行った場合、SCP-806-JP-1と指定される人型実体がビデオカメラに備え付けられたモニタに映り込みます。SCP-806-JP-1の姿は撮影された映像でも確認できます。SCP-806-JP-1はSCP-806-JPを同じ機構と素材で作成した場合でも撮影可能です。人間がSCP-806-JPで撮影しながらSCP-806-JP-1に話しかけた場合、SCP-806-JPを視覚、聴覚、触覚で認識することができるようになります。この条件を満たしたことによりSCP-806-JP-1を認識できるようになった人間はSCP-806-JP-Aと指定されています。

SCP-806-JP-1はSCP-806-JPを用いてのみ確認される人型実体群です。映像ではSCP-806-JP-1の体は黒い靄のようなもので構成されており、身長は90cmから220cm程度に見えます。映像で確認されたSCP-806-JP-1の基本行動には単独で人間の背後10m以内をついてくることが挙げられます。基本行動以外にはつけている人間の顔を覗き込む姿や寝ている人間の上で飛び跳ねる姿が確認されています。一連の行動はSCP-806-JP-Aではない人間に対して害はありません。また、財団施設内をSCP-806-JPで撮影した際、SCP-806-JP-1がついていく人間を不定期に変更している様子が確認されています。
映像内ではSCP-806-JP-1に後ろをつけられた人間は歩いている途中で振り返り、再び歩き出すことが確認されています。この行動の理由を質問したところ、全員が『後ろに何かがついてきていると思い振り返ったが何もいなかったので気のせいだと思った』という旨の主張をしています。SCP-806-JPを用いて市街地を撮影した場合、同様の行動を行う人間が確認されています。

SCP-806-JP-AにはSCP-806-JP-1を視覚、聴覚、触覚で認識できること以外に異常はありませんが、全員がSCP-806-JP-1の増加と話し声を訴えています。SCP-806-JPでSCP-806-JP-Aの周囲を撮影した場合、複数のSCP-806-JP-1が存在しているのが確認されています。SCP-806-JP-Aとなった日数が長いほど周囲にいるSCP-806-JP-1の数は増加していきます。SCP-806-JP-1の話し声は現在観測できていません。SCP-806-JPで周囲の撮影を行ったところ、SCP-806-JP-Aに対してSCP-806-JP-1は人間に認識されていない時の行動以外にも体に触れようとする、周囲を複数で取り囲む、といった行動をします。SCP-806-JP-Aは三週間前後で視覚、聴覚、触覚を使った認識力が著しく低下します。これはSCP-806-JP-Aの周囲に存在するSCP-806-JP-1が増加した事によるものと考えられています。さらに二週間ほどで精神異常が見られますが、睡眠不足によるノイローゼであると考えられています。この段階のSCP-806-JP-Aにはベンゾジアゼピン系睡眠薬であるトリアゾラムの投与が行われますが、現状では投与から1時間以内の覚醒という結果に終わっています。

インタビュー記録806-JP:

対象: 宗竹博士

インタビュアー: 海道博士

付記: 宗竹博士はSCP-806-JP-1の第一発見者です。宗竹博士はSCP-806-JPを用いてSCP-806-JP-1との意思疎通を試みようとした結果、SCP-806-JP-Aになりました。この時点ではSCP-806-JP-Aとなって2週間が経過しています。

<録音開始>

海道博士: こんにちは、宗竹博士。

宗竹博士: こんにちは。今日はよろしくお願いします。

(10秒ほど沈黙)

海道博士: やはりSCP-806-JP-1はこの部屋にいますか?

宗竹博士: ……もちろんだ。博士を認識するのが難しいよ。君、結構大きいのにつけられたね。

海道博士: そうですか。宗竹博士はこのオブジェクトについて何か思うところはありませんか? 何でもいいですから。

宗竹博士: ……これは主観になるけど、彼らに悪意はないんじゃないか?

海道博士: 悪意はない?

宗竹博士: そうだ。彼らを見ていて思ったんだ。彼らにとって私は動物園のパンダと同じなんだ。

海道博士: どういうことですか?

宗竹博士: 私みたいに彼らを認識できる人間が珍しいんだ。だから、たくさん寄ってくる。

海道博士: しかし、オブジェクトのせいで博士は苦しんでいますよ?

宗竹博士: 確かに彼らは常にそこにいて、時々触れたりしてくるよ。でも、私には彼らが小さい子供のように見えるんだ。いや、本当にそう見えるわけじゃない。例えみたいなものだ。最初に接触したとき、驚いたような表情をした後、嬉しそうに笑っていた。何というか、嫌らしい笑いじゃなくて、本当に嬉しい感じの。

海道博士: つまり、彼らは友好的であると。ですが、監視カメラを見ると碌に眠れていないみたいですね。これは彼らが非友好的であることを示すものと考えられますよ。

宗竹博士: たぶん、彼らには眠りという概念がないのだろう。彼らが眠るときは死ぬ時だけ。起こされたときはいつも安心したかのような表情をしていたからそう思っただけだが。もう少しいいかい?

海道博士: 構いませんよ。

宗竹博士: ありがとう。彼らに関して気づいたことなんだが、彼らは見えないだけでどこにでもいる。大通りにも、財団施設にも。もしかしたら人類が生活する範囲ならどこにでもいるんじゃないかな。それと我々は実のところ彼らを知覚はしているように思うんだ。

海道博士: 根拠はありますか?

宗竹博士: 記録映像を見ていると、気配を感じて振り返った者は全員がオブジェクトと目を合わせてるように見えた。もちろん、これも私の主観だ。

海道博士: 博士の意見は分かりました。そろそろ時間ですのでインタビューを終了します。

<録音終了>

付記: 宗竹博士のいる治療室は彼の入院以降、何かがたくさんいると言う報告がされており、海道博士も入室前後で同様の主張をしています。SCP-806-JPで室内を撮影したところ、SCP-806-JP-1で埋め尽くされていました。

事案報告806-JP-1: 宗竹博士が自身の病室で死亡しました。以下は死亡当時の病室の映像記録です

付記: インタビューを行ってから1か月が経過しています。当時、宗竹博士の精神は重度の錯乱状態にありました。記録映像は通常の監視カメラで撮影した様子ですが、SCP-806-JPでは部屋中にSCP-806-JP-1がいたため宗竹博士の姿は確認できませんでした。

<記録開始>

17:28 「一人にしてくれ」と何度もつぶやいている。当時の宗竹博士は呟いている姿が監視カメラと小型マイクに記録されている。
 
17:29 宗竹博士が呟くのを止める。

17:30 自身の指で目と耳を潰す。この段階で監視していた職員が警備員を入室させようとしたが、様子がおかしいことに気付いたため部屋の外で待機させる。

17:32 自身の血で床にVの字型の図形をいくつも書く。また、会話しているようであったが小型マイクには記録できなかった。

17:38 何かを受け取る動作をする。

17:39 受け取ったものを自身の首に突き刺す。

17:40 監視していた職員の指示により警備員が部屋に入る。警備員が止める前に宗竹博士は出所不明の包丁で自身の首を刺し、首を裂いていく。

17:41 応急処置を開始する。

17:43 医療スタッフが到着する。

17:45 宗竹博士の死亡が確認される。

<記録終了>

終了報告: 宗竹博士の直接の死因は失血死です。包丁の他に首にボールペンが刺さっていたのが確認されています。このボールペンは部屋の外で待機していた警備員の物であることがわかっています。しかし、この警備員と宗竹博士の接触はこの事件が初めてであることが確認されています。また、包丁は厨房にあったものであり、事件後紛失届が出されています。一連の状況からSCP-806-JP-1が持ち込んできたものではないかという推測がなされていますが、この現象は宗竹博士の事例のみでしか確認されていません。

事案報告806-JP-2:

宗竹博士の遺体は火葬されました。火葬されるまでの間、周囲に三角定規や鉛筆、Vの字型に折り曲げられた針金等が出現しています。出現した物品で持ち主が特定できたのは39個中14個です。これらの持ち主は全員が気づいたら無くなっていたと主張しています。
SCP-806-JPで撮影した宗竹博士が火葬されるまでの様子において宗竹博士の周囲には多くのSCP-806-JP-1が集まっていました。宗竹博士の周囲でたたずむSCP-806-JP-1の他にその上で飛び跳ねるSCP-806-JP-1も映像には記録されています。火葬後、SCP-806-JP-1は参列者についていく姿が確認されました。

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