SCP-819-JP
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アイテム番号: SCP-819-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-819-JPはその性質のため現在収容されていません。財団は、SCP-819-JPが接触する可能性のあるすべての米陸軍退役軍人に対し、常時監視プログラム「アイビー作戦」1による監視を徹底してください。SCP-819-JPが当該作戦対象である退役軍人に接触を図った場合、直ちに最寄りのフィールドエージェントならびにサイト-21に待機中の機動部隊シータ-8(「ライ麦畑の捕獲者」)によりSCP-819-JPの確保・収容・保護を試みてください。

説明: SCP-819-JPは米陸軍特殊作戦群大佐の正装を着た、S.████陸軍大佐と名乗る外見年齢50歳前後の中肉中背の人型実体です。SCP-819-JPは米陸軍に所属していた兵士のうち、過去█年以内の失敗した作戦によって軍を退役せざるを得なくなり、その結果として重篤な社会不適応を示す人物の前にランダムに姿を現し、説得対象とします(以下説得対象となった人物をSCP-819-JP-1とします)。

SCP-819-JPは、SCP-819-JP-1に対し、軍務への復帰と前線での作戦従事を提案し、その提案に承諾するよう説得します。SCP-819-JPによる説得にはミーム的影響力がないことが判明しています。SCP-819-JP-1が説得に同意した場合、SCP-819-JP及びSCP-819-JP-1は同時かつ瞬間的にその所在地から消滅します。同時にGPS、マイクロフォンも機能を停止します。SCP-819-JP-1がSCP-819-JPの説得を拒否し続ける、あるいは物理的脅迫により拒否された場合、SCP-819-JPは1時間ほどで説得を諦め、SCP-819-JP-1の前から徒歩で立ち去り、1km程度を歩いた後消失します。

SCP-819-JPがSCP-819-JP-1に提案する作戦は、現在の世界における米陸軍の展開と一致した地域における、極めて危険であるが高い価値を持つ秘匿作戦である、ということのみが判明しています。これについてSCP-819-JPは、SCP-819-JP-1が説得に応じた場合、作戦の具体的内容を説明するとSCP-819-JP-1に発言します。多くの場合、SCP-819-JP-1はこの発言を受け入れます。なお、200█年から、米陸軍が介入している紛争地域で、米陸軍装備ですが、米陸軍とも米陸軍が軍事役務を外部委託している民間軍事企業とも異なる軍事勢力による作戦行動が確認されるようになりました。これら作戦行動には必ず[削除済][編集済]などの戦争犯罪が含まれています。財団はこれら作戦行動とSCP-819-JPの関連を調査中です。

補遺1
以下はSCP-819-JPの説得を受けながら、それを固辞した数少ない例である元米陸軍特殊作戦群所属████退役少尉と、SCP-819-JPの会話記録抜粋です。

アイビー作戦録音記録████-██抜粋

<録音日時:200█/██/██>
録音対象:SCP-819-JP、████退役少尉

SCP-819-JP: [前略]君の陥っている窮状については深く同情している。君が国家に対して行った貢献に対し、国家は全く見合った対価を払っていない。結果、君は退役軍人年金と清掃作業員の仕事で辛うじて食いつなぐ窮状に陥っている。だが、私は君を救い出すことができる。

████退役少尉: 救い出す? どうやって? 退役軍人年金の増額でもあるのか?

SCP-819-JP: いや、もっと崇高で、そして君の能力を活かせる手段だ。

████退役少尉: それは、もしかして……。

SCP-819-JP: そう。そのもしかだ。私は君のアフガンで見せた能力を高く評価している。あの作戦は失敗だったが、それは無能な作戦将校と情報部の誤情報によるものだ。君はそんな悪条件の中で粘り強く戦い、戦友を多く救い出した。その能力を、再び国家のために用いてはもらえないだろうか?

████退役少尉: ……どんな形でだ?

SCP-819-JP: 詳しくは説明できない。しかし極めて危険だが、同時に国家にとって非常に大きな意味を持つ秘匿作戦であるとだけは明言しておこう。

████退役少尉: 秘匿作戦……。

SCP-819-JP: それについては、君が承諾してくれるならば、詳細を明かす。この作戦に君が参加してくれるならば、国家は君に対し深い敬意と報酬を払うだろう。それは君の名誉を回復し、窮状を脱するチャンスになる。ぜひ、承諾してほしい。

████退役少尉: ……断る。

SCP-819-JP: なぜかね?

████退役少尉: 俺はもう軍務に戻る気はない。確かに生活は苦しいが、あんたらの下で戦うよりまだマシだ。

SCP-819-J:P 君が戦いの中で苦しんできたことについては深く理解しているつもりだ。しかし、名誉を回復し、国家に対する忠誠と義務とを果たしてこその軍人でないかね?

████退役少尉: 俺はもう軍人じゃないし、軍人に戻る気もない。帰ってくれ。

SCP-819-JP: 待ち給え。私には君の助力がどうしても必要なのだ……。この

████退役少尉: (SCP-819-JPの発言を遮り)黙れ! さもないと(ショットガンのコッキング音)

SCP-819-JP: ……。君がそこまで固辞するのであれば仕方がない。私は帰るとしよう。君はもっと骨のある人物だと思っていたがな。

████退役少尉: とっとと帰れ! [罵倒]

<抜粋終了:200█/██/██>

補遺2
財団は████退役少尉に対し、SCP-819-JPとの接触についてのインタビューを行いました。以下はその記録です。

対象: ████退役少尉

インタビュアー: エージェント・シュシュニコワ

備考: 当インタビューはSCP-819-JPとの接触者の心理的状態を調査するために行われました。

<録音開始, 200█/██/█>

エージェント・シュシュニコワ: それでは録音を開始します。

████退役少尉: ああ、なんでもいい、聞いてくれ。

エージェント・シュシュニコワ: あなたはS.████陸軍大佐と接触しながら、その説得を拒否しました。なぜですか?

████退役少尉: あいつは軍務にさえ復帰すれば過去の汚名は灌がれ、国家は俺に敬意と代償を払うと言ってきた。しかし俺はそうしたキレイ事で踊らされてきた連中を沢山見てきた。

エージェント・シュシュニコワ: それだけですか?

████退役少尉: いや、それだけじゃない。秘匿作戦というのが……気にいらなくてな。

エージェント・シュシュニコワ: 秘匿作戦、と、いいますと?

████退役少尉: 俺は秘匿作戦の一環で、グアンタナモでテロリスト容疑者たちの尋問に関わったことがある。ろくな証拠もない相手に、頭に袋をかぶせて水責めするんだ。裸にして四つん這いにし、動物みたいに扱ったことや[削除済]したこともある。国家は何かというと名誉と忠誠と義務を尊ぶが、そんな仕事の何処に名誉があって、何処に忠誠心が抱けて、何処に義務感が持てると思う? あの大佐の言い分は、俺達にそういうことをさせた奴らと同じだったんだ。

エージェント・シュシュニコワ: ですがそれは一定の理があることでは? 少なくとも米国にとっては?

████退役少尉: いや、違うな。俺が見た……そしてやったのは……。必要悪をお題目にした、際限ない人間の堕落だったよ。自分より弱い立場の人間をいたぶるサディストに、人間は容易に堕ちてしまうんだ。あの後異動になったアフガンでの秘匿作戦でも、俺達は[削除済]や[編集済]を……だからあの作戦は失敗すべきだったんだ。

エージェント・シュシュニコワ: その結果、今のような窮状に陥ってもですか?

████退役少尉: それは多分……。俺に課せられた罰なんだ。必要悪を免罪符にしてグアンタナモやアフガンでやった事の報いが、俺に降りかかっているんだ。俺はこれを甘んじて受けなければならない……。

エージェント・シュシュニコワ: 分かりました。ところで、S.████大佐の説得に応じた兵士は、いまどうしていると思いますか?

████退役少尉: ……死んでりゃ問答無用に地獄行きだし、生きてりゃ俺達がやったような最低の作戦に属しているんだろうよ。罪もない民間人や容疑があるだけという人間を[削除済][編集済]するような。

エージェント・シュシュニコワ: ありがとうございます。質問はここまでです。

<録音終了, 200█/██/█>

終了報告書: ████退役少尉にはAクラス記憶処置が施され解放されました。

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