SCP-840-JP
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アイテム番号: SCP-840-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-840-JPは標準的低脅威度物品収容ロッカーに保管されます。SCP-840-JP-1群は標準生物収容室内におき、定期的に霧吹きによる給餌を行ってください。追加実験によりSCP-840-JP-1実体が生じた際、特に問題が無いのであれば同収容室に収容してください。SCP-840-JP-1の飼育担当に任命されている職員は、三日ごとに休暇を取ることが推奨されています。SCP-840-JPの利用申請については、現在保留中です。

説明: SCP-840-JPは全長30.0cm×10.0cm×2.0cmの中華包丁です。刃の根元には「我为你杀人」と彫られていますが、銘はありません。SCP-840-JPの組成検査により通常の包丁に比べて炭素の含有量が4.12%と非常に高いこと、鋳造されてからおおよそ350年経過していることが判明しています。その為、SCP-840-JPの一部は完全に欠けてしまうか、曲がってしまっています。SCP-840-JPは完全に刃引きされており、そのため紙を切ることも出来ません。

SCP-840-JPの異常性は、生きた動物の組織に、SCP-840-JPの刃の部分が触れた時に発現します。SCP-840-JPの刃は、臓器や骨などの存在に関わらず、対象の身体を抵抗無く切り分けることが可能です。切断面は即座に滑らかな薄い膜に覆われ、対象の体液は内に閉じこめられます。対象がこのプロセス中に苦痛を感じることはなく、ただ少しの痒みを感じると報告されています。対象の身体内に医療器具などの非生物由来の無機物が混入していた場合、SCP-840-JPはこれを切断することが出来ないという結果のみが残ります。これにより、対象の主要な臓器が損傷を受けたとしても、血液循環の滞り、消化液の流出などは発生しないことが分かっています。

この時SCP-840-JPによって切断されたことで生ずる断面は、以降空気中の酸素と水分を直接取り込む能力を見せるようになります。通常、これはただの表皮と変わりない為、SCP-840-JPの切断面の異常を対象が認識することはありません。対象から実体を完全に切り離した場合、この切断面は実体の生存に大きく貢献します。この、対象の身体から切り離され、主要な内臓器官が存在しないにも関わらず生存し続ける実体を、SCP-840-JP-1と指定します。SCP-840-JP-1は脳の有無に関わりなく、それ自体が思考することができるようです。また、何らかの方法で血液を循環させ、必要な酸素を行き渡らせます。SCP-840-JP-1は、自身が保有する筋肉部分や器官により、幾らかの運動能力を有するため、飛び跳ねたり、転がるといった行動を取ることがありますが、個々の行動の意図は不明です。SCP-840-JP-1と意思疎通を図る試みは継続中です。十分に養分を含んだ液体を、切断面に霧吹きで吹きかけることでSCP-840-JP-1の生存確率を上昇させることが出来ますが、多くの場合は数週間か数ヶ月以内に栄養失調で死亡してしまいます。実験といくつかの検証により、長期生存には高い湿度と適切な温度管理、異物の含まれない収容室等が必要になると結論づけられています。

回収記録: 神奈川県██市にある料理店「蠵龟饭店1」の店主が、行方不明事件の容疑者として調査を受けたことが切欠となり、財団のエージェントによって回収されました。当該料理店では"蠵龟"と称する珍味を用いた中華料理を提供しており、熱狂的なファンに支持され繁盛していました。しかし、カラスがゴミ箱を漁っているのを目撃した近隣住民が、当料理店の廃棄物に行方不明者の衣服や身分証明書の残骸が含まれていることに気が付いたことで、事態が明るみになりました。料理店の地下には多数のSCP-840-JP-1群を飼育するための施設があったと見られています。しかし、錯乱した当時の警察官の行動により、これらは焼失してしまっています。焼失した物品の中には、存命の行方不明者3人が含まれていました。その後、現場を引き継いだエージェントにより、店内から幾つかのSCP-840-JP-1実体が確保されました。回収当時の様子についてはインタビュー記録SCP-840-JP-████/██/██を参照してください。

逮捕状を携えた警察官が店内に踏み込んだ時、店主は地下室にて犠牲者を解体している最中でした。警察の追及に対し店主の丁█氏は"子供の頃よく食べていた蠵龟料理を他の人にも食べて貰いたかった"と供述しました。SCP-840-JPについては、中国河北省にある実家から持ってきた、以前は祖父が使用していたと述べるに留めています。丁氏の祖父は自身を宮廷料理人だと称していたそうですが、詳細はSCP-840-JPの製造者と共に、現在でも不明のままです。

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