SCP-842
評価: +5+x

アイテム番号: SCP-842

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-842はサイト-19の標準的な10m×10m×5mの収容セルに保管されます。電話線、無線通信、インターネット接続、その他SCP-842の使用を補助しうる通信手段は、サイト-19セキュリティの管理下にある中央サーバを経由してルーティングされなければなりません。メンテナンスは月に一度、監督者の指示があればそのつど行います。

財団の標準施錠ドア以上の警備体制は必要ありません。SCP-842の使用はクリアランスレベル4以上の研究者かO5職員の許可を得たMTF指揮官のみに限定されます。SCP-842を使用する少なくとも1週間前には手書きの使用申請書が提出されていなければなりません。

SCP-842に使用されるD-クラス職員は2名以上のレベル3セキュリティ職員に随伴されます。スペアのD-クラス職員が隣接する収容セル内に用意され、現地の医療スタッフにより使用の1日以上前に事前処置が施されます。SCP-842収容エリア内に立ち入るD-クラス職員は常に1人以下に制限されており(SCP-842上で使用中のD-クラスを除く)、4点ハーネスで拘束されていなければなりません。

説明: SCP-842は2m×0.8mの、遠隔俯瞰と監視を可能にするひどく古びた旧式手術台です。SCP-842は望むエリアの地形、建造物、物品、人物をSCP-842-1を使用して表示することができます。SCP-842-1は自身を変形させて対象エリアの形状にリアルタイムで擬態し、エリアで起きるあらゆる変化や情報の更新は速やかにSCP-842-1に反映されます。

SCP-842はその上に生きた人間が仰向けで寝そべるまでは異常な性質を示しません。仰向けに寝そべった対象は首から下が一切移動できなくなり、これ以降SCP-842-1に分類されます。SCP-842-1を手術台から取り除く試みは、それが生きている限り失敗します。

見たい場所を”思い浮かべ”ながら人間がSCP-842に触れる事で、遠隔監視が可能になります。活性化にはGPS座標、緯度と経度、目的地の直接的な知識、周辺の詳細な地図の内容などのうち1つまたは複数を思い浮かべる必要があります。SCP-842を起動した人間はSCP-842-1が死亡するまでの間、監視する場所を調節することができます。操作者が異なる場所やフロアを見たい場合、あるいは拡大縮小を行いたい場合も、”思う”だけで操作できます。

エリア内の物体は、SCP-842-1の肉体を瞬時に変形させることでSCP-842-1上に三次元的に再現されます。このプロセスの原理は解明されていません。素材としては筋肉と骨が主として用いられますが、時おり[データ削除]が使用されることもあります。操作者は物体や個人に対して文章での”タグ付け”を行うことができます。この文章は動脈と静脈を用いて表示されます。対象エリア内の音声はSCP-842-1の発声器官を利用してそのまま再現されます。ただしSCP-842-1はこの作用により自身が負うすべての外傷を認識できるため、音声分析はSCP-842-1の叫び声により妨害されます。

リアルタイムの更新を維持するためには、SCP-842-1の意識を保っておく必要があります。麻酔やロボトミー処置は再現イメージの正確性を大きく損なうため推奨されていません。特別に要請がない限り、使用するD-クラス職員の喉頭は医療スタッフによりあらかじめ除去されます。SCP-842-1の生存時間は、対象の健康状態、再現イメージの複雑さ、監視時に発生するイメージ更新の頻度、視点変更による大規模な構造変化の回数などに左右されますが、およそ15~20分ほどです。対象が死亡するとリアルタイム更新が途絶え、手術台から対象を取り除くことが可能になります。

使用済みの死体を解剖したところ、身体内外での大規模な損傷が確認されました。内臓は完全に圧縮、移動、[データ削除]されていました。筋肉や骨は元の身体構造が判断できなくなるほどに歪められていました。SCP-842-1がこの持続的な身体変形を生き抜き、即時のショック症状を起こさない理由は判明していません。

利用の際には、SCP-842の機能に限界があることに留意してください。厚さ15フィート以上の固体物質に埋もれた空間は表示することができません。また表示範囲を拡大すると、再現されるイメージはSCP-842の表示能力よりも操作者の知識および推測に依存するようになります。およそ10m×10mほどの範囲を表示する”近距離監視”では、ほぼ100%の再現性を示します。200m×200mほどの範囲を表示する中距離監視では、オブジェクトを示すミニチュアは標準範囲(10m以内)のものしか表示されません。範囲が200mを越える長距離監視では、再現イメージは地形と操作者の知識及び推測に基づくものに限定されます。さらに心霊作用や電磁干渉のあるエリアでは、SCP-842の再現イメージは極めて不正確になります。

SCP-842は”情報収集探索(fishing expedition)”のためには使用できません。探すべき場所や見つけるべき情報を操作者が正確に把握しているのでない限り、D-クラス職員の消費はリターンに見合わない高すぎるコストです。

回収ログ:
SCP-842は、カオス・インサージェンシーがウラル山脈に設置した臨時施設を██/█/█に襲撃した際に回収されました。███の放棄された町にインサージェンシーがベースキャンプを設営し、いくつかのSCPオブジェクトを運び込んでいるという密告を財団エージェントが入手していました。█名のエージェントと█人のD-クラス職員が死傷しました。この財団側の異常に多い死傷者数は、カオス・インサージェンシーの指揮官がSCP-842を防衛に用いたためであると推測されています。エージェント・[データ削除]のとっさの判断と非凡な勇敢さにより[データ削除]、オブジェクトは収容されました。

実験記録 SCP-842:
被験者: 終了済みのD-クラス職員の死体
表示したエリア: 隣の収容セル、D-457が椅子に座っている
結果: 変化無し。

被験者: 鎮静処理したPapio anubis(オリーブヒヒ)
表示したエリア: 隣の収容セル、D-457が椅子に座っている
結果: 変化無し。

被験者: D-458 - 重度の鎮静下
表示したエリア: 隣の収容セル、D-457が椅子に座っている
結果: 手術台に触れると、即座にD-458の手足が溶けるように胴体に飲み込まれ、骨と腱が胸部から突き出して大雑把にSCP-842収容区画を形作ったと███博士は記録している。大規模な外傷を受けているにもかかわらず、D-458はショックによる死亡も気絶も起こさなかった。血液や体液は漏出しなかった。隣の収容室の三次元イメージはひどく歪んでおり、細部の描写は確認できなかった。D-458は22分後に死亡した。死因は体内の大規模な損傷だった。

被験者: D-459
表示したエリア: 隣の収容セル、D-457が椅子に座っている
結果: 隣の収容室の三次元イメージがD-459の胸部から即座に突き出した。D-459は叫び始めた。警備員が口枷を持ってくるまでの間、D-459が絶叫の合間に「タバコが吸いてぇなあ」と呟いているのが確認された。イメージの再現度は極めて高く、同縮尺の[データ削除]製の椅子とD-457も見られた。実験中、D-457の再現イメージは椅子から立ち上がって監視エリア内を歩き回った。この時点でD-459の叫びはさらに強化された。D-459は22分後に死亡した。D-457の監視データと照合することで、D-459上のイメージはD-457の動作を完璧かつ正確に再現していたことが確かめられた。D-457によるタバコの要求も同様であった。

被験者: D-460
表示したエリア: ███博士が訪れたことのないスーパーマーケット。実験の前に、███博士は目的エリアの位置を地図で確認した。
結果: スーパーマーケットとその周囲の駐車場のイメージが再現された。店周辺の自動車と人間が[データ削除]製の小さな”ミニチュア”により再現された。屋根を外したいと███博士が考える事で、店内を確認することができた。スーパーの”屋根”を形作る肉と動脈は思考により素早く取り除かれた。███博士は青果コーナーを詳しく見たいと考えた。再現イメージはすぐさま青果コーナーへと再構築され、物品や行き交う人間を極めて詳細に描写した。被験者は7分後に死亡した。

被験者: D-461
表示したエリア: 北アメリカ内の財団施設すべて。███博士には財団の資材運用に関するO5レベルの情報は与えられなかった。
結果: 北アメリカの正確な再現イメージが形成された。マップ上にはサイト-19と███博士を示す目印(操作者は目印の近くの都市で███博士が休暇中である事を知っていた。)のみが現れた。ここで、エージェント・███が[編集済み]で任務中である事を操作者に伝えた。地図上にはエージェント・███を示す目印が追加された。

被験者: D-462
表示したエリア: サイト-19の█番ラボで真空中に固定してある炭素原子の原子核
結果: 手術台に触れると[データ削除]█名の死傷者を出し、清掃に2週間を要した。量子スケール及び恒星系スケールでの実験は無期限に禁止とする。

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