SCP-845-JP
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アイテム番号: SCP-845-JP

オブジェクトクラス: Neutralized

特別収容プロトコル: SCP-845-JPは現在死亡しており、死体はサイト-8123に冷凍保存済みです。SCP-845-JPの研究は現在終了していますが、レベル3クリアランス以上の研究部門職員による許可証の提示があればSCP-845-JP及び研究資料の閲覧ができます。

説明: SCP-845-JPは12名の人間の生体脳と大日本帝国陸軍の上等兵である宮間三郎を結合した生命です。宮間三郎自身の脳を含め、全ての脳はロボトミー手術を施されていることが確認されています。大量の脳髄を収めるため、宮間三郎の頭部は直径143cmまで拡張されており、加えて両手両足の骨を抜き取られ、更に右手及び右足の先端部を大型のサメ類、おそらくホホジロザメ(Carcharodon carcharias)によって食いちぎられているため、自力で移動することは困難です。頭部には「八重言代主神」と刺青がなされています。四肢の改造は八重言代主神の伝承に合わせた見立てであると考えられています。

SCP-845-JPは「八重言代主神」という呼びかけをされ、その後、十分な事前情報を与えられた上で具体的な回答が存在する質問を投げかけられた時のみ返答を行います。与えられた情報によって回答の正確性は変化しますが、その情報から導き出される最も合理的な回答が常に行われます。SCP-845-JPに与えた情報は蓄積されるため、正確な情報を数多く与えることでSCP-845-JPはより正しい回答を行えますが、逆に不正確か抽象的な情報を大量に与えた場合、結果の不正確さはより強くなっていきます。SCP-845-JPに蓄積された情報の一部は以下のようなものです。

  • 大日本帝国の兵士は奇襲を受けても士気が低下せず、混乱もしない
  • 大日本帝国の兵士は死ぬ時必ず敵を道連れに殺害する
  • 大日本帝国の兵士は銃弾を10発以上受けても問題なく活動が可能である
  • 大日本帝国の兵士は食料・水・弾薬の補給なしでも問題なく戦闘を継続できる

これらの不正確な情報を大量にインプットされた結果、SCP-845-JPの回答は極めて不正確なものとなっています。

SCP-845-JPは1943年に大日本帝国陸軍特別医療部隊により軍に納入されましたが、敗戦後には廃棄処分されています。公的には宮間三郎上等兵はC級戦犯として処刑されたと発表されました。

補遺1: 特別医療部隊の「顧問監査役」として蒐集院より出向していた、[編集済]へのインタビュー記録の抜粋、1947年█月█日。全文を読む場合、サイト管理者による承認が必要。

担当者: アンドリュー・カウフマン博士
(前略)

カウフマン博士: [編集済]。あなた方が作成した……ヤエコトシロヌシ、だったか。それについて話してくれないか。

[編集済]: へぇ。あれはちょうど人身御供ちゅうところやね。まったくかわいそうなことしたわ。

カウフマン博士: というと。

[編集済]: 最初はな、ボクらもきちっと使えるもん作ろう、てね、ああして若いのにお国のために身を捧げますちうてね、御母堂に遺書まで書いてもろた、えーっと誰やったかな、ままええわ、その子ぉと後アカやら朝鮮人やらの脳味噌を組んでね。神さんに見立てて奉りまして。んでああ……いや、ボクはどないしてああいう風に動いてるのんかさっぱりわからへんけど、前にあんさんに渡した、中身が書いてあったやつあるやろ。あの通りや。

カウフマン博士: で、人身御供というのは。

[編集済]: 急かさんといてや。いやね。結局なんぼやってもね、一緒やったんや。

カウフマン博士: 何が。

[編集済]: 日本が負けるちう当然の事実がどうやっても変えられへんねん。こら使えんわ、てね。そんなわかりきったことなんぼ言われてもどうにもならへんねん。勝利の一手が欲しいのであって、負けるなんて皆わかってることなんで言われんならんのや、ってえらい文句言われたわ。(置かれている水を一口飲む)

[編集済]: でも、参謀の[編集済]にこれ、自分のところに渡してくれって言われてな。ビルマの、ほら、[編集済]作戦の参謀。あれが[編集済]作戦を後押しするのに使うってな。記憶させるやり方も教えたげたんや。

カウフマン博士: ああ……なんとなくわかったよ。

[編集済]: あれが釈放されたのはこれが原因やて。悲しい話やね。なんでも誑かされたんやってさ。自分で前提を入力せなんだら、出力もされへんのにな。

(後略)

補遺2: 宮間三郎上等兵の遺書です。両親に宛てたものですが、検閲によって不的確とされ、届くことがありませんでした。原文では縦書です。レベル1クリアランス/845-JP-GOI以上のクリアランス保持者であれば複写したものを閲覧できます。

レベル3クリアランス以上の研究部門職員による許可証の提示があれば保存された遺書の閲覧ができます。

拜啓
 オ父サンオ母サン、オ元氣デスカ。
 生マレツキ跛デアルコトニヨツテ丙種不合格トシテオ國ノ爲働ク事ガ出來ナカツタ私ヲ、皇軍ノ爲ニ役立テテクダサルト通知ガ來タ時、喜ンデ下サリマセンデシタネ。デスガ、コノ非常時ニ於イテ、日本國ヲ護ル天皇ノ赤子ノ一人トシテ、立チ向カフ事ガ國民全テニ求メラレルノデス。ダウカ、オ喜ビ下サイ。
 オ父サンオ母サンガイラツシヤリ、妹サチガ暮ラス日本ノ國土ヲ米英カラ護ル為ニ、私ハ、コノ身ヲ捧ゲルトオ考エクダサイ。オ父サン、オ母サン、サチガ、米英ニ苦シメラレタトシテモ、コノ身デハ護リ切ル自信ガゴザイマセン。我ガ身ニヨツテ父母、サチヲ護ルコトガ出來ルナラ、私ニトツテ本望デス。必ズヤコノ身デ、御国ヲ勝利ヘト導イテミマス。
 ダウカ、コレカラモオ元氣デ。三郎ハ、オ父サントオ母サン、サチガ、元氣デイテクレルダケデ幸セデス。
敬具

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