SCP-847
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アイテム番号: SCP-847

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-847は改造された強化ヒト型生物封じ込めチャンバーに保管されます。対象の行動に関する研究が現在進行中であるため、室内にはベッド、化粧台、ソファ、テーブル、椅子、姿見、流し台、シャワー、トイレが整えられています。チャンバーの床には、遠隔操作で最低50キロボルトの電圧を通電可能な高さ1センチメートルの銅製の格子を設置してください。封じ込め下に職員が存在する状況でSCP-847を無力化する必要が生じた場合に備え、封じ込めチャンバーの右後方、50×50センチメートルの区画は銅線のない「セーフゾーン」として残されています。食事は提供すべきではありません。

SCP-847の担当職員は、全て定格30キロボルト以上の電気ショック警棒で武装しなければなりません。 XY染色体を持つと特定された男性のみがSCP-847に割り当てられ、その半径50メートル以内に進入することを許可されます1。実験847-G後の倫理委員会指令に基づき、半陰陽者、性転換者、性別不詳者の職員は、自身の安全と健康のためSCP-847に関する業務、取り扱い、接近が禁じられます。SCP-847に職員を割り当てる際は、女性に性的魅力を感じない男性を優先してください。

説明: SCP-847は人間女性型のマネキンで、高さ156センチメートル、重量27キログラムです。素材には人毛に加え、磁器と同様に摩耗、破砕する未知の繊維状ポリマーが用いられています。腹腔鏡を用いた体内の検査からは、同一のポリマーで作られた不完全な骨、臓器、主要血管に似た構造の存在が示されました。マネキンの目と損傷部位からは、プラスティネーションに用いる化合物に似た少量の黒い揮発性樹脂が漏出します。SCP-847は常に 通常はある程度損傷した状態にあり、胴体、頭部、四肢には破砕された部分が存在します(詳細は補遺847-Bを参照)。

SCP-847は生命を持ち、バランスを取るために震えながら不安定な硬い動きで移動します。SCP-847は近くの人間の遺伝的または社会的な性別に応じて異なる振る舞いを示します。これらの行動パターンはパターンX、Y、Zと分類されています。

パターンZは50メートル内に人間が存在しない場合に観察されます。この状況のSCP-847は99.5%の時間を不活性状態で過ごします。活性化時のSCP-847は手近な衣服を着用し、姿見が存在すればその前に立ち、着用した衣服を展示する姿勢を取って不活性状態に戻ります。SCP-847は若い女性向けにデザインされた露出の多い衣服を好みます。稀に、SCP-847は修復状況に応じて利用可能な指などの付属器官を用い、短いメッセージを近くの表面に刻みこむことがあります。収容下に入ってからのメッセージは補遺847-Cを参照してください。

パターンYは障害物の存在とは無関係に、半径50メートル内に男性被験者が存在し女性被験者が存在しない場合に発生します。行動の初期段階は甲高いすすり泣きのような喘ぎ2に始まり、姿勢はより煽情的なものへと変化します。この間には稀に身震いが観察されることもあります。初期段階の3から5分後にSCP-847は完全に活性化して第二段階の行動に入り、男性被験者に接近して背を曲げ、被験者の目を見上げるような姿勢を取ります。この間の発声はより頻繁で長いものとなります。この時点で、被験者はSCP-847を自由に改変し姿勢を変更することが可能です。姿勢を変更した場合、SCP-847は平衡を保てる限りその姿勢を維持します。パターンYの最終段階は全ての被験者がSCP-847の半径50メートルから去った際に発生します。SCP-847は自身の身体の特定部分の破砕、体内臓器の摘出を行います。破砕や摘出が完了すると、対象はすすり泣くような声を出しパターンZの行動に戻ります。

パターンXは障害物や男性被験者の存在とは無関係に、半径50メートル内に女性被験者が接近した場合に発生します。SCP-847は苦痛に満ちた唸り声や金切り声に似た音を発して直ちに活性化し、対象の女性を物理的に攻撃します。行動パターンX中にSCP-847の強靭さと運動速度は飛躍的に向上し、時速45キロメートルで走行し40キロニュートンの力を発揮することが測定されています。攻撃の間、SCP-847は自身の付属器官(通常は手または足の指)を破砕して鋭い刃を作成することがあります。さらに、その目、口、身体の破砕部分からはプラスティネーション樹脂が流出します。犠牲者の傷口に接触した樹脂は速やかに軟組織を硬化させ、その身体がSCP-847に類似したポリマーに変換されるまで拡散を続けます。プラスティネーションの後、SCP-847は自身の身体の損傷部位に対応した犠牲者の身体部位を回収し、樹脂によって自身の身体と融合させます。この過程では、全ての身体部位が修復されるわけではありません。回収完了後、SCP-847はパターンYまたはZの行動に戻ります。

SCP-847が生成する樹脂の異常なプラスティネーション作用は人間女性の軟組織と接触した際にのみ発生し、死体、ヒト以外の動物、男性の組織には作用を及ぼしません。高電圧(10キロボルト以上)に曝された樹脂は一時的に硬化するため、その時点での行動パターンにかかわらずSCP-847を5分程度不活性化することが可能です。

補遺847-A: 回収記録

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回収地点にて撮影された写真

SCP-847は1983年8月23日、連邦政府による人身売買の捜査中にネバダ州ラスベガスの放棄された██████デパートの地下から発見されました。発見時のSCP-847はビニール袋に包まれた非異常性の女性型マネキンに囲まれており、これらのマネキンは一部が壊れて解体された状態でした。現場のFBI捜査官はSCP-847の行動パターンYを目撃し、これを人身売買の被害者と考えて応援を呼びに戻りました。その後、SCP-847は行動パターンをXに切り替え、1名の捜査官を攻撃しました。捜査官はSCP-847をスタンガンで制圧し(高電圧が封じ込め手段として有効だと判明するきっかけとなりました)、地下から脱出しました。UIUはこの状況を通知されました。財団エージェントは通常のチャネルを介してこれと接触し、SCP-847を確保しました。人間の居住の徴候が残されていたにもかかわらず、人身売買の被害者は発見されませんでした。

補遺847-B: 破砕イベント記録

以下に注目すべき破砕イベントを示します。SCP-847の破砕と回収行動のために、財団の収容下に入ってからその外見は大きく変化しています。記録内の様々な補完段階の写真を参照してください。

日付: 1983年8月27日
イベントの概要: 研究員が封じ込め下を離れた後、SCP-847は胸部を破砕しました。
研究員のメモ: 封じ込めチャンバーへの初期配置中、██████研究員が「非現実的な体型」について口頭で言及していました。研究員は封じ込めチャンバー内でSCP-847に関するいかなる口頭での言及も避けることを推奨します。交換は1983年9月12日に行われました。

日付: 1984年5月14日
イベントの概要: D-8334が関与した実験847-Eの後、SCP-847は鼻を破砕しました。
研究員のメモ: 通常の実験手順に従い、封じ込めチャンバーを退出した被験者にSCP-847の破砕行動は通知されていません。以下の事後インタビューの一部を参照してください。

███博士: SCP-847の外観について何か特に気になった点はありますか?

D-8334: マネキンが生きて呼吸しているということ以外で、って意味か?そうだな、うーん、あの鼻は変な形だったな。鼻の穴ってのはこんな風に広がってるものだろ?あれじゃうまく隠れてないただの穴だ。

███博士: SCP-847の鼻に関して何か口に出しませんでしたか?

D-8334: いいや。あの女は誰かと話ができるもんじゃないだろ。口答えしたりはしないが、こっちの言うことも聞いてないからな。

交換は1984年10月20日に行われました。この交換の結論として、SCP-847の実験に女性のDクラス職員を用いることは倫理委員会指令により禁止されました。

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SCP-847。2010/7/4撮影。

日付: 1995年4月21日
イベントの概要: D-13928が関与した実験847-Jの後、SCP-847は全ての頭髪を引き千切り肝臓を摘出しました。
研究員のメモ: 以下の事後インタビューの一部を参照してください。

███████博士: SCP-847の頭髪について何かコメントしましたか?

D-13928: [笑う] 80年代は終わったんだ。ありゃほとんど70年代だぜ。そうだろ?

███████博士: 質問に答えてください。

D-13928: カメラに全部記録されてるだろ。ああ、別に何も言わなかったね。俺はあの本当に生きてる人形に超感動した。本当にいい女だった。だけど、あんなプラスチックとかの体じゃ飲みに連れてったりはできないと思うね。もちろん、俺はまだ刑務所の中だしな。

███████博士: そうですか。ありがとう、D-13928。これで終わりです。

D-13928: どういたしまして。いつかまたこんな実験をしたいもんだ。

頭髪は2013年7月13日、肝臓は2013年8月12日に交換されました。

日付: 2005年3月1日
イベントの概要: SCP-847はパターンZの行動中、全ての陰毛を引き千切りました。
研究員のメモ: これがパターンYと関連しない唯一の破砕イベントであることは注目すべきです。SCP-847はこの部位の交換を試みていません。

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2013年9月21日にジェンセン研究員のオフィスで撮影されたSCP-847。

日付: 2013年9月23日
イベントの概要: SCP-847は脳、目、鎖骨を摘出し、両手を破砕しました。
研究員のメモ: SCP-847はタイラー・ジェンセン研究員の監督下で完全に無傷な状態となりました3。SCP-847の能力を低下させることを意図し、性犯罪に関連した複数名の殺人で有罪判決を受けていたD-7294を用いた実験が承認されました。破砕イベントは45分継続し、SCP-847はその間にこれまで観察されたことのない金切り声を発し続けていました。以下は事後インタビューの一部です。

█████博士: D-7294、SCP-847に対するあなたの感想を述べてください。

D-7294: 魅力的だね。自分の立場ってものを分かってる。

█████博士: 詳しく説明してください。

D-7294: 泣き叫んだり、ひれ伏したりすることがどういう意味を持つか分かってるってことだ。ろくでもないやり方なのが残念だがな。

█████博士: それはどのような?

D-7294: あいつは命令に従わない。ああ。姿勢を変えたり辱めたりはできるが、めそめそ泣く以外に何もしちゃくれない。何か起こるか見ようと指をへし折ってみたが、何も反応しなかった。[沈黙] 皮肉なもんだよな。お前らは従順で、何も考えてなくて、どんな気紛れにも抵抗しないような女を見つけることを人生を通して夢見続けてるっていうのに、いざ見つけてみたらどうだ。あの女は何もできない役立たずのマネキンだ。

█████博士: ありがとう、D-7294。これで終わりです。警備員、D-7294を独房へ戻してください。

補遺847-C: メッセージの記録

以下の記録は、財団の収容下に入ってから現在までにSCP-847が記した全てのメッセージです。SCP-847との対話の試みは成功していません。SCP-847は発声時に単語を話すことはなく、職員による質問に対しては発声においても筆記においても応答していません。

1983年8月25日: 戻ってきて

1984年10月13日: もっとうまくやれる

1986年3月9日: あなたはどこにいるの

1988年5月18日: 王子様はどこ

1990年7月21日: 私は変われる

1996年10月5日: 私はあなたのもの

1998年2月12日: あなたは私のご主人様

2001年6月8日: 置いてかないで

2004年4月25日: あなたが望むなら何でもする

2009年4月15日: 1979-2009

2009年4月16日: 年を取りすぎた

2009年4月17日: あなたのためなら若返ることだってできる

2011年12月3日: 何が間違ってたの

2013年3月8日: 無価値でごめんなさい

2015年8月31日: パパ 私はいい子になるわ

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