SCP-850-JP
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SCP-850-JP。

アイテム番号: SCP-850-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-850-JPは、サイト-81██の低危険度食品保管ロッカーに███個が収容されています。実験を行いたい場合、レベル3以上の職員2名以上か、サイト管理官の許可を得てください。実験以外でのSCP-850-JPの摂食は禁止されています。未確保のSCP-850-JPが新たに発見された場合、カバーストーリー[異物混入]によりフロント企業経由での確保を行ってください。現在確保済のSCP-850-JP-1に対しては、標準人型オブジェクト管理プロトコルを適用してください。

説明: SCP-850-JPは、一般に流通する物と一見ほぼ変わりなく、成分にも問題のないカップ焼きそばです。██食品の「焼きそば████」にパッケージデザインが酷似していますが、製造元は明記されておらず、関連性は不明です。蓋に記載された食品名には「焼きそばノビール!」とあります。

SCP-850-JPに対して「湯を掛けた人間」(以下、SCP-850-JP-1と表記)がSCP-850-JPを摂食せず水分を吸収させ続けると、その水分の量に応じてSCP-850-JP-1の体長が伸長します。この特異性は放置から3分~10分の間では些細なものですが、10分を超えた段階で爆発的な伸長を発生させます。これらの伸長は全身に影響が及び、特に胴部の著しい伸長が観察されています。これによる体積の増加は確認されておらず、胴部は細く絞られるように伸びていきます。生存に全く問題は出ませんが、この変化は恒久的に残ると見られています。SCP-850-JP-1はこれに伴い身体の柔軟性が増しますが、この変化以外の特異性は見られません。

SCP-850-JPは20██/██/██発売と見られていますが、財団が回収した限り最低でも5000個以上の流通が確認されています。流通元の確認は取れていませんが、Dクラス職員による試食の結果「際立って美味である」ことが判明しており、この影響で一般において極端な特異性の発露が少なく、発見を妨げた原因になったのではないかと推測されています。

現在財団では█名のSCP-850-JP-1が確保されており、その内1名に対しインタビューを行いました。以下はインタビューの記録です。

SCP-850-JP-1-005 インタビュー記録

(当該のSCP-850-JP-1は100mほどに全身が伸長した21歳の成人男性。房内にて蜷局を巻くような形で収容されている。インタビューは念の為、外部から呼び掛ける形で行った)

██研究員: あー、██さん1。少しお話を伺いたいのですが、良いでしょうか。

SCP-850-JP-1: (無言)

██研究員: ██さん?

SCP-850-JP-1: なんだよ(鎌首をもたげる様に体を起こしながら)

██研究員: インタビューを行いたいのですが、よろしいでしょうか。

SCP-850-JP-1: 好きにしろよ。

██研究員: ありがとうございます。ではお聞きしますが、貴方がそうなったのはいつ頃でしょうか。

SCP-850-JP-1: (5秒間の沈黙)8月の27日。クソ暑かったからよく覚えてる。

██研究員: その日の貴方の行動を教えてください。

SCP-850-JP-1: どうもこうも。夏休み中だから暇してたよ。外に出るって気分でもなかったし、ゴロゴロしてた。

██研究員: なるほど。それで。

SCP-850-JP-1: (3秒間の沈黙)腹が空いたから飯食おうと思って、取っといたカップ焼きそばにお湯を入れた。んで、普通に待って、水を流そうとしたんだ。

██研究員: ふむ。

SCP-850-JP-1: そしたら蓋が外れて、わかるだろ? そのまま流れちまったんだよ。

██研究員: ですが、排水溝に流したのでは途中で引っ掛かるのでは?

SCP-850-JP-1: (少し間を置いて)台所の排水溝が詰まってたんだ。だから、便所に水を流そうとした。そしたら落っことしたから、そのまま流した。

██研究員: なるほど。

SCP-850-JP-1: もうテンションだだ下がり。ダルイから飯も食わず横になった。んで目が覚めたら(自嘲するように笑い)これだよ。笑っちまうだろ? ははは。

██研究員: その後は?

SCP-850-JP-1: そりゃもう必死だよ。まともに動くのなんて手足だけでさ。大汗掻きながらジタバタして、どうにか携帯拾って警察に電話した。体が重い訳じゃなかったのが救いだな。その後はあんたらも知っての通りだよ。

██研究員: わかりました。インタビューを終了します。ありがとうございました。

<ログ終了>

分析: SCP-850-JPが下水道に流れ、その途上大量の水分を吸収した結果、SCP-850-JP-1の体長が大きく伸長したと見られる。最終的に、SCP-850-JP-1の延長は132mで止まった。

Dクラス職員によるSCP-850-JPの実験が行われました。以下は実験のログです。

SCP-850-JP実験記録

実験日時 対象 内容 結果
20██/1/10 D-850-JP-1 SCP-850-JPに湯を入れさせ、1分放置。 特に何も発生せず。D-850-JP-1はSCP-850-JPに対し「硬い」と評している。SCP-850-JPは焼却処分済。
20██/1/20 D-850-JP-1 SCP-850-JPに湯を入れさせ、製品規定通り3分の経過の後試食。 問題なく完食。非常に美味であるとの感想。
20██/1/25 D-850-JP-1 SCP-850-JPに湯を入れさせ、5分放置。その後試食。 問題なく完食。伸びても気にならない程度の味わい、との感想。試食後の身体測定により、D-850-JP-1(以下被験者と表記)の体長が1cm伸長していることが確認された。
20██/2/1 D-850-JP-1 SCP-850-JPに湯を入れさせ、10分放置。その後試食。 問題なく完食。異様に薄味であるとの感想。被験者の体長が5cm伸長していることが確認された。
20██/2/15 D-850-JP-1 SCP-850-JPに湯を入れさせ、15分放置。 被験者の動揺により試食出来ず。10分経過直後、1分おきに3cm、4cm、5cm、6cm、7cmの伸長が確認された。実験に用いたSCP-850-JPは焼却処分したが、被験者に対する影響は無かった。あくまで「伸びる」ことにのみ特異性が現れる模様。被験者はこの後、SCP-███-JPによる実験にて終了済。 
20██/3/1 D-850-JP-2 SCP-850-JPに湯を入れさせ、薬剤で眠らせた後に30分放置。 被験者は問題なく伸長した。10分経過後、1分おきに7cmずつの伸長が見られたが、前実験と伸長のパターンが異なっていた。パッケージ内の水分が尽きたところで伸長は停止。最終的に体長は3mを超えた。被験者はこの後、SCP-███-JPによる実験にて終了済。
20██/3/10 D-850-JP-3 SCP-850-JPに湯を入れさせ、薬剤で眠らせた後に30分放置。加えて、SCP-850-JPに対し前記実験を超える水分の供給を試みた。 SCP-850-JPの████ℓに及ぶ水分の吸収を確認。被験者の体長は15分時点で20mを超え、25分前後で130mに達した。これと確保済みのSCP-850-JP-1個体の情報により、伸長の限界が130m前後と判明する。被験者は[編集済]にし焼却処分で終了。

補遺: 現在SCP-850-JPの流通は財団によりほぼ止められていますが、調査の結果、日本生類創研と関連があると見られる「日創製粉興業」の名が挙がっており、これに対し何らかの措置を予定しています。

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