SCP-859-JP
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アイテム番号: SCP-859-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-859-JPはサイト-81██の隔離棟収容室に収容されています。SCP-859-JPの周囲100m以内に椅子や座席の付いた乗り物は持ち込まず、決して「座る」といった行動をとらないように注意してください。SCP-859-JPの影響範囲内では転倒を防止するため、歩行器の装備が義務付けられます。SCP-859-JPは監視カメラで常に監視を行い、収容室内にSCP-859-JP-B以外の椅子の出現、および椅子の製図が出現した場合は速やかに回収し変化が行われる前にできうる限りの写真や電子文書の形で記録を保存してください。

回収された製図を使用した椅子の製作は禁止されています。

説明: SCP-859-JPは異常現象を発生させる、大量の回転椅子(SCP-859-JP-B)とその中に埋まっている人間(SCP-859-JP-A)の総称です。

SCP-859-JP-Aは30歳前後に見える日本人男性です。SCP-859-JP-Aは心臓の運動や呼吸などの主要なバイタルサインが停止しているのにもかかわらず、通常の人間と同様の血色と体温を保っています。SCP-859-JP-Aの体には不定期に裂傷や打撲・骨折などの負傷が現れます。その傷はいずれも何か固い物で殴られたような傷と表現され、時折傷の一部に木片や糸片が付着しています。現れた負傷は頸椎の骨折や内臓の露出・脳挫傷などの通常であれば致命傷となる負傷であっても、約10分ほどで完治します。これは外部から第三者によって付けられた傷であっても同様です。SCP-859-JP-Aは衣服の他には社員証のみを所持しており、大林家具に勤める倉上 ██という名の実在する人物であることが判明しています。

SCP-859-JP-Bは茶色のコットン生地が張られたキャスター付き回転椅子です。SCP-859-JP-Bを構成する素材やそのデザインは人間工学的観点から考えると決して椅子としての機能性が高いものでないのにも関わらず、その使用感は非常に心地良く全ての使用者によって「最高の椅子」と表現されます。また長時間の使用であっても腰痛・骨盤のゆがみ・急性肺血栓塞栓症などの症状が現れないことが判明しています。SCP-859-JP-Bの脚部分には麻縄・ガムテープ・ビニール紐などによってSCP-859-JP-Aや他のSCP-859-JP-Bの脚部と結び付けられています。

SCP-859-JP-Bおよび脚部分につながれた麻縄などの破壊の試みは失敗しています。しかし全てのSCP-859-JP-Bは不定期に損傷が加えられた形跡が出現し、最終的には破壊されます。現れる損傷は刃物による斬撃や鈍器による打撃を加えられたように見え、時折破壊されたSCP-859-JP-Bの破片に混じりSCP-859-JP-Aの血液や体組織が発見されます。しかしSCP-859-JP-Bの強度や使用した道具と損傷の度合いを考慮した場合、SCP-859-JP-Bを破壊する際の力は一般的な男性と比べ遥かに強いものであると推測されています。椅子としての機能が喪失するまで破壊されたSCP-859-JP-Bの残骸は一定時間で消失します。

破壊されたSCP-859-JP-Bの調査の結果、SCP-859-JP-Bのクッション内部にハツカネズミの幼体・人間の血液・生米・紙粘土・韮・その他5種類の一般的に入手可能な材料を用いた、近代魔術のペイガン魔術に沿った儀式に使用されるものと同様の特徴を持つ施術が施されており、それに関連した何らかの儀式が行われたことがこのオブジェクトに特殊な効果を与えているという仮説がたてられています

SCP-859-JPが発生させる異常現象は大きく二つに分類されます。

一つ目の異常現象はSCP-859-JP-Aの周囲に様々な種類の椅子を5分~720分の不定期な間隔で出現させることです。出現する椅子の材料・形態・使用目的などは定まっておらず、ときにはバランスボールやビーズ式のクッションなど通常は椅子と呼べないようなものが出現することもあります。出現した全ての椅子はSCP-859-JP-Bと同様に本来予想されるものよりもはるかに高い機能性を持ちます。一方で出現した椅子にはSCP-859-JP-Bには存在しない様々な異常な効果が観測されました。確認された限りその異常性は全て椅子としての機能性・利便性を強化するような異常性です。椅子が出現して約1時間程度経過すると、椅子に何か固いもので殴られたかのような損傷が発生し即座に椅子としての機能が消滅するまで破壊されます。その後破壊された椅子の残骸はその形を変化させ、複数のSCP-859-JP-Bへと変化します。

二つ目の異常性はSCP-859-JP-AおよびSCP-859-JP-Bの周囲100mに存在する一般的に人間が座ることを目的に制作された物品(椅子・座布団・サドル・西洋式便器など)が存在する場合、それらを約60秒かけてSCP-859-JP-Bへと変化させることです。車のシートなど道具の一部分のみが座席として使用する道具である場合は、その部分のみがSCP-859-JP-Bへと変化します。SCP-859-JP-Bへと変化する基準は、SCP-859-JP-Aの周囲に道具を持ち込んだ人間の意識により多少の変化があり、場合によっては段ボール箱や園芸用の岩、切り株など通常椅子として使われない道具もSCP-859-JP-Bへと変化する可能性もあります。過去の例では、とある職員がSCP-859-JP-Bの範囲内で転倒により収容室床に尻もちをついた際、収容施設全体がおよそ5000脚のSCP-859-JP-Bへと変化した事例も確認されています。

いずれの場合も、SCP-859-JP-Bへの変形が完了した時点でSCP-859-JP-Bの脚部は麻縄やガムテープ、ビニール紐などによってSCP-859-JP-Aや他のSCP-859-JP-Bとつながれた状態になります。またSCP-859-JP-Bの数が50脚を超えた場合、全てのSCP-859-JP-Bから原因不明の発火が発生します。このとき発生する炎はいかなる手段を持っても鎮火することができませんが、SCP-859-JP-Bの数が焼失により5脚以下になると消失します。この際SCP-859-JP-Bの周囲に存在する人間は年齢不明の女性の叫び声を認識することが可能です。

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