SCP-869-JP
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アイテム番号: SCP-869-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-869-JPが出現した場合、カバーストーリー"暴風域"を流布し、予測されるSCP-869-JPの経路から船舶を退避させてください。陸上からSCP-869-JPを目撃した一般市民に対しては可能な限りクラスA記憶処理薬を用いて記憶処理を行います。

後述のインシデント869-JP以降、SCP-869-JPに接近する人員はクリアランスレベル2以下に限定され、調査艇にはメトカーフ非実体反射力場発生装置と対霊体装備を整えた機動隊員が配備されます。

説明: SCP-869-JPは形而上概念と形而下の限定的な接合部として質量を持ち存在する一隻の大型クルーズ客船です。全長は約251mで、その外見と確認可能な船舶番号から、198█年に発生した海難事故で行方がわからくなっている"さんのぜ丸"との関連性が疑われています。

SCP-869-JPは約8ヵ月に1度の割合1で太平洋側から日本列島に接近し、日本列島沿岸を周回した後、太平洋側へと消失します。SCP-869-JPは日本領海外の太平洋上に出現していると考えられていますが、日本列島への接近経路から、出現地点は毎回異なっていると予想されており、日本列島への接近以前にSCP-869-JPを補足することは不可能です。

対象は一般的な光学機器などで問題なく撮影することができますが、レーダーや熱線映像装置では観測することができませんでした。なお、対象は周辺に発生する波の観測や接触実験から質量を持つことが判明しています。

SCP-869-JPは、外部からの影響によってはいかなる損傷も受けませんが、航行中徐々に錆や損傷2を増加させています。この損傷が増加する理由は現在調査中です。また、この損傷の増加に伴いSCP-869-JPは金属が擦れたり軋む際に発するような音を発生させます。

SCP-869-JPは航行中、周辺に薄い霧を発生させます。この霧そのものは一切の異常性を有しませんが、後述のインシデント-869-JPから、SCP-869-JPは霧の濃さを調整することができると予測されています。

SCP-869-JP上には多数の霊的存在が観測されます。これらの霊体はSCP-869-JPの航行中徐々に増加しているようです3が、SCP-869-JPの再出現時にその個体数はリセットされているようです。なお、SCP-869-JPを停止したり、SCP-869-JPに乗船したりしようという試みは全てSCP-869-JPの非実体化という結果に終わるために、霊的存在についての詳細な調査は成功していません。メトカーフ非実体反射力場発生装置を用いてSCP-869-JPの非実体化を阻止する試みもなされましたが、この試みは何ら効果を及ぼしませんでした。この結果により、SCP-869-JPそのものは霊的実体ではなく、形而上概念と形而下の接合部的役割を果たしているのではないかという推察がなされました。

 
インシデント869-JP: インシデント869-JPは、200█/8/15におけるSCP-869-JPの周辺調査中に発生しました。調査チームがSCP-869-JPに接近した際、複数の霊的存在が調査艇付近に出現4、調査の指揮に当たっていた██博士を捕縛し、SCP-869-JPの船上へ連れ去りました。その後、機動部隊による救出作戦が実施されましたが、SCP-869-JP周辺の霧が急激に濃くなる、SCP-869-JPが不規則な航路を取るなどの要因により失敗に終わりました。映像記録の検証の結果、██博士を直接捕縛した霊的存在の容貌は、それぞれ███研究員、D-███、D-███のものと高い一致を示しました。3人は、SCP-███-JPの実験時、██博士の注意欠落により発生した事故で死亡しています。SCP-869-JPの消失後周辺海域で██博士の捜索が実施されましたが、3ヶ月間の捜索にも関わらず██博士が発見されなかったため、捜索は中止されました。

 
追記1: 200█年、日本列島に接近するために日本領海外を航行中のSCP-869-JPが当時別の調査に当たっていた海上調査チームにより発見され、急遽調査が行われました。この調査で、SCP-869-JPが日本列島に十分に接近しない間は損傷の増加と軋み音は発生せず、SCP-869-JP上に霊的存在は存在しないことが明らかになりました。

 
追記2: インシデント-869-JP発生から9ヶ月後に、インシデント発生地点付近の[削除済]海岸に倒れている██博士が発見されました。発見時、██博士に外傷は見られず、栄養状態もほとんど問題ありませんでした。以下は、██博士に対するインタビュー記録です。

 

対象: ██博士

インタビュアー: 氷錦博士

<録音開始>

氷錦博士: SCP-869-JP上に誘拐直後の状況を教えてください。

██博士: まず、私を連れて行ったのは、███研究員、D-███、D-███でした。 ……ご存じでしょうが、私が殺したに等しい3人です。私は彼らにSCP-869-JPまで運ばれて、その後彼らと会話をしました。

氷錦博士: 危害は加えられなかったのですか?

██博士: はい。全くそのようなことはありませんでした。むしろ、彼らは私を……[沈黙10秒]

氷錦博士: 無理なようでしたら聴取の日を改めますが。

██博士: いえ、大丈夫です。……彼らは、私を許すと言ったんです。それどころか、感謝していると。財団という組織にあって、自分たちを1人の人間として扱ってくれた私に感謝していると言ったんです。そのあとは、他愛もない雑談をしましたね。

氷錦博士: 彼らがなぜあなたを連れ去ったかについては説明していましたか?

██博士: ええ。彼らは私が気を病んでいるだろうと考えて、ゆっくり話をして私を慰めようとしたのだと説明しました。事実、あの時私は非常に落ち込んでいましたから。

氷錦博士: その霊的存在は確実にその3人なのですか?

██博士: 確実、とは言い切れません。なにせ、一度死んでいるのですから。もしかすると、SCP-869-JPが見せた幻覚かも知れません。ですが、彼ら自身である可能性は非常に高いと思います。細かいしぐさなども一致していました。

氷錦博士: なるほど、周囲の様子はどうでしたか?

██博士: 他にも多くの霊的存在がいました。それ以外には特に変わったことはなかったと思います。ただ、操縦室を覗いてはみましたが、完全に無人で、誰かが操縦している風には見えませんでした。霊的存在たちの中には、えーと、[編集済]5もいました。もちろん、私は彼らとも会話を交わしました。その途中に、おそらく私の救助作戦が開始されたのだと思います。

氷錦博士: どうしてそのように思うのですか?

██博士: ヘリのプロペラの音が聞こえましたから。……恥ずかしいことですが、私はその音を聞いて、まだ帰りたくない、と思ったのです。そして、最後のあいさつも交わせなかった彼らと、もう少し話がしたい、そう願った直後、突然霧が濃くなりました。……あれはおそらく、SCP-869-JPが私の願いを叶えようとしてくれたのではないでしょうか。

氷錦博士: SCP-869-JPには意思があると?

██博士: 断言はできません。ですが、私はそう確信しています。SCP-869-JP上の霊的存在は、全て穏やかな表情をしていました。そして私も、幾分罪の意識が和らいだ気がします。これは完全に私の想像になりますが   SCP-869-JPは、私たちの心の傷を肩代わりしてくれているのではないでしょうか。例の事故からずっと、独りで彼らを送りながら……

氷錦博士: "彼らを送る"、とは?

██博士: あれ、無意識に言ってしまいました。特に深い意味はありません。航行しながら、という意味です。

氷錦博士: そうですか。それでは一旦インタビューを終了します。お疲れ様でした。

<録音終了>

終了報告: ██博士の発言は主観的感想が多く含まれる、非常に信憑性に乏しいものです。ただしこれらの発言がSCP-869-JPの性質解明、特に、どこから現れどこへ向かうのかを解明する手掛かりになる可能性はあります。SCP-869-JPが増え続ける損傷によって無力化されることを防ぐためにも、SCP-869-JPとの意思疎通を視野に含めた広範な調査を提案します。

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