SCP-881-JP
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アイテム番号: SCP-881-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-881-JPはサイト-8181にあるオブジェクト収容コンテナに収容されています。コンテナ内に設置された監視カメラを用いて収容の確認が行われますが、監視カメラの映像を研究員が閲覧することは許可されておらず、収容確認はコンピュータを用いて自動化されています。またサイト-8181において発生した事案を受け、現在SCP-881-JPの視認実験及びSCP-881-JP-1へのインタビューは全て禁止されています。

説明: SCP-881-JPは長さ15cm・直径3cmのプラスチック製円筒に紐がついた、いわゆるダイナマイトの外見を模した物体です。調査によりSCP-881-JPの円筒部について内部は空洞、外枠も一般的なプラスチックと同様であり、また導火線を模したとされる紐も実際の導火線ではなく麻紐であることが判明しています。

SCP-881-JPの異常性はこれを直接、あるいはカメラ等を通じて間接的に視認した人間(以下SCP-881-JP-1に指定)に対し発現します。SCP-881-JP-1はSCP-881-JPに対し極度の恐怖を示しパニック症状に陥ると共に周辺人物にSCP-881-JPの対処を懇願し、その後視認以前に保持していた語彙力及び問題解決能力の一部を喪失します。SCP-881-JP-1のパニック症状は時間とともに収まり、Bクラス記憶処理を施すことで問題解決能力の回復が、更にその後再学習を行うことで語彙力の回復が見られることも実験によって確認されています。

語彙力の喪失について、コミュニケーションを行う際に用いられる形容詞が全て「ヤバい」という1つの形容詞に集約されます。形容された物品がどのように「ヤバい」のか他者に詳細な意味を求められても「ヤバい」という形容詞のみが返答されます。次に問題解決能力の喪失について、ここでの問題解決能力とは「何らかの問題に対し、事前の知識や感覚から解決策を導き出す能力」を指します。この問題解決能力の喪失は視認時間と共に段階的に進み、その症状はおおよそ二つの段階に分けることができます。初期段階では前提知識や類似的な問題との接触経験がない問題に対し、何らかの解決策を提示する能力を喪失します。この段階では直感による解決策の導出が不可能になったと考えられ、所謂「勘が鈍る」といった状態に近くなります。この状態で更に視認を続けた場合SCP-881-JP-1は徐々に前提知識や類似的な問題との接触経験がある問題に対しても何らかの解決策を提示する能力を喪失し、この段階で推論による問題解決が不可能になったと考えられます。

SCP-881-JP-1は他者に止められるまでSCP-881-JPから視線を離すことができなくなり、この理由についてSCP-881-JP-1によると目を離した場合「ヤバい」ことになる可能性があるからと報告されています。この報告に加えてSCP-881-JP視認中に「助けを呼ぶ」という解決策を実行できていることから、問題解決能力の喪失は視認を中断した瞬間に発生するのではないかと考えられています。同様に語彙力の喪失は視認中断時に発生し、視認中の「ヤバい」という形容は被験者が感じる恐怖とパニック症状に起因するものではないかとの推測もありますが、語彙力の喪失に起因する「ヤバい」という形容と恐怖に起因する「ヤバい」という形容を言語的に分離することはできないためこの点については未だ確定していません。

SCP-881-JPは200█/██/██、██県██市の████幼稚園で発見されました。当初「教室でヤバい物が発見された」との通報を受けその説明の不可解さから警察に扮したエージェント██が調査、その後エージェント██から緊急の機動部隊出動要請が出され機動部隊が急行し、最初にオブジェクトを発見した機動部隊員がオブジェクトを目視した段階で異常性に曝露したため、視覚を通じて認識災害を与えるオブジェクトであることが判明しました。回収・収容された後関係者や児童とインタビューが行われましたが出現経緯については情報を得られず、オブジェクトの影響を受けた者にBクラス記憶処理を施した上でカバーストーリー「児童が拾った危険物の回収」を適用しました。

補遺1: 200█/██/██に実施されたインタビュー実験003,004が終了した4時間後、SCP-881-JPの研究担当職員を中心にサイト-8181研究職員のおよそ1/3において、SCP-881-JP-1に見られる「ヤバい」への語彙集約が確認されました。インタビューを直接行っていた██博士やインタビュー音声を確認していた研究担当職員が語彙集約に二次感染し、そこから更に広がったものと考えられます。

研究担当職員がこの伝染性に気づかなかった原因として、収容時に行われたエージェント・機動部隊員・その他曝露者との通信やインタビューを経て██博士が語彙集約を発症しなかったため、SCP-881-JP視認以外の精神影響の可能性が低いと判断されていたことが挙げられています。またこれらの語彙集約はSCP-881-JP-1(N次感染者を含む)の発話を聞いた人間に伝染することが確認されており、その後の実験で伝染に要する発話の時間は個々人で差があるものの、最短2分、最長でもおよそ2時間の発話を聞いた時点で感染することが報告されています。そのため多数のSCP-881-JP-1の発話を同時に耳にした場合感染までの時間が飛躍的に短縮され、このような突発的大規模感染が発生したと推測されます。

この語彙集約事案は████幼稚園に教諭として潜入し曝露者の語彙の再学習を任されていたエージェント██が██博士と連絡をとった際██博士の返答が支離滅裂であったことから発覚、即座にサイト管理者に報告され、サイト-8181における人員の出入り及び外部通信が完全に遮断されました。その後サイト管理者が作成した語彙力判定テストをサイト-8181の全職員に解かせ、異常を示した職員を対象にBクラス記憶処理と語彙の再学習を行った結果サイト-8181における事態は収束しました。更に200█/██/██にサイト-8181から出た職員、あるいはサイト-8181の職員と通信を行った外部職員にも同様の語彙力判定テストを実施しましたが、全員が異常性を示さなかったため外部への感染拡大は発生しなかったものと考えられています。

補遺2: 200█年以降、一部の若者に「ヤバい」という形容詞を多用する傾向が見られました。この傾向について調査したところ必ずしも全ての形容詞が「ヤバい」に集約されているわけではなく、上述事案で確認された語彙集約及びその伝染性が変質したものであるか否か、そもそもこの傾向とSCP-881-JPに関係があるか否かについては未だ不明ですが、もしこの傾向がSCP-881-JPに由来するものであった場合、語彙力及び問題解決能力の喪失に起因するAK-クラス:世界終焉シナリオが発生する可能性を有するため何らかの対策を講じる必要があり、現在まで具体的な対策が検討され続けています。

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