SCP-882-JP
評価: +43+x
bone.jpg

収容室にて職員と談笑するSCP-882-JP

アイテム番号: SCP-882-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-882-JPはサイト-8181の標準的人型収容施設にて収容されます。週に一度、精神科医による診断が行われ、必要に応じて投薬が行われます。

SCP-882-JPは制限エリア内にて、レベル0クリアランス/Eクラス職員と同じ軽作業業務に就き、同レベル職員と同額の給料が支給されます。収容室外に出る際、SCP-882-JPは専用に開発されたHAZMATスーツの着用が義務付けられます。会話は筆記か録音機を用いて行ってください。特に必要がない限り、SCP-882-JPは収容室内に拘留されますが、希望した場合は区域内で食事や買い物を行うことが出来ます。SCP-882-JPが何らかの希望があった場合は審議の後に許可・非許可を出し、その際に生じる費用はSCP-882-JPが負担します。SCP-882-JPが制限エリア外に出ることはサイト管理者の許可が必要です。

宗教信仰度テストにて一定値の数値を記録した職員が、SCP-882-JP担当になります。完全な無神論者及び特定の職員がSCP-882-JPの影響を受けた場合は、検査の後に適切な処置を行います。職員はSCP-882-JPを必要以上にオブジェクトとして扱わず、通常の職員と同様に扱うことを心掛けてください。

説明: SCP-882-JPは複数の神格的要素を保持した人型実体です。SCP-882-JPの外見は身長168cm程度の人間の骨格ですが、骨格における男性的特徴と女性的特徴が両者ともに現われている1ため、性別は不明です。英語・フランス語・日本語・アラビア語での会話・筆記が可能で、前者ほどより熟練度の高い会話・筆記が可能です。SCP-882-JPはその外見にも関わらず、通常の人間と同じように食物を消化・吸収することが可能ですが、排泄は行いません。摂取された食物は咀嚼された時点で消失しますが、食物を摂取したことによる満足感や、アルコール摂取による酩酊、薬品の投与による眠気など、精神的影響が確認されています。

SCP-882-JPを目撃または会話した人物(以降被験者)は、オブジェクトを”神聖なる存在”として認識し、それをトリガーとして各個人によって異なる異常性(異常性ごとにSCP-882-JP-AからIと分類)を発露します。SCP-882-JPを直接視認しない、SCP-882-JPの声を直接聞かないことにより、異常性の発露の可能性及び進行を大幅に削減することが可能です。異常性の進行はSCP-882-JPとの交流・該当宗教への高い信仰心により促進されます。信仰心に関しては現在調査中ですが、「それが宗教的要素を含むと知らないイベント」「宗教的要素を含むが、被験者が宗教的意義が低いと認識しているイベント」に参加することは信仰とは見做されないことが判明しています。特にクリスマスやバレンタイン等、商業的要素の大きくなったイベントは後者に該当するケースが多いです。

SCP-882-JPにより発露する異常性の一覧
分類 異常性 関連宗教 メモ
SCP-882-JP-A SCP-882-JPを漠然とした神として認識する。 不明 特定の宗教の神格ではなく、普遍的な”神”の存在としての特異性だと思われる。完全な無神論者以外、おおよそすべての人間が影響を受ける。
SCP-882-JP-B 肉体が機械に置換されていき、最終的に完全な機械の体へと変化する。 壊れた神の教会・歯車仕掛正教派と推測 マクスウェリズム教会信奉者に対しても、歯車仕掛正教派に対する嫌悪感や敵対心を無視して同様の影響が与えられる。
SCP-882-JP-C 「第五を見つけろ」「第五に目覚めよ」といった概念的な第五主義に傾倒するようになる。 第五教会 N/A
SCP-882-JP-D 曝露した人間は体内の腫瘍やガン細胞が肥大化する。多くの場合病状の進行や悪化により死亡するが、いくつかの例では生存し特異性を獲得する場合がある。 サーキック・カルト この特異性の影響を受けた職員は終了措置が取られる。
SCP-882-JP-E 曝露した人間は[編集済み]を可能とする異常性を獲得し、それを行使することに躊躇わない。 密阿羅漢派 本来の密阿羅漢派の教義とは一致しない特異性である。インタビュー記録を参照。
SCP-882-JP-F [編集済み]。暴露した人間は異常性発現後、5分以内に死亡する。 [編集済み] この異常性の発見後、意図的に異常性を発露させる実験は中止された
SCP-882-JP-G 対象はタイプブルー系統の能力を身につけ、その場から消失する。対象からの手紙が送られてきた点から、生存はしている模様 不明・道教系と推測される 消失した職員が、中国にて確認されたとの情報あり。現在確認中
SCP-882-JP-H 極端な信仰心の向上。自身の信仰する宗派以外の信仰を徹底的に否定するようになる。 不明・アブラハム系統の宗教を始めとする、過去に他宗教・宗派への弾圧を行った宗教に多く見られる。 N/A
SCP-882-JP-I 暴露者はSCP-882-JPを消滅させなければならないと確信し、それを実行に移そうとする 不明 SCP-882-JPの独自の神格と推測。無力化が協議されている。

被験者の異常性の進行速度や発現する能力の規模・種類には個体差があります。現在の研究では、曝露前の被験者の宗教的敬虔さや思想との関連性は低いと考えられています。狂信的な信仰を持った被験者が、信奉する宗教とは無関係な宗教と関連を持つ異常性を発露するケースも度々確認されており、別途関連性のある事象がないか研究が進められています。本人が本来信仰していた宗教とは別に宗教に関連する異常性が発現した場合、被験者は混乱を示しつつも異常性を受け入れ、関連宗教への改宗を行うこともあります。

SCP-882-JPは、日本の[編集済み]にて起きたカルト教団によるテロ事件の際に発見されました。SCP-882-JPの証言から、教団教祖はSCP-882-JPと共に生活を送っており、長期間SCP-882-JPと接触したことにより異常性に暴露したと考えられます。

SCP-882-JPの証言によれば、対象は元々は人間であり、様々な宗教を信仰してはその信仰を破棄あるいは破門される生活を繰り返していたとのことでした。SCP-882-JPの身元は、SCP-882-JP自身が人間であった頃の記憶をほぼ喪失していることと、各要注意団体に所属していた時期があることなどから判明していません。

現在、SCP-882-JPの精神状態は非常に不安定な状態にあります。財団の精神医の診断では解離性同一性障害に近い、非常に不安定な精神状態になっているとの診断が下されています。複数の異常性を獲得した点と回収の原因となったカルト宗教の存在から、SCP-882-JP独自の宗教観から生み出された神格が既に存在する可能性を否定できません。
現在、SCP-882-JPには解離性同一性障害に対する治療法を基に、「SCP-882-JPが人間である」ことを重視した生活を送らせています。これは新たな神格による異常性の出現を防ぐとともに、SCP-882-JPが神格的存在として異常性を獲得することを防止し、解離性同一性障害の解消による異常性の縮小(一部に関しては無力化も視野に入れている)することを目的としています。

インタビュー記録882-JP-A - 20██/██/██

対象: SCP-882-JP

インタビュアー: ジーン博士

付記: インタビューは録音機器を使用して行われた。

<録音開始>

ジーン博士: やぁ、SCP-882-JP。調子はどうだい?

SCP-882-JP: ……まあまあかな。この部屋にはまだ慣れないけど、天井につりさげられるよりはマシだよ。

ジーン博士: そうか。少し質問したいことがあるんだがいいかな? 君の過去のことだ。

SCP-882-JP: それは前にすでに話したと思うけど?

ジーン博士: 確かに、君が世話になった神父がおかしくなって、君が確保されるまでのことはね。今日はそれ以前……君が人間だったころから骸骨になってしまうまでことを教えてほしい。

SCP-882-JP: ………ああ、そのことか。すまない、この姿になる前のことはどうも他人の出来事のように感じてしまうんだ。主観的な部分に関しては自信がないが、それでも?

ジーン博士: 構わない。

SCP-882-JP: えっと、過去の私……男か女かはわからないが、彼は不安を抱いていた。

ジーン博士: 不安? 具体的には?

SCP-882-JP: さぁ? その悩みはいろんな団体で……あー、”進化”とか”解脱”とかした時に離れてしまっていったから、あんまり覚えていない。とにかく、その悩みを解決するのに宗教に頼ったんだ。そしてその悩みを解決すると同時に僕は”進化”を果たしたんだ、中途半端にね。

ジーン博士: 中途半端とは、どう意味だい?

SCP-882-JP: そのままだよ。”進化”したのは私の一部だけだった。悩みと体の一部を離れたが、そこには”進化”できなかった未熟者が残された。そして糾弾される。お前は教えを理解していないと、お前のようなものが存在してはならないと。機械の神を信仰した時は、肉体が機械に変わるのではなくデジタルの海に流れた。歯車のやつらは俺を追い出した。肉の神の時は皮だけがどこへ行った。皮が俺を食おうとしたから必死に逃げた。第五の時は朝起きたら目玉が星になっていた。起きた時、仲間はもういなかった。そうやって特異な能力が普通にある宗教を渡り歩いては中途半端に”進化”し、追い出されていった。しまいには、キリストやイスラムなんかの普通の教えでも”進化”するようになってしまった。

ジーン博士: 普通の、つまり一般で認知されているような宗教で”進化”し始めたのは、いつ頃?

SCP-882-JP: ……それもわからない。救いを求めて、修行に励み、そして”進化”を果たす。だが、進化したのは俺の一部だけで、残り香の俺は新たな救いを求めてまた教えを求める。教えを求めなくなったのも、いつかわからないな。

ジーン博士: ………教えを求める前の、人間であった時の記憶はないのかい?

SCP-882-JP: 漠然としたものは残っている。でもそれは既に俺から抜け落ちてしまったものだ。俺の一部がより上位の存在へと進化していくときに持って行ってしまった。

SCP-882-JP: なぁ先生、教えてくれよ。あいつの御大層な叡智はデジタルの海に流れた。祝福されし肉はヒトの限界を超えて好きにやっていくだろう。ソウルは煙になって星々の仲間入りをした。…じゃあ、後に残されたこの骸骨は、俺は、いったい何なんだ。

<録音終了>

特に指定がない限り、このサイトのすべてのコンテンツはクリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス の元で利用可能です。