SCP-893-JP
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左手前からSCP-893-JP、SCP-893-JP-1、SCP-893-JP-2(牛ロース)。

アイテム番号: SCP-893-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-893-JPの実験用サンプルはサイト-8181の低危険物収容ロッカーに収容されています。実験用サンプルはロッカーに設置された専用小型冷蔵庫に真空パック3袋分保管され、新たに回収されたサンプルについてその余剰分は焼却処分されます。
新たに発生したSCP-893-JPについてはその発生店舗に規則性がないため、全国の焼肉提供店舗に財団職員が1名以上潜入し、新たに発生したSCP-893-JPの対処に当たります。潜入した職員は店舗内で薬味用のネギがその場で刻まれる、あるいはパック等から用意される際その一部を使い牛タンあるいは豚タンを試食し、自身の舌の形状が事前に用意した自身の舌の写真と異なっているか鏡を用いて確認します。異なっている場合直ちに財団へ報告した上でそのネギ及びSCP-893-JPを回収することが義務付けられています。この報告を受けた場合担当研究員は医療スタッフ及び代わりの潜入職員を該当店舗に派遣してください。
万が一SCP-893-JPが客に提供され事件が発生した場合も、潜入職員は財団への報告を行ってください。この場合異常に曝された客は医療スタッフによって財団が管理する救急病院へと直ちに搬送され、胃の内容物を全て除去することになります。また店舗に居合わせた客については全員にBクラス記憶処理を行い、カバーストーリー"腹痛による救急搬送"を適用してください。

説明: SCP-893-JPは一般の焼肉提供店舗で薬味として提供される刻みネギと同様の外見を持つ物体です。試食実験において食感や味について一般の刻みネギと差異はないとされ、また成分分析においても青ネギもしくは小ネギと同様の成分であることが判明したため、下記の特異性以外は一般のネギと同様であると考えられます。

SCP-893-JPの特異性は薬味として用いられた際に発現します。まずSCP-893-JPを投入した"タレ"はSCP-893-JP-1へと変化します。この"タレ"は焼肉を食すために用いられる液体全般を指し、一般に提供される焼肉ダレの他にレモン汁、味噌ダレ、塩ダレなどが該当します。次にSCP-893-JP-1につけられた焼肉はSCP-893-JP-2に変化し、これを食べた人物はSCP-893-JP-2と同じ部位1を、SCP-893-JP-2の重量と同量分喪失します。喪失部分及びその周辺部分は最も自然な形、つまり最初から喪失部分は存在しなかったかのように肉体が再構成され、喪失した本人もSCP-893-JP-2を食べた段階では喪失の事実に気づきません。また牛のミノ、ハチノス、センマイ、ギアラ2のように、食された焼肉の部位に対しヒトの肉体が正確に対応する部位を持ち合わせていない場合、最も適当な部位3が喪失部位として選定され、焼肉以外の物品をSCP-893-JP-1につけて食した場合喪失現象は発生しません。喪失部位については口腔を通じてSCP-893-JP-2を人体から取り除くことで復元されますが、消化され排泄された場合は喪失されたままになります。

SCP-893-JPの元となるネギについて、青ネギ及び小ネギがSCP-893-JPの元となることが現在確認されています。これらは刻まれていない場合また焼肉提供店舗外で刻まれた場合その特異性を発現しないことが実験で確認されており、"焼肉提供店舗"で"薬味として刻まれた"時に一定の確率でその特異性を持つと考えられます。焼肉提供店舗外で刻まれたネギについて特異性が残存するケースが確認されました。詳しくは補遺1を参照してください。先述した通り一般の刻みネギとSCP-893-JPを外見的に見分けることができず、客への提供前に見分ける手段が実際に食べて特異性が発現するか確かめる以外に方法が見つかっていないため、特別収容プロトコルは現在の形に制定されました。

また人体部位の喪失は外見的に判断することが難しく、喪失に気づかないまま多量のSCP-893-JP-2、あるいは内臓部位が変化したSCP-893-JP-2を食べた場合人体に重大な影響が及ぶと考えられます。万が一SCP-893-JPが客に提供され喪失現象が発生した場合、喪失者に同席している客及び潜入職員が即座に感知できるために、可視的な人体部位のうち顕著な呂律の変化といった形で喪失の確認が最も容易な舌部が一番最初に喪失されるよう、プロトコル"唸る舌"に基づき「牛タン・豚タンを一番最初に食べるのが焼肉の基本である」という情報の流布を財団主導で行いました。現在のところこのプロトコルは一定の成功を収めていますが、最初に食べる部位が新たな部位に取って代わられないよう今後も継続的に実行される必要があります。

なお刻みネギを薬味として提供していなかった焼肉提供店舗においても、SCP-893-JPの出現が確認されています。この場合従業員の手を介さず客のテーブル上にSCP-893-JPが適切な器と共に突如出現することが確認されているため、潜入職員がSCP-893-JPの出現を感知できず客の人体喪失事件が発生する恐れがあります。現在まで刻みネギを薬味として提供している焼肉提供店舗で同様の現象は確認されていないため、全国の焼肉提供店舗に刻みネギの提供を控えるよう要請する試みは現在凍結されています。

一方プロトコル"唸る舌"の成功を踏まえ、「焼肉に刻みネギの薬味は合わない」という情報を流布しSCP-893-JPの脅威を抑える試みがなされましたが、この試みは現在までのところ失敗に終わっています。薬味としてネギを使用するという一般的な認識に対し真逆の情報の流布を試みた結果、情報の拡散浸透が想定より進まなかったことが失敗の原因と考えられます。そのため現在は薬味における刻みネギの直接的排除ではなく、刻みネギに取って代わる新たな焼肉用薬味の開発及びその薬味を浸透させるための情報流布の手法が研究されています。現在白ネギ・芽ネギ・野沢菜・柚子を軸とした焼肉用薬味の開発が行われていますが、白ネギ・芽ネギについてはこれらに対応するSCP-893-JPが新たに発生するか否かについても同時に研究がなされています。

SCP-893-JPは19██/██/██、██県███市の焼肉店"██████"で舌部喪失事件が発生し、偶然その場に居合わせたエージェントによって発見されました。事件発生時SCP-893-JP-2を食した4名グループのうち2名が舌部を喪失しており、それに気付いた残りの2人が騒いだことでエージェントが事件を察知、事件の異常性に気づいたエージェントの要請で焼肉店が警察に扮した財団によって抑えられ、原因究明中にSCP-893-JPを発見したとされています。なお舌部を喪失した2名を含むグループ4名については、SCP-893-JP-2と化したカルビ、ハラミ、レバー等をそれぞれおよそ1人前ずつ既に食べており、これら全てを消化前に胃から除去したことで全員の喪失部位の復元が確認されました。当初はSCP-893-JPの発生がこの焼肉店に限られると考えられていましたが、同様の事件が他の焼肉提供店舗でも発生したため、現在の特別収容プロトコルのように財団職員が全国の焼肉提供店舗に潜入するという方針が取られました。特別収容プロトコルが現在の形となって以降、SCP-893-JPが客に提供されるという事件は財団が感知している限りでは発生していませんが、SCP-893-JPは潜入職員によって計████回発見されています。

以下の音声記録は██博士立ち会いのもと、新たな薬味の試食評価及びSCP-893-JP-2と化した内臓部位の摂取による影響評価のため実施された実験002の録音音声を文字に起こしたものです

補遺1: 焼肉提供店舗内で刻んだ部分がSCP-893-JPとなったネギの残りの部分(以下SCP-893-JP-aとする)について、焼肉提供店舗外で刻んだ後に店舗へ持ち込んだところSCP-893-JPとしての特異性を発揮することが確認されました。この事実に基づき、SCP-893-JP-aを焼肉提供店舗外で刻み、通常の刻みネギが入った真空パックに均等に分け全てのパックを店舗に持ち込むという実験を行いました。その結果全てのパックについて内容物の増減が見られ、一部のパックについて中の刻みネギが全てSCP-893-JPとしての特異性を発揮し、残りのパックの全ての刻みネギは特異性を発揮しませんでした。特異性を発揮したSCP-893-JPの総重量はSCP-893-JP-aの重量と一致したため、パック毎に分けられていたSCP-893-JPが通常の刻みネギと転移し一部のパックにまとまったと考えられます。現在この転移プロセスについて、刻みネギを提供しない店舗でSCP-893-JPが出現する事実と合わせて調査が行われています。

補遺2: 近年一人で焼肉店に来店する客が増加傾向にあると各地の潜入職員から報告されています。先の事例からも分かる通りSCP-893-JP-2を食べた本人は喪失現象に気づくことができず、SCP-893-JPが万が一提供されてしまった場合、提供先が多人数で来店したグループ客であれば舌を喪失した人物の呂律の回らなさから事案が容易に発覚しますが、提供先が一人で来店した客であると潜入職員が提供事案そのものを感知できない可能性があります。先述の情報流布と同様に一人焼肉の意欲を削ぐような情報を現在展開していますが、情報展開を行った201█年以降も増加傾向は収まる兆候を見せていません。もしもそのような一人客が来店した場合、潜入職員が積極的に注文を取り、その様子を注意深く観察する必要があります。

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