SCP-895-JP
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非活性状態のSCP-895-JP。視認可能な動物は確認できない。

アイテム番号: SCP-895-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-895-JPはサイト-81██に用意された専用の低危険物収容ロッカーの内部に保管し、SCP-895-JPを中心とした半径3m以内の範囲には侵入しないでください。実験を行うにあたって、SCP-895-JPを移動させる場合は無人機を使用してください。

説明: SCP-895-JPは、直径15cm、深さ4.5cmの碗に盛られたゼニゴケ(Marchantia polymorpha)の雌株の盆栽です。SCP-895-JPは基本的に水分の補給を必要としていませんが、DNA構造などは通常のゼニゴケと相違ないことが判明しています。

SCP-895-JPは通常非活性状態にありますが、人間がSCP-895-JPを中心とした半径3m以内の範囲に侵入した場合、SCP-895-JPは活性化状態に移行します。SCP-895-JPが活性化した際に範囲内に存在していた人間(以降被験者と表記)は生命活動および反射以外の一切の活動を停止します。これまでの実験では最大██人の被験者が活動を停止させており、この効果を受ける人間の上限数は現時点では不明となっています。この状態は平均して6時間24分の間継続し、その後SCP-895-JPは不活性化し被験者は解放されます。また、無人機によって動かない被験者を範囲外へ連れ出した場合には被験者は硬直からは解放されませんでした。

SCP-895-JPの活性化状態の最中、被験者の視点はSCP-895-JPの中心地点から外側を向くように瞬時に移動します。この時被験者は自分の意思で視界を動かすことができず、「小型の別の生命体に自分の視点が移動した」と認識します。被験者の証言よりこの生命体は視認可能な程度の大きさであると推測されますが、非活性状態にあるSCP-895-JPにはゼニゴケおよび細菌類以外の生命体の存在は確認されておらず、活性化状態のSCP-895-JPを遠隔地から確認した場合でもそれらしき生命体は確認できませんでした。

視点の移動から20秒後、被験者の視界は被験者の方向を向きます。その後、視界は被験者に向かって直線距離の移動を開始します。被験者の証言より再現された被験者の視界が辿るルートは全ての場合において、アクリル板などの障害物は透過するものの重力の影響は受けていると推測されるものとなっていました。

その後被験者の視界は被験者の下まで辿り着くと、人体を這い上がるようにして上昇し該当する人物の口または鼻腔から体内へと侵入します。この際、光源が存在しないにもかかわらず被験者は自身の体内の様子を視認することが可能ですが、その仕組みは明らかとなっていません。その後消化器系の内部をおよそ5時間で巡り、肛門から排出されるとSCP-895-JPの活性化は終了し、被験者の視界は元に戻ります。

SCP-895-JPは、2016/██/██に京都府██市で行われた蚤の市において、「ある店の前で人間が比喩でなく止まっている」との通報が警察になされたことにより財団に関知されました。潜入していたエージェントが現場に到着したところ、██名の民間人がSCP-895-JPの影響を受けており、店主にあたる人物は不在となっていました。その場にいた蚤の市の参加者、当日蚤の市に足を運んでいたと思われる人物にはクラスA記憶処理、影響を受けた██名にはクラスB記憶処理を施しました。なお、同店から回収されたSCP-895-JP以外の商品からは異常性が検出されませんでした。

補遺: 2017/01/31に行われた実験において、被験者となったD-895-18が2時間23分という異例の速さでSCP-895-JPの異常性から解放されました。以下のインタビュー記録はその際に行われたものです。

インタビュー記録895-██

対象: D-895-18
インタビュアー: 嬉野博士

<録音開始>

嬉野博士: お疲れ様です、D-895-18。

D-895-18: ああ。……なんとなく分かってるよ先生。俺が何を見たかが聞きたいんだろう?

嬉野博士: はい、その通りです。今回の結果はSCP-895-JPを研究する上で非常に有意なものとなり得ます。詳細に教えていただけますか?

D-895-18: そうだな。俺があのよくわからん盆栽に近付くと、体が動かなくなって、視界が盆栽の中に飛んだ。視界も自分で動かせない、というか途中から勝手に動き出したから、俺は俺の目を奪われたような感じがした。ここまでは大丈夫か?

嬉野博士: はい。これまでの実験の被験者の証言と一致しています。

D-895-18: そうか。その後俺の目を奪ったクソな何かは、俺を見つけるとまっすぐににじり寄ってきた。俺が巨人みたいに見えたから、奴はかなり小さいんだろうな。で、俺の体を這い上がってきて、空いてた口から入り込んできた。その後に喉の奥に入ってきたんだが、不思議と吐きそうにはならなかった。……ここまでは?

嬉野博士: 通常の進行です。

D-895-18: そうか、ならここからなんだろうな。……奴は喉からまっすぐ食道を通って、胃についた。そこで俺は見たんだ。俺の胃から血が出てた。穴みたいなのが空いてた。口内炎みたいな白いのも見えた。……俺はこの間から腹が痛かったんだ。あんたらの仲間から痛み止めももらってる。記録はどうせ残ってるだろ?

嬉野博士: (D-895-18に関する記録を確認する)……確かに痛み止めが供給されていますね。しかし話を聞く限り、あなたは恐らくは胃潰瘍だったと思われます。痛みは酷かったはずですが、なぜ検査を受けなかったのですか。

D-895-18: 別に。あのくらいの痛みならこっちに来る前にも何度かあったからな。単なる腹痛だと思ってたのさ。それにほら、そろそろ定期の検査だろ?何かありゃその時に分かると思ったんだ。

嬉野博士: そうですか。……それではその後は何が起こったのですか?

D-895-18: よくは分からねえ。俺の目を奪った奴がそれに近付いていったと思ったら、なんだろうな、メリメリと埋まっていった……んだと思う。胃に空いた穴を埋める感じだ、そんなに大きくないはずなのに。しかも顔から。……それで、気が付いたら普通な感じで目が見えるようになって、体も動かせるようになったんだ。それで今に至る。……そうだ先生、検査を受けさせてくれよ。すげえ気持ち悪い。腹が、痛くないんだ。

<録音終了>

終了報告書: インタビュー終了後、D-895-18に対し胃カメラを使用した検査を行ったところ、D-895-18の証言した胃潰瘍は発見されませんでした。しかしその後に行われた血液検査において、D-895-18の血液の内部にゼニゴケの雄株らしき構造物が混入していることが明らかになりました。現在、D-895-18をSCP-895-JP-1として分類するか、D-895-18を用いた実験を再度行うかを協議中です。

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