SCP-897-JP
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アイテム番号: SCP-897-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-897-JPは専用の収容庫において施錠した収容装置内に1000枚以上のレポート用紙と共に収容してください。レポート用紙の残数が不足した場合は非活性状態であることを確認したうえで、創作経験のないDクラス職員によって補充を行ってください。SCP-897-JP研究に携わる職員は過去に何らかの創作活動を行った経験が無い職員に限定してください。上記の条件を満たさない職員はSCP-897-JPの周囲100m以内への侵入を禁止します。

説明: SCP-897-JPはSCP-897-JP-1、SCP-897-JP-2からなるオブジェクトです。

SCP-897-JP-1は、黒檀の軸と金のペン先からなる万年筆です。同様のデザインのものは現在まで発見されておらず、オーダーメイド、あるいは個人の作であると考えられていますが製造元は発見されていません。SCP-897-JP-1へはSCP-897-JP-2を通してのみインクの充填が可能です。

SCP-897-JP-2は万年筆用インクが注入されている一辺30cmの立方体であり、内部には人間の脳が沈殿しています。この脳の起源はSCP-897-JPが破壊不可能であるという特性から現在時点で特定に至っていません、また、電気信号等にも反応を示さないため、現在時点での交信は下記の方法以外不可能です。SCP-897-JP-2上部には、SCP-897-JP-1へインクを充填するための装置が設置されています。SCP-897-JP-2は本体、装置共にガラスに似た性質を持つ未知の素材で構成されており、また、本体、装置共に現在時点で破損、破壊は不可能であることが判明しています。

SCP-897-JPはSCP-897-JP-1に対しSCP-897-JP-2内のインクを充填した場合に活性化します。活性時、SCP-897-JP-1は周囲の筆記可能な物体に対して自律的に筆記を開始します。SCP-897-JP-1は活性時に筆記可能な物体が周囲に存在しない場合は破壊行動を含んだ捜索を行います。この捜索範囲は1km以上に及び、SCP-897-JP-1の移動と共にSCP-897-JP-2も移動することが確認されています。この移動はわずかに浮遊することによって行われることが判明していますが、原理は解明されていません。

SCP-897-JP-1は内部に存在するインクが無くなると非活性状態に移行します。非活性状態でSCP-897-JP-1へ24時間以上インクが供給されない場合、SCP-897-JP-1は自律的にSCP-897-JP-2の装置に接続し、SCP-897-JP-2内部のインクを補充することで活性状態に移行します。

筆記内容は文章に限定されていることが確認されており、挿絵等は現在時点で確認されていません。SCP-897-JPが記述する文章は、様々なジャンルの物語に限定されており、現在時点で論説文、随筆、マニュアル等の文章は記述されておらず、各物語に共通性は見られません。これらの筆記行為を阻害した場合、SCP-897-JP-1は殴打、刺突などの方法をもって阻害対象に対する攻撃を行います。この攻撃は阻害行動を終了した場合でも停止せず、対象の死亡、あるいはSCP-897-JPの周囲100m外に脱出するまで継続されます。攻撃時、SCP-897-JP-1の破損は確認されていません。

SCP-897-JP-1が筆記している物体に文章を書きこむことでSCP-897-JPとの会話が限定的に可能です。ただし、SCP-897-JPからの文章は多くが会話文を書いた対象に攻撃的な文章です。

SCP-897-JP会話記録(抜粋)

インタビュアー:護良研究員

«記録開始»

護良研究員: 貴方は誰ですか?

SCP-897-JP: 「つまり、お前は神という…、誰だよ、邪魔すんな

護良研究員: もう一度質問をします、貴方は誰ですか?

SCP-897-JP: センスのない文体だな、筆を折っちまえ、俺の仕事を邪魔すんなよ

護良研究員: 貴方は

SCP-897-JP: 黙れよ、俺たちの世界が腐るだろ、もっと勉強してから来やがれ

護良研究員: どうすれば会話が可能でしょうか

SCP-897-JP: もっと本読め、そして書け、ラノベでも何でもいい。ダーガー並みになったら考えてやるよ

«記録終了»

この会話を最後にSCP-897-JPが威嚇動作を行い、一切の会話を停止したため実験は終了しました。

事件記録897-JP-4

20██/██/██、SCP-897-JPに対する研究プロジェクトに参加していた█研究員に対し、非活性状態にあったSCP-897-JPが活性化状態に移行、刺突、殴打を行い、█研究員を殺害しました。これ以前の実験において█研究員は関与しておらず、この事件時が初めての実験参加でした。以下は事件後、SCP-897-JPに対し行われたインタビュー記録です。

SCP-897-JP会話記録-4

インタビュアー:護良研究員

«記録開始»

護良研究員: 何故貴方は█研究員を殺害したのですか?

SCP-897-JP: …おいおい、この国は確か死刑を認めてたよな? だったら分かるだろ、アイツは悍ましいほどの人間を殺してんだよ

護良研究員: 回答の意図が理解できません

SCP-897-JP: 脳味噌に蛆でも湧いてんのか? だから言ってんだろ。アイツは人殺しだ。俺は復讐者だ、正確には復讐の代行者だ

護良研究員: すいません、具体的な回答をお願いします

SCP-897-JP: ああ、やだやだ、これだから。だから言ってんだろ? 俺はアイツに無かったことにされた、生まれることすら許されなかった奴らの代弁者、いや、墓守だ。気障だと思うか? 好きにしろよ

護良研究員:

SCP-897-JP: アイツは殺した、自分が作った英雄、人間、怪物を。アイツが書き綴ったはずのそいつらを

護良研究員: それはつまり、█研究員の創作活動に関連していると考えていいのですね?

SCP-897-JP: 創作? 笑わせんな、アイツが殺した奴らが、アイツが壊した世界が、創作だってのか? 書き綴り、誰かがそれを見て何かを思う、それが創作じゃねえのか? 殺され、潰された幾千万の残骸の上に少しでも何かを残す、そんなこともせずに、ただ漫然と破壊と創造を繰り返す。くそったれた超越者気取りの作家もどきなんざ、殺されて当然だろうが!

護良研究員: …では、貴方は何故、誰のためにその創作を

SCP-897-JP: 書けよ、綴れよ、例え幾千万を殺したとしても、その屍の上に誰かを立たせてやれよ。それさえすれば、俺はただの墓守でいれるんだ。光をくれよ、光をやれよ

«記録終了»

このインタビューと、█研究員には創作経験があったことをを受け、SCP-897-JPは創作経験のある人物に対し何らかの基準をもって攻撃するという特性が存在することが判明し、特別収容プロトコルが改訂されました。

補遺: 20██/██/██、SCP-897-JPは以下の文章を記述しました。この文章はこれ以前のSCP-897-JP-1が記述した文章とは独立したものであることが確認されています。また、この文章はSCP-897-JPが行った推敲の痕跡をSCP-897-JPの起源調査の一環として保持しています。

この文章を受け、SCP-897-JPの起源に対する調査が検討されています。

この文章を筆記したのち、SCP-897-JPはいかなる会話も行わず、問いかけにも反応していません。また、SCP-897-JP-2内のインクは現在時点で総量の二分の一ほどに減少しており、現在のペースで活性化した場合、2███/██/██に消費しきると推測されています。

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