SCP-899-JP
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収容中のSCP-899-JP-1

アイテム番号: SCP-899-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-899-JPは収容エリア-8116のSCP-899-JP収容室に収容されています。収容エリア-8116にはSCP-899-JP以外の人型生物オブジェクトは収容されません。SCP-899-JP収容室に隣接した待機室には、8名以上のDクラスを常駐させ、その全てをSCP-899-JP-2の“友達”にしてください。SCP-899-JP-2を構成している肉体の元の人物を知っているDクラスが、SCP-899-JP任務に就く事がないよう調整が行われます。SCP-899-JP-2の胴体部は常に維持されなければなりません。SCP-899-JP-1から要望があった場合、レベル3以上のクリアランスを持つ職員の許可があるならば、待機室からDクラスを必要な数だけ収容室に投入する事が許されます。SCP-899-JP-2の部位交換が行われた後は、待機室のDクラスには記憶処理を施すか、人員を新しく入れ替えてください。

説明: SCP-899-JPはSCP-899-JP-1及びSCP-899-JP-2の二つのオブジェクトです。

SCP-899-JP-1は7~8歳に見える、Mary F████(メアリー・フ███)と名乗るコーカソイドの女性です。唇及び、虹彩、強膜1が黒色を呈しています。それ以外の身体的特徴に通常の人間との差異は見られませんが、異常な身体能力を発揮する事が確認されています。解剖学的な差異は調査が不十分な為不明です。加齢や成長の兆候を一切見せない為、見た目以上の期間を生きていると見られています。SCP-899-JP-1は自身の事を「メリーメリーさん」と呼ばれる事を好み、この呼称はSCP-899-JP-1との円滑な会話を求める場合、ある程度の効果を発揮します。イギリス訛りの英語と標準的な日本語2を主に使用します。

SCP-899-JP-2は人間の頭部、胴体、右腕、左腕、右脚、左脚の六つで構成されており、それぞれが癒合し一つの人体を形成しています。SCP-899-JP-2を構成する六つの部位はその全てが異なる人物の肉体です。全ての部位は生体反応を示しません。頭部の両目は常に閉じられていますが、虹彩、瞳孔、強膜が白色である事が確認されています。

SCP-899-JP-1は、その子供のような外見に相応しい振舞いを見せますが、それがSCP-899-JP-1の性質なのか、演技であるのかは判明していません。SCP-899-JP-1はSCP-899-JP-2を唯一の友としており、「たっくん」と呼称し非常に執着しています。SCP-899-JP-1は生きた人型生物3に出会うと、SCP-899-JP-2の“友達”になるか訊ねます。この質問に肯定の意思を示した人物に対しては友好的に接します。逆に否定した人物に対しては興味を無くすか、怒りを示します。SCP-899-JP-1が友好を示した人物であっても、SCP-899-JP-2への侮蔑や敵対するとみられる行為をする人物には攻撃的になります。この時のSCP-899-JP-1は、攻撃対象に[編集済み]。これらの行為に対しては、財団の強化防護装備4で肉体の損壊を防げる事が判明しています。しかし振り回された場合の急激な運動方向の変化や、遠心力の影響から装着者を完全に守る事はできず、強化防護装備の今後の課題として取り上げられています。装備の耐久実験と称して、SCP-899-JPに対して侮蔑的行為を行う事は禁止されています。先の振舞いとは反対に、SCP-899-JP-1は自身に対する侮蔑や敵意に対しては意を介さない事が多いです。SCP-899-JP-1は相対した人物の名前を知っているように見えますが、どのようにして相手の名前を取得しているのか、名前以外にも情報を得ているのかは不明です。

SCP-899-JP-1は食事を摂らずとも生存可能なようですが、SCP-899-JP-1の希望により、他人型オブジェクトと同様の食事が配給されています。SCP-899-JP-1は配給された食事を自身で食べるか、SCP-899-JP-2の口に含ませるような行動を取ります。この行動がおままごとの一環なのか、SCP-899-JP-2にとって必要な行動なのかは不明です。

SCP-899-JP-2の肉体は腐敗しませんが、四肢のいずれかが時間と共に先端から黒色に変化していきます。黒色に変化した部分は乾燥しており、非常に脆くなる為少しの衝撃で崩壊します。SCP-899-JP-1はこの過程を「たっくんの体が腐っている」と表現しています。研究者の間ではこの現象を“腐蝕”と呼称しています。SCP-899-JP-2を凍結する事による腐蝕の阻止は失敗し、防腐処理等も効果を発揮しませんでした。

SCP-899-JP-2の肉体にこの腐蝕が発生するか、SCP-899-JP-2の肉体が大きな損傷を被ると、SCP-899-JP-1は“SCP-899-JP-2の友達”に対して、SCP-899-JP-2の“該当部位”と“友達の同じ部位”を交換してくれるように頼みます。“友達”がこの要求を拒否すると、SCP-899-JP-1は「SCP-899-JP-2を助けてくれないなら友達ではない」と怒りを示し、元“友達”に対して攻撃的になります。

SCP-899-JP-1の要求を承諾した場合、未知の手段でSCP-899-JP-2の“該当部位”と“友達の同じ部位”が転移します。この置換に痛みは伴わないようですが、それは転移時のみで、部位の転移後に“友達”は正常な身体を喪失した事による苦痛を訴えます。SCP-899-JP-2に転移した“友達”の部位は、SCP-899-JP-2と癒合します。SCP-899-JP-2の“腐蝕部位”が転移した“友達”に対しても同様の組織の癒合が見られますが、置換した部位を動かす事はできず、神経の異常な癒着の為に激痛を感じます。腐蝕の進行は部位が転移すると同時に停止します。

SCP-899-JP-2に部位の置換が完了すると、その部位における腐蝕現象は最低でも2時間5は起こらない事が確認されています。しかし四肢が喪失した胴体部を放置した場合は、新たに胴体を置換させたとしても、四肢の最低休止期間よりも短い時間で腐蝕現象が起こるのではないかとの予測が立てられています。

SCP-899-JP-1が同一人物に対して、二つ以上の部位を要求した事例はありません。SCP-899-JPに消費される人的資源削減の為、SCP-899-JP-1との接触を、過去に要求を承諾し既に置換を完了させた“友達”のみに限定させる実験が行われましたが、SCP-899-JP-2の四肢が全て喪失する直前で実験は中止されました。

SCP-899-JP-2の四肢の腐蝕は一つずつ進行して行き、二つ以上の部位で同時に腐蝕が進行する事はありません。四肢の腐蝕する順番は決まっていないように見えます。四肢が置換された順番、元の持ち主の年齢等から規則性を見出す試みは失敗に終わりました。しかし四肢のいずれかが損傷を受けた場合、損傷の最も激しい部位から腐蝕が始まる傾向にあります。

胴体部の腐蝕は、SCP-899-JP-2の四肢の全てが喪失してから始まるものと思われます。四肢の一つが完全な状態から全て腐蝕するには最短でも1週間の時間を要しますが、胴体部の腐蝕は非常に速く進行し、腐蝕開始から24分で胴体部全てが腐蝕した記録が残されています。

SCP-899-JP-2が頭部のみになった場合、首の切断面と接触している素材は黒色に変化し、更にその影響が拡がっていきます。黒色に変化した物質は粘度の高い流動体となり、不明な力によって動き始めます。強い腐臭のような悪臭を放つこの流動体は、調査の結果、有機体に対する強い腐蝕性を持つ事が判明しました。しかしながら、事件記録2070530では無機物に対しても高い腐蝕性を示しているように見える映像が記録されており、更なる調査については承認待ちとなっています。SCP-899-JP-2の頭部で腐蝕が発生した記録は一度も無く、またDNAを採取する等の頭部を破壊する試みは全て失敗しています。

SCP-899-JP-2の四肢が全て喪失し、胴体部の腐蝕が始まると、SCP-899-JP-1は周囲の人型生物(以下対象)を自身に向けて未知の力で引き寄せます。この引き寄せる力は時間と共に強まり、壁等で対象がSCP-899-JP-1に到達できない場合、対象は圧壊し死亡します。この圧壊は対象全員に一律に齎される訳ではなく、SCP-899-JP-1に近い対象から引力が圧壊レベルまで強まるようです。SCP-899-JP-1に認識された対象がSCP-899-JP-1の半径5m以内に居る場合、“引力”の影響は消失します。条件を満たさない対象は引力の影響を受け続け、耐え切れずに圧壊します。この影響はSCP-899-JP-2の状態が五体満足になるまで続きます。五体満足の状態に近付くごとに影響は弱まる事が確認されています。SCP-899-JP-2の身体喪失状態を放置し続けた場合、SCP-899-JP-1の影響範囲がどこまで拡がり、どの程度まで強くなるのかは不明ですが、事件2070530時に█████m離れた対象にも影響を及ぼしていた可能性が示唆されています。
 
映像記録990201 — 日付1999/02/01

1999/02/01: SCP-899-JP任務に割り当てられるDクラスは、SCP-899-JP-2を構成する肉体を知らない者から選ぶようにプロトコルが更新されました。
 
事件2070530 — 日付2007/05/30


 
映像記録2070531 — 日付2007/05/31

≪映像記録2070531 — 日付2007/05/31≫

<01:59>
SCP-899-JP-1はSCP-899-JP-2を抱き抱えて眠っている。

<02:00>
SCP-899-JP-1が苦しげに呻きだす。
パパもママもどこにいったの?
<02:08>
SCP-899-JP-1: [泣き声]
どこにつれていかれるの?
<02:13>
SCP-899-JP-1: やだ……やだよ……たっくん死なないで……。
たっくんがわたしをたすけてくれた。そのせいでたっくんのなかにわるいやつがはいりこんじゃった。
<02:16>
SCP-899-JP-1: [泣き声]
だそうとしたけどだめだった。わるいやつはあばれてる。こんどはわたしがたっくんをたすけるばん。
<02:22>
SCP-899-JP-1: はい……はい……わかりました……誓います……。
どれだけかかっても、ぜったいにたっくんをたすけてみせる。だってわたしたちはともだちだもん。
≪記録終了≫

眠りから覚めたSCP-899-JP-1はいつも通りの振る舞いを示しました。SCP-899-JP-1にこの記録についてインタビューを行いましたが、有益な情報を得る事はできませんでした。

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